声優としての戸田恵子は1979年にデビュー。

初期の代表作になったのは『機動戦士ガンダム』（1979年4月～1980年1月）のマチルダ・アジャン役である。
主人公のアムロ・レイ（古谷徹）の憧れの女性として登場するが、戦死してしまう。

どうやらこのキャラクターは木村拓哉が大好きだったようだ。
『SMAP×SMAP』で戸田恵子がマチルダの声として出演した時は、大興奮していたのを覚えている。


（木村拓哉　イラストby龍女）

次の代表作が北条司原作の『キャッツ♡アイ』（第1期1983年7月～1984年3月、第2期1984年10月～1985年7月）である。
主役で、美術専門強盗団キャッツ・アイの正体である来生三姉妹の次女・瞳を演じた。

杏里が歌った主題歌は現代の視点だと、シティー・ポップスに分類されるだろう。
アニメソングが子供向けの歌では無く、普通のポップスとして大ヒットした先駆的な主題歌だった。
内容的にも主要な登場人物の年齢設定に大きな特徴があった。
連載されていた少年ジャンプが読者とする年齢層と同年代が、来生三姉妹の三女愛（坂本千夏）位しか登場しない。
本来なら青年漫画誌に載ってもおかしくない内容の漫画であった。
当時の基準では視聴率が20％を越えなかったので、放映期間が決して長くは無かったがその後再放送が繰り返された。
今では名作と言っても良いだろう。

筆者が声優としての戸田恵子を強く認識したのは、実は『ゲゲゲの鬼太郎』の三回目のアニメ化（1985年10月～1988年3月）である。
二回目まで鬼太郎の声を担当していた野沢雅子から交代して鬼太郎を演じた。

1988年10月から始まった『それいけ!アンパンマン』は、未だに続く長寿番組。
今ではアンパンマン役は戸田恵子の代表作である。

しかし、筆者よりも若い世代、おそらく20歳前後の人はアンパンマンを除いては声優としての戸田恵子を知らない人が多くなったと思う。
それはある時期を境に俳優の仕事が増えてしまったが為に、時間的に声優の仕事を減らさざるを得なくなってしまったにすぎない。