【ただいま公開中】あの巨匠になった気分で明治の邸園を楽しもう!

2018/11/17 09:00 yamasan yamasan

風光明媚で気候は温暖、都心からもさほど遠くなく、目の前には海水浴場が広がる。
それほど魅力的な土地に明治時代から政財界の大物たちの別荘が立ち並んでいました。

今年は明治150年。いまだ明治時代の面影を残すここ大磯では明治の邸宅が一般公開されています。
旧大隈重信邸


旧陸奥宗光邸



明治記念大磯邸園 明治150年記念公開
開催日程 10月23日(火)~12月24日(月)
会  場 明治記念大磯邸園
開園時間 9:00~16:30(最終入場は16:00まで)
休園日  水曜日(12月2日(日)は湘南国際マラソンのため休園)
入園料  無料
公開内容  庭園観覧-屋外の公開エリアにつき会期中は自由に観覧可
      邸宅観覧-事前申し込み制、ガイドツアー形式にて観覧可
      (邸宅観覧は定員に達したため11月9日で予約終了)
詳細は公式サイトのお知らせページをご覧ください



今回公開しているのは、旧大隈重信邸と旧陸奥宗光邸の邸宅内と庭園、そして旧伊藤博文邸(滄浪閣)の外観。

旧大隈重信邸と旧陸奥宗光邸の邸宅内と旧伊藤博文邸(滄浪閣)の外観を見るためにはガイドツアーに申し込む必要がありますが、ガイドツアーの空き状況を公式サイトで確認したところ「定員に達したため11月9日で予約終了」というショッキングなお知らせが掲載されていました。

10月末に邸宅ガイドツアーに参加して、邸宅内もとてもいい雰囲気だったので「ぜひ邸宅ガイドツアーにお申し込みください」と言いたかったのですが、とても残念です。

旧伊藤博文邸(滄浪閣)の外観。
洋館(上)と和館(下)。




それでも、旧大隈重信邸と旧陸奥宗光邸の庭園内は自由に散策できますし、邸宅も外から見ることができます。

また、周辺には旧吉田茂邸を中心とした神奈川県立大磯城山公園はじめ見どころがたくさんあります。

そして、来園者アンケートの中に「本邸園が有料となった場合、入園料はいくらが妥当か」という設問があったので、今後、公開する可能性もありそうです。

そこで今回のコラムでは今後の公開に期待して邸宅内を紹介しつつ、邸宅の外観や庭園、そして周辺の見どころを紹介したいと思います。

国道1号線(旧東海道)の松並木。


JR東海道線「大磯」駅から徒歩約15分、国道一号線沿いを歩いて行くと左手に「総合案内・事業紹介ブース」の建物が見えてきます。
上の地図では旧伊藤博文邸エリアの「受付」の位置にあたります。

ブースの前では明治期の大物政治家たちがお出迎え。
右から「最後の元老」西園寺公望、「最初の政党内閣の首相」大隈重信、「初代首相」伊藤博文、「不平等条約を改正した外相」陸奥宗光。


今回の邸園公開のテーマは「立憲政治」。
ブース内には明治維新後の日本の政治の動きがわかりやすくパネル展示されています。


そして、明治時代の大磯の様子も。明治後期にはこんなに多くの政財界の有名人たちの別荘があったのですね。


邸園散策だけならブースより手前の邸園入口(上の地図の旧大隈重信邸と旧陸奥宗光邸のエリア)から入ることができますが、ブース内のパネル展示も事前の予習になるので、ぜひこちらにもお寄りください。

さて、ブースでパネルを見たり、チラシをもらったりして、東にもどりつつ邸園入口に向かいます。

はじめにお邪魔するのは旧大隈重信邸。
こちらが玄関。玄関は南か東向きが方角が良いとされていますが、この玄関は珍しく西向き。

旧大隈邸の西隣は今はマンションになっていますが、かつては鍋島家の別荘がありました。元・佐賀藩士だった大隈重信は、かつての藩主に忠義を示して西向きに玄関をつくったとのことです。

玄関に入ってすぐの応接間にはモダンな応接セット。

応接間の先には、床の間のある二間続きの大広間「富士の間」があります。

「富士の間」の中央には明治天皇から伊藤博文に下賜されて旧伊藤博文邸(滄浪閣)に組み込まれていた杉戸絵が展示されています。

こちらは野見宿禰の相撲の場面です。

文章を書くのが嫌いだった大隈重信の演説が録音されたレコード。肉声も聞くことができます。


こちらは廊下から見た「富士の間」と庭園。


こちらは庭園から見た「富士の間」。


続いて、長い間地中や水中に埋もれていた神代杉を随所に使った「神代の間」。奥の部屋には蚊帳が掛けられています。


こちらは庭園から見た「神代の間」


次はお隣の旧陸奥宗光邸。



庭園からの明るい光が差し込む和室。


床の間にさりげなく掛けられているのは、なんと横山大観の掛け軸!
作品名は《飛泉》。(庭園からでもガラス越しに見ることができます!)


邸宅がある場所は小高い丘になっていて、庭園は坂をくだった下にも広がっているので、散策路に沿って歩いてみましょう。

先ほどご紹介した《飛泉》は、高低差を利用して庭園内に造られた滝を写生して描きました。
今では水は流れていませんが、かつては水が流れていて滝になっていました。


そしてこの滝の向かいには、横山大観が滝を写生するために腰掛けた岩が残されています。
その名も「大観画伯 お腰掛の岩」。
畏れ多いとは思いましたが、腰掛けてみました。水が流れているところを想像しながら座った岩は、ちょうどいい形をしているので、とても座り心地がいいです。


大磯邸園散策は以上ですが、国道1号線をさらに大磯駅の方に向かっていくと、西行の和歌にちなんで江戸時代初期に建てられた草庵が始まりの鴫立庵。

現在は俳諧道場になっています。萱葺き屋根がとてもいい風情。入園料は一人300円(大磯町外の大人)他。ふらりと入ってみてはいかがでしょうか。


大磯駅に戻る途中には旧島崎藤村邸があります。こちらは入場無料。この日はちょうど陶芸作家の作品が展示されていて、和風の部屋に色合いを添えていました。




邸園公開のエリアからさらに西に進むと、旧吉田茂邸をはじめとした神奈川県立城山公園があります。

残念ながら邸宅内のガイドツアーの予約は終了してしまいましたが、邸園公開をはじめ大磯町は見どころいっぱい。

この秋、大磯で明治の面影をたどってみませんか。

大磯の観光案内は大磯町の観光情報サイトイソタビ・ドットコムが便利です。
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