伝記映画『エルヴィス』でトム・ハンクスが演じたマネージャー、トム・パーカー大佐とは何者だったのか

2022/7/7 22:00 龍女 龍女

今回のコラムのテーマは、7月1日に公開された映画『エルヴィス』である。


(映画『エルヴィス』の1シーン。オースティン・バトラー演じるエルヴィスがトラック運転手時代に行きつけのクラブ・ハンディーに来たところ イラストby龍女)

ロックの帝王、エルヴィス・プレスリー(1935~1977)の生涯を描いた伝記映画である。
エルヴィス・プレスリーをオースティン・バトラー(1991年8月17日生れ)が演じた。

『ボヘミアン・ラプソディ』(2018年)の大ヒット以来、ロックスターの伝記映画の制作が盛んになったが、いよいよ大本命の登場となった。


この作品が、これまでの伝記映画と違う点がある。

クイーンのヴォーカル、フレディー・マーキュリー(1946~1991)の生涯は『ボヘミアン・ラプソディ』

エルトン・ジョン(1947年3月25日生れ)の半生は『ロケットマン』

アレサ・フランクリン(1942~2018)の生涯は『リスペクト』

これらの作品は、代表曲を映画の題名にして、ある時期をハイライトとして一部を描いている。
しかし、『エルヴィス』はファーストネームを題名にしており、構成も歌手デビューから死までと全体を描いている。
これは何故か?
エルヴィス・プレスリーのヒット曲が多く、代表曲を一曲に絞るのが難しい。

ある重要人物を通して描くには歌手活動期間中全体を描く方がふさわしい。
監督のバズ・ラーマン(1962年9月17日生れ)が判断したためだろう。

その人物こそ、エルヴィス・プレスリーのマネージャーだった
トム・パーカー大佐(1909~1997)である。
どういう人物だったか?
まずはエルヴィス・プレスリーの人生を簡単に振り返って、彼の生涯に大きな影響を与えたトム・パーカー大佐の正体について最後に紹介することにしよう。

    次へ

  1. 1
  2. 2
  3. 3