近代日本画を築いた巨匠が愛した緑豊かな邸宅に行ってきた。

2022/4/20 09:00 yamasan yamasan

こんにちは、いまトピアート部のyamasanです。

今回は、「東の大観、西の栖鳳」といわれ、近代日本画界を代表する横山大観と並び称された京都画壇の巨匠、竹内栖鳳(1864-1942)が住んでいた邸宅を訪問してきましたので、その時の様子をご紹介したいと思います。





JR京都駅から嵯峨野線に乗っておよそ17分、嵯峨嵐山駅で降りて北に向かって歩いていくと、閑静な住宅街の中に木々が生い茂った広大な緑地が見えてきます。

塀沿いをぐるっと回って、入口の門をくぐると、そこは竹内栖鳳の晩年の邸宅兼アトリエとして使われた霞中庵


霞中庵と書かれた扁額



現在は、京都に本社を置き、模型ホビー製品の製造・販売を行っている株式会社ボークスが運営する会員制施設「天使の里 霞中庵」になっていて、一般の人には非公開となっています。

株式会社ボークスの会員制度、店舗等については同社公式サイトをご覧ください⇒株式会社ボークス

会員の方の「天使の里 霞中庵」への入館方法等については同館公式サイトをご覧ください⇒「天使の里 霞中庵」

正面にある本館内の受付で入館手続きを済ませ、まずは4階の展望室から庭園を一望してみることにしました。



「天使の里 霞中庵」は、ボークス社が提供するスーパードルフィー®(SD)のオーナーのための施設。
1階の撮影スペースや4階展望室では、会員の人たちが持参したSDに思い思いのポーズをつけて楽しそうに撮影していました。

こちらは1階の様子。
この時は「リボンの騎士」のイベントが開催されていました。
「リボンの騎士」は手塚治虫の少女漫画。子供の頃見た記憶がよみがえってきました。


1階撮影可のスペースはまるでヨーロッパ貴族の邸宅のような豪華なしつらえでした。天井から吊るされたシャンデリアもとてもゴージャス。


4階展望室からは約3千坪ある回遊式庭園を一望に見渡すことができます。


約3千坪というと、およそ1万平方メートル。横浜スタジアムのフィールドを一回り小さくしたくらいの広い敷地は緑でいっぱいで、とてもよく整備されています。
この日は曇りがちで、遠くには靄がかかっているようでしたが、かつて周囲は沼や湿地が多く、朝夕には霞が立つことにちなんで「霞中庵」と名付けられた面影をよけいに感じることができました。

外の景色に気をとられてしまいそうですが、窓際に輝いて見えるものに気がつかれましたでしょうか。


栖鳳が画室の棚袋に紅葉形の螺鈿(らでん)を施し、螺鈿に映る春夏秋冬を楽しんだことにちなんで、窓際にも螺鈿の紅葉を施したとのこと。

そして、こちらは霞中庵の「控えの間」にある栖鳳デザインの椅子と机のレプリカ。


本館内にも栖鳳の意匠が息づいているのでした。

上から眺めたあとは庭園へ。

こちらは母屋への入口。ここから入ることはできませんが、建物脇の藤棚の下から中の様子をうかがうことができます。


今にも色付いた藤の花が下がってきそうな藤棚と縁側。落ち着いた雰囲気の室内の様子もよく見えます。


栖鳳が住んだ時のままに保存されている霞中庵の全景。


池には蓮の葉が浮かんでいます。夏になると早朝に花を咲かせるのでしょうか。


まるで狩野派の絵師たちが描くようなくねくねと曲がった枝の松。


尾形光琳が描いた「八橋図屏風」(ニューヨーク・メトロポリタン美術館蔵)ではありませんが、「三ツ橋」とその奥には、栖鳳が歩き疲れた時に足を休めたり、暑い夏に涼をとったかもしれない四阿が見えてきました(四阿の中は立入禁止ですが、近くまで行くことはできます)。


すっかり栖鳳の気分になって広い庭園を散策することができました。

四季おりおりの花や紅葉で季節ごとに楽しめる庭園ですので、ぜひ季節を変えてまた来てみたくなりました。


竹内栖鳳《翠松》(個人蔵)

東の巨匠、横山大観ゆかりの邸宅のコラムはこちらです。
【ただいま公開中】あの巨匠になった気分で明治の邸園を楽しもう!
https://ima.goo.ne.jp/column/article/6506.html
明治記念大磯邸園は、現在は建物内の見学は不可ですが、庭園のみ見学可です。詳しくは公式サイトでご確認ください⇒明治記念大磯邸園

海が見える邸園のコラムも書いてます。
【あの著名人が住んでいた!】海が見える邸園に行ってみた。
https://ima.goo.ne.jp/column/article/9948.html