『ドライブ・マイ・カー』で大注目、『カムカムエヴリバディ』出演中の三浦透子が今度『鎌倉殿の13人』に出演できた理由は小池栄子と尾野真千子にあった!

2022/3/17 22:00 龍女 龍女

今回のコラムの主役は三浦透子(1996年10月20日生れ)である。


(『ドライブ・マイ・カー』の一場面から引用 イラストby龍女)

第94回アカデミー賞で4部門の候補になった『ドライブ・マイ・カー』で注目されている若手俳優だ。
…と言いたいところだが、キャリアは子役時代から20年を誇る中堅俳優だ。
3月11日に行われた第45回日本アカデミー賞では新人俳優賞を獲得した。

『ドライブ・マイ・カー』は、第74回カンヌ映画祭脚本賞を獲得したのをきっかけに海外の各賞を受賞している作品である。
しかしこの作品がマスコミ的に大きな話題となっているのは、
第94回アカデミ-賞で4部門(作品・監督・脚色・国際映画)候補になっていることだ。
大方の予想では、脚色賞と国際映画賞は確実だ。


(第45回日本アカデミー賞レッドカーペット新人俳優賞の時 イラストby龍女)

監督の濱口竜介(1978年12月16日生れ)は『乱』(1985)の黒澤明以来の36年ぶりの日本人の監督賞候補になった。


(濱口竜介監督 イラストby龍女)

村上春樹の原作、短編の『ドライブ・マイ・カー』を他の短編の要素を入れて3時間弱の映画に仕立てた。
映画監督でもある大江崇允(1981年生れ)との共同脚本で日本映画作品で初の脚色賞の候補になった。

この脚色の手法は黒澤明監督がヴェネツィア国際映画祭金獅子賞をきっかけに国際的名声を得た『羅生門』(1950)と同じだ。
芥川龍之介の短編『藪の中』を元にした橋本忍の約1時間ほどになる脚本を、黒澤明が他の短編『羅生門』を足して長編に仕立て上げた。

『ドライブ・マイ・カー』の脚色が更に高度なのは、シェイクスピアの次に有名であろう劇作家チェーホフの『ワーニャ伯父さん』を引用している。

主人公の家福悠介(西島秀俊)がチェーホフの『ワーニャ伯父さん』を多言語で演出するという独特の手法で成功した俳優兼舞台演出家という設定だからである。
この戯曲の台詞を妻の声で吹き込んだ他の登場人物の声で吹き込んだテープに会わせ車の中で練習する。
シーンを重ね合わせることで、主人公が亡き妻との間に起こった関係性のメタファーになっている。
主人公が長年愛用している車は、明らかに女性、妻で脚本家の音の分身として扱われている。
それが最後どうなったか?
巧みな構成と脚本となっている。


(共同脚本の大江崇允。 イラストby龍女)

何でこんな長い上映時間なのか?
最初疑問ではあったが、見終わった後、とんでもない名作であったことに気づかされた。
オスカーの作品賞候補にふさわしい風格と国際性に満ちている。


三浦透子の俳優としての魅力を、今すぐに観られる作品『素敵なダイナマイトスキャンダル』(2018)における役柄から美術史的視点で読み解いていく。
ヒントは、『ドライブ・マイ・カー』を評論したあるYouTubeチャンネルから注目した。
『シネマサロン映画業界ヒットの裏側』である。
出演している映画宣伝プロデューサー竹内伸治の発言

「小池栄子と親子役をして欲しい」
であった。
これは、風貌が三浦透子が小池栄子(1980年11月20日生れ)に似ていることから連想した発言だが、それだけでない意味がある。
それは何故か?
三浦透子が出演が決まった大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の役柄にも関係してくるから、謎を解いていこう。

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