上野樹里主演『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲』で7度目の共演の田中圭。またフラれる役を期待してしまうのは何故?

2022/4/21 22:00 龍女 龍女

30代は働きざかりである。
20代は仕事を教えて貰う立場で迷ってばかりだった。
30代は上司からも部下を育てるように任せられ始めた。
やる気がまして仕事内容も充実しているうちに結婚どころではなくなっている。

主人公の杏花も、20代後半は旅行代理店に務めていて、部下を育てて「頑張れ」と言っていた。
部下に「そんなに頑張れません」と言われる回想シーンが挟み込まれていた。
30歳頃にヨガのインストラクターに転職したことが示唆されている。

筆者は、脚本家の吉澤智子が『病室で念仏を唱えないでください』の脚色を通じて、仏教をよく勉強した上でこのシナリオを書いたと考える。
ヨガは元々インドの発祥で、カレーもインドから来ている。
日本へインドの文化が渡ったのは仏教を通じてだ。
実際は中国と朝鮮半島を経由している。
一部が修行方法瑜伽行(ゆがぎょう)として伝来した。
今のヨガはアメリカを経由して伝わったモノだ。
アップルコンピューターの創業者スティーブ・ジョブス(1955~2011)が若い頃に禅を通じて仏教にハマり出家までしようとしていたのは有名な話だ。
IT企業は数学に強いインド系の技術者が多く、グーグルのCEOのサンダー・ピチャイ(1972年6月10日生れ)もインド系である。
ヨガは仕事に疲れた会社員にフィットネスの一種として根強い人気があるのは、こうした背景もある。

杏花が一人暮らしから母陽子の死を経て父林太郎との同居に踏み切った29歳から33歳の時期は
お釈迦様が家族を捨てて出家して悟りを開いてブッダになる年齢とほぼ一致する。
厳密にはブッダになった歳は35歳であるが、個人差がある。
人生80年と想定すると、本当はなにをやりたいのか?
決めるのは折り返し前の30代前半である。
お釈迦様が亡くなったのは、80歳である。

筆者は現在45歳だが、本格的にシナリオライターの教室に通い出したのが14年前の今頃だった。
実はきっかけになったのは、上野樹里が出演した
映画『虹の女神』を観たからだ。
この作品は岸田智也(市原隼人)が大学時代に自主映画サークルで一緒だった佐藤あおい(上野樹里)が飛行機事故で亡くなった事を聞いて、大学時代から回想する切ないラブストーリーである。
田中圭の役は、映画サークルの助監督だった尾形学人である。
佐藤あおい(上野樹里)は監督をしていたが、何故かヒロイン役の朝倉今日子(酒井若菜)が降りてしまい、ヒロインを兼任することになる。
相手役に起用した岸田智也とキスシーンする羽目になる。

この映画は、上野樹里が俳優としての名声を確立した代表作
『のだめカンタービレ』(2006年10月)の放送開始直後に公開された。

『虹の女神』には、今回のドラマと同じお見合いパーティーも登場した。
映像制作会社に就職した佐藤あおいが、岸田智也を誘って取材先のパーティー会場に潜入する。

東村晴太の息子の名前が「にじろう」だ。
吉澤智子も『虹の女神』を観たかもしれない。
上野樹里ののだめ以降の出演作で、彼女を出したいと思う脚本家が必ず観ている映画が『虹の女神』である。
もう一つの代表作『ラスト・フレンズ』(2008年4月~6月)を書いた浅野妙子も当時そうコメントしていた。

『虹の女神』は、好きな人を主役に映画を撮りたい、映画好きの初期衝動に訴えた。
筆者は高校時代に大好きな映画『明日に向かって撃て』の1シーンの絵を描いていた自分を思い出した。
いつか映画を撮りたい。
映画仲間を持たないので、今できることはシナリオを勉強しようと決意させた。
だから、筆者はその映画に出ていた上野樹里と田中圭の共演作を見逃したくない。

筆者の個人的体験としては大好きな映画の土台となるシナリオの勉強をしていた。
30代は充実した時間で結婚どころの余裕はなかった。

このドラマの主役の沢田杏花もヨガのインストラクターとして独立する夢がある。
結婚どころではない。
一方の20代で結婚して30代で離婚してしまった東村晴太のような男性。
シングルファーザーとして息子・虹朗を育てなければならない。
田中圭自身も母子家庭で育っているので、片親の家庭環境は肌感覚で分かっているだろう。
東村晴太は次の結婚は考えられない。
仕事の内容が、個人か家族の幸福かの違いはあれど、結婚は最優先順位ではない。

それでは世間で一般のいわゆる結婚適齢期は逃してしまう。
本当の結婚したいと思う年齢はいつになるのか?
松重豊演じる妻を亡くした63歳の沢田林太郎であり

45歳の整形外科医、日向明里である。


(井川遥 イラストby龍女)

筆者は演じる井川遥(1976年6月29日生れ)と同い年だ。
日向明里とは容貌も経済状態もまったく違うが、夢が叶って仕事が落ち着き始めたなどタイミングが近い。
結婚願望が芽生えているという所だけは共感する。

晴太の恋のライバルとして、幼なじみの不破颯(はやて)を演じるのが
磯村勇斗(1992年9月11日生れ)である。


(イラストby龍女)

彼は、昨年の大河ドラマ『青天を衝け』の14代将軍徳川家茂役の記憶も新しい。
朝ドラの『ひよっこ』(2017年4月~9月)でヒロインの谷田部みね子(有村架純)と最終回に結婚するコック前田秀俊を演じた。

2回目の予告を観ると、帰国子女である不破颯は初恋の相手である杏花への想いを包み隠すことなく、積極的にアプローチしてくる。
それに対して、婚活パーティー主催会社の社員の東村晴太と、沢田杏花はどう対応するのか?

続きが非常に楽しみだが、沢田杏花はどちらを選ぶのか?
東村晴太は息子の虹郎がいて、最優先は子供なので、杏花を放置する可能性がある。
不破颯は杏花が初恋の相手。
最初から好いてくれるので自分を尊重してくれるかもしれない。
今の時点では、不破颯の方が圧倒的に有利である。

だから、田中圭がまたフラれる役かもしれない期待をしてしまう。

第1回目では、杏花と晴太は友達であるとまずは関係性を決めてしまったところで、第2回目にいく。
友達でありながら、その先の関係へ踏み出せるか?
上野樹里は『虹の女神』でその関係を25歳のヒロインとして演じたが、今度は33歳である。
相手役の田中圭とは共演回数が多すぎて、恋人や結婚相手と言ったロマンティックな関係がどうにも似合わない。
役とは違い、上野樹里と田中圭の方が幼なじみにみえて、踏み込んだ関係までは行かなさそうな雰囲気が漂ってしまうのである。


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