『青天を衝け』の徳川家康を演じた北大路欣也は、なぜ時代劇の大スターの当たり役を次々と引き継いでこれたのか?

2021/12/22 22:00 龍女 龍女

北大路欣也の大河ドラマの出演作を振り返ろう。
初めての大河ドラマは何と主役であった。
司馬遼太郎の小説『竜馬がゆく』(1968年)だ。


(坂本竜馬に扮した北大路欣也 イラストby龍女)

地元の高知では有名だったが、全国的に有名にした小説の主人公を演じた。
坂本竜馬のイメージを作った有名な作品である。

『樅ノ木は残った』(1970年)は江戸前期に頻発したお家騒動の中でも、有名な伊達騒動を扱った作品である。
主人公の原田甲斐(平幹二朗)と対立した、江戸幕府の初の大老となった酒井忠清を演じた。


(『樅ノ木は残った』で酒井忠清に扮する北大路欣也 イラストby龍女)

吉川英治原作の『新・平家物語』(1972年)では、平家の全盛期の終わりを告げる源氏の挙兵のきっかけを作った以仁王を演じた。


(『新・平家物語』で以仁王に扮した北大路欣也 イラストby龍女)

大河ドラマ史上最高視聴率をたたき出した『独眼竜政宗』(1987年)では、主人公・伊達政宗(渡辺謙)の父、伊達輝宗を演じた。


(『独眼竜政宗』で伊達輝宗を演じる北大路欣也 イラストby龍女)

資料がなかったので、イラストが描けなかったが、鎌倉後期の元寇の時代を描いた『北条時宗』(2001年)では、博多の大商人・謝国明を演じた。

21世紀に入って、時代劇での大奥ブームがあった。
フジテレビ『大奥』(2003~2006)の後に放送され、高視聴率をたたき出した『篤姫』(2008年)では、勝海舟を演じた。
この役はデビュー作『父子鷹』で、父の市川右太衛門が勝小吉、幼少期の勝海舟を北大路欣也が演じた深い縁のある役柄である。


(『篤姫』で勝海舟を演じた北大路欣也 イラストby龍女)

『篤姫』と同じ田渕久美子脚本の大河ドラマ、『江~姫たちの戦国~』(2011年)では、徳川家康を演じた。
映画でも東映時代に若い頃の家康(1965年)を演じているので、これまた縁が深い役である。


(『江~姫たちの戦国~』で徳川家康を演じた北大路欣也 イラストby龍女)

幕末の長州藩の志士の群像劇を描いた『花燃ゆ』(2015年)では、長州藩主の毛利敬親(たかちか)を演じた。


(『花燃ゆ』で毛利敬親を演じた北大路欣也 イラストby龍女)

最新作、『青天を衝け』では、再び徳川家康を演じた。
役柄として異色なのは、徳川家康が生きた江戸初期ではなく、死後の時代に祖先として神(?)として登場してくる。


(『青天を衝け』で徳川家康を演じた北大路欣也 イラストby龍女)


北大路欣也は、大河ドラマで若い頃は、主人公と、敵役を演じた。
中年期にさしかかると父親役、主人公を助ける年配者、若者たちを見守る権力者と年齢を経てその時々にふさわしい役柄を与えられた幸運な俳優である。


さて、次は、主に民放で放送されたTV時代劇(一部現代劇)に限って、北大路欣也がどういう役割を担ってきたのか?
その経歴を振り返っていこう。

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