『ドライブ・マイ・カー』で大注目、『カムカムエヴリバディ』出演中の三浦透子が今度『鎌倉殿の13人』に出演できた理由は小池栄子と尾野真千子にあった!
三浦透子が『鎌倉殿の13人』で演じるのは源義経(菅田将暉)の正室・里である。
「里」は、歴史上では河越重頼の娘・郷御前として知られる。
郷御前の母・河越尼は頼朝の嫡男・頼家の乳母となった。
関東の有力豪族の娘なので、「鎌倉殿」源頼朝の弟の正室にふさわしい家柄の女性である。
(大河ドラマ『義経』。源義経の正妻・萌を演じる尾野真千子 イラストby龍女)
大河ドラマ『義経』(2005年)で同じ役を演じた人がいる。
まだ無名だった尾野真千子(1981年11月4日生れ)である。
源義経は滝沢秀明。
役名は萌であった。
ちなみに、史実では本名が分からないのに「萌」だった理由は、おそらく尾野真千子の俳優デビュー作『萌の朱雀』(1997年)からの引用だろう。
三浦透子が『鎌倉殿の13人』に出演が発表された際に同時発表された役がある。
鎌倉の仏像彫刻を代表する仏師・運慶(?~1224)を演じる三谷幸喜作品の常連、相島一之である。
相島一之は京都の六波羅蜜寺に残されている運慶の肖像彫刻に似ている。
こうした三谷幸喜の配役傾向を考えると、肖像すら残っていない義経の妻を演じる三浦透子には、ある基準を持って選ばれた事は想像に難くない。
『鎌倉殿の13人』の主人公は、北条義時(小栗旬)である。
一方で、ヒロインは誰だろう?
義時の姉、政子(小池栄子)である。
『素敵なダイナマイトスキャンダル』の役はまったく似ていないが
『ドライブ・マイ・カー』の渡利みさきは小池栄子にそっくりだ。
つまり、三浦透子が『素敵なダイナマイトスキャンダル』で尾野真千子に似ている女性を演じ、『ドライブ・マイ・カー』で小池栄子に似た女性を演じた事によって導かれる『鎌倉殿の13人』の中の最適解だったのだろう。
それでは、小池栄子に似ていることがどういう意味を示すのか?
先程触れた運慶と深い関係がある。
小池栄子は仏像顔として有名である。
仏像顔と言っても実は時代ごとに流行があるので、どの時代の仏像に似ているか?
それによって違いがある。
仏像好きでもある筆者が考える、小池栄子が最も似ている仏像の時代は飛鳥・奈良である。
特に似ているのは興福寺に残る白鳳時代(飛鳥時代から奈良の初期)仏頭と呼ばれる作品である。
ではそれが鎌倉時代とどう関係しているのか?
運慶は元々奈良の寺院の仏像を修復していた、慶派と呼ばれる奈良仏師の棟梁である。
源平合戦で、平重衡が治承4年(1180年)に、奈良の東大寺・興福寺を燃やしてしまった。
それまでは修復だけの仕事だった慶派は、源頼朝をパトロンとして次々と新しい鎌倉時代の仏像群を作り、後世にも傑作を次々と作った。
仏像の顔は、作られた当時の美人と言われた女性の顔が基準となっていると考えられる。
義経の正室となる女性の選定は、おそらく政子も深く関わっている。
人は自分と似た顔の持ち主に親しみを覚える。
鎌倉初期の仏像彫刻の美の基準に、奈良初期の仏像が大きく関わっていたのである。
三浦透子は、90年代半ば生れの女優の中で、日本映画が好んで描いてきた女性の情念や業を演じるにふさわしい存在感を持った貴重な人材なのである。
近い将来、朝ドラあるいは連続ドラマのヒロイン役が巡ってくるのは間違いない。
参考動画:山田五郎『オトナの教養講座』宮廷画家クラナッハヴィーナスなのにつるぺたボディ?
『シネマサロン映画業界ヒットの裏側』ドライブ・マイ・カー 語り尽くせない傑作
※最新記事の公開は筆者のFacebookとTwitterにてお知らせします。
(「いいね!」か「フォロー」いただくと通知が届きます)
「里」は、歴史上では河越重頼の娘・郷御前として知られる。
郷御前の母・河越尼は頼朝の嫡男・頼家の乳母となった。
関東の有力豪族の娘なので、「鎌倉殿」源頼朝の弟の正室にふさわしい家柄の女性である。
(大河ドラマ『義経』。源義経の正妻・萌を演じる尾野真千子 イラストby龍女)
大河ドラマ『義経』(2005年)で同じ役を演じた人がいる。
まだ無名だった尾野真千子(1981年11月4日生れ)である。
源義経は滝沢秀明。
役名は萌であった。
ちなみに、史実では本名が分からないのに「萌」だった理由は、おそらく尾野真千子の俳優デビュー作『萌の朱雀』(1997年)からの引用だろう。
三浦透子が『鎌倉殿の13人』に出演が発表された際に同時発表された役がある。
鎌倉の仏像彫刻を代表する仏師・運慶(?~1224)を演じる三谷幸喜作品の常連、相島一之である。
相島一之は京都の六波羅蜜寺に残されている運慶の肖像彫刻に似ている。
こうした三谷幸喜の配役傾向を考えると、肖像すら残っていない義経の妻を演じる三浦透子には、ある基準を持って選ばれた事は想像に難くない。
『鎌倉殿の13人』の主人公は、北条義時(小栗旬)である。
一方で、ヒロインは誰だろう?
義時の姉、政子(小池栄子)である。
『素敵なダイナマイトスキャンダル』の役はまったく似ていないが
『ドライブ・マイ・カー』の渡利みさきは小池栄子にそっくりだ。
つまり、三浦透子が『素敵なダイナマイトスキャンダル』で尾野真千子に似ている女性を演じ、『ドライブ・マイ・カー』で小池栄子に似た女性を演じた事によって導かれる『鎌倉殿の13人』の中の最適解だったのだろう。
それでは、小池栄子に似ていることがどういう意味を示すのか?
先程触れた運慶と深い関係がある。
小池栄子は仏像顔として有名である。
仏像顔と言っても実は時代ごとに流行があるので、どの時代の仏像に似ているか?
それによって違いがある。
仏像好きでもある筆者が考える、小池栄子が最も似ている仏像の時代は飛鳥・奈良である。
特に似ているのは興福寺に残る白鳳時代(飛鳥時代から奈良の初期)仏頭と呼ばれる作品である。
ではそれが鎌倉時代とどう関係しているのか?
運慶は元々奈良の寺院の仏像を修復していた、慶派と呼ばれる奈良仏師の棟梁である。
源平合戦で、平重衡が治承4年(1180年)に、奈良の東大寺・興福寺を燃やしてしまった。
それまでは修復だけの仕事だった慶派は、源頼朝をパトロンとして次々と新しい鎌倉時代の仏像群を作り、後世にも傑作を次々と作った。
仏像の顔は、作られた当時の美人と言われた女性の顔が基準となっていると考えられる。
義経の正室となる女性の選定は、おそらく政子も深く関わっている。
人は自分と似た顔の持ち主に親しみを覚える。
鎌倉初期の仏像彫刻の美の基準に、奈良初期の仏像が大きく関わっていたのである。
三浦透子は、90年代半ば生れの女優の中で、日本映画が好んで描いてきた女性の情念や業を演じるにふさわしい存在感を持った貴重な人材なのである。
近い将来、朝ドラあるいは連続ドラマのヒロイン役が巡ってくるのは間違いない。
参考動画:山田五郎『オトナの教養講座』宮廷画家クラナッハヴィーナスなのにつるぺたボディ?
『シネマサロン映画業界ヒットの裏側』ドライブ・マイ・カー 語り尽くせない傑作
※最新記事の公開は筆者のFacebookとTwitterにてお知らせします。
(「いいね!」か「フォロー」いただくと通知が届きます)