やっぱりモネが好き!芸術の秋にオススメの本と展覧会。
クロード・モネ『散歩、日傘をさす女性』(1875年、ナショナル・ギャラリー(ワシントンD.C.))
Wikipedia「クロード・モネ」より
モネ、といってもあのドラマとは別のもの。19世紀後半、印象派の芸術家 クロード・モネのこと。
毎年、日本のどこかで開催されている印象派の展覧会。とても人気がある芸術一派です。でも、あのボンヤリした感じの絵だよね、とか、綺麗な風景の絵だよね、みたいなイメージだけでなんとなく知っている場合が多いのでは無いでしょうか?はい、私はそうなのです。
ピエール=オーギュスト・ルノワール『イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢』(1880年、ビュールレ・コレクション)
Wikipedia「ピエール=オーギュスト・ルノワール」より
印象派とは、19世紀後半のフランス、芸術の権威であるアカデミーのルールから外れて活躍した画家たちです。まぁ、いつの時代にも権威とか規範とかに反発する若者たちはいるものですね。日常的な対象、斬新な構図、筆のストロークが残る描き方、風景画の戸外制作、などの取り組みによって作られた新しい絵画が時間をかけて民間に支持され、アメリカで売れ、大衆に受け入れられたのです。
クロード・モネ『ジヴェルニーの日本の橋と睡蓮の池』(1899年、フィラデルフィア美術館)
Wikipedia「クロード・モネ」より
印象派で有名な画家といえばモネとルノワール。他にもシスレー、マネ、ドガ、セザンヌ、ゴーギャン、ピサロ、スーラ、シニャックなど多くの画家を巻き込み、その後のポスト印象派や新印象派へと広がっていきました。その中でも印象派と言えばモネはおさえておきたい画家です。
ということで、これから印象派を知るための本やこの秋に都内で開催される展覧会を紹介したいと思います。
印象派を知るために読んでおきたい本
印象派の中でもまずおさえておくべき画家であるのがクロード・モネ。そのモネを知るのにオススメなのが今年3月に発売されたこちらの本『モネへの招待』。入門編にぴったりです。
クロード・モネ『印象・日の出』(1872年、マルモッタン・モネ美術館)
Wikipedia「クロード・モネ」より
印象派という名前のもとになったと言われているこのモネの作品『印象・日の出』。展覧会を見た評論家がこの絵を元に印象派と呼び酷評したというエピソードが有名です。そう、印象派というのは蔑称が元だったのですね。
クロード・モネ『積みわら、夏の終わり』(1890-91年、シカゴ美術館)
Wikipedia「クロード・モネ」より
この本ではモネが活躍した時代ごとにその代表的な作品とその特徴を解説しています。時代ごとに住む場所を変え、各モチーフを変えていくモネの流れがひと通りわかる様な作りでした。
クロード・モネ『ラ・グルヌイエール』(1869年、メトロポリタン美術館)
Wikipedia「クロード・モネ」より
ピエール=オーギュスト・ルノワール『ラ・グルヌイエール』(1869年、スウェーデン国立美術館)
Wikipedia「ピエール=オーギュスト・ルノワール」より
また、モネを10個のキーワードで解説するコーナーもあります。モネとルノワールが同じ風景を描き、それぞれ視点がどう違うのか。そんな解説がとてもわかりやすいです。
クロード・モネ『睡蓮の池』(1907年、アーティゾン美術館)
Wikipedia「クロード・モネ」より
モネといえば同じモチーフをいくつも描いているので有名です。ポプラ並木、ルーアン大聖堂、積みわらなどのモチーフを時間や季節ごとの光や色で描き分けた連作。モチーフは同じでもそこにある光はモネにとっては別物だったのでしょう。
その最後のモチーフとしていたのが睡蓮。モネの最も有名な連作です。本にあった睡蓮の連作が時代によってどの様に変わっていったかという記事も読み応えありました。
他にもモネの生きた時代の背景、日本との繋がり、後半生を過ごしたジヴェルニーの紹介などモネについてこれだけ知っておけば大丈夫!という内容の本でした。
印象派全体をまずざっくりと知るのは漫画から入るという手があります。絵画作品も載っていますが、どんな作家がいて、彼らがどんな人だったのか、それぞれの画家たちの面白いエピソードをわかりやすくまとめた本になっています。まず興味を持ったら印象派全体を理解するために、是非こちらをオススメしたいという内容のものです。
今年開催、印象派の展覧会
さて、本を読んだら(もちろん読む前でも)実際に絵を見てみたいところ。実際に印象派の絵を見ることができる展覧会に行ってみましょう。
ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス
https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/21_pola.html
Bunkamura ザ・ミュージアム 2021/9/18-11/23
印象派の素晴らしいコレクションを持っている箱根のポーラ美術館。「モネ、ルノワールから マティス、シャガールまで 渋谷で出会う珠玉のコレクション」というサブタイトルの通り、渋谷でその素晴らしいコレクションを見ることができるのがこの展覧会。印象派からエコール・ド・パリの時代の絵画、アール・ヌーヴォーとアール・デコの工芸品など印象派とその少し後の時代の作品で「フランス」を感じる展覧会になっている様です。
イスラエル博物館にある印象派とその周辺の時代の名品たち、大半が日本初公開となる作品ということで注目を浴びています。印象派に先駆けたクールベ、コロー、ブーダン、そして印象派のモネ、ルノワール、シスレー、ピサロ、そこから発展したポスト印象派のセザンヌ、ファン・ゴッホ、ゴーガン、さらにナビ派のボナールやヴュイヤールの作品たち。印象派の光の系譜の展覧会ということで印象派が何に影響を受け、どう発展していったかまでがわかる展覧会になっている様です。
陽光と色彩を求めて戸外に赴き作品を描いたモネ。モネ作品をみせる ための理想的な環境として「会場全体を自然光に限りなく近い質の光で満たされた空間に置く」というコンセプトに基づいて、建築家・中山英之による斬新な展示空間が展開されます。空間全体を満たす柔らかい光のなかで、モネ作品の新たな魅力に触れられます。
※チラシは会期変更前のものです。
クロード・モネ —風景への問いかけ オルセー美術館・オランジュリー美術館特別企画
https://www.artizon.museum/exhibition/detail/47
アーティゾン美術館 ※2021/10/2-2022/1/10予定でしたが開幕延期となり会期は現在未定
残念ながら2度目の会期変更があり、会期未定です。延期と言うことは開催にむけて調整中ということ。近く開催されることを期待している展覧会なのでここでオススメしておきます。フランスのオルセー美術館が持っている世界最高峰のモネ・コレクションを中心に国内の作品と合わせて構成されるこの展覧会。モネの展覧会としては物凄く期待のものになります。モネが過ごしたそれぞれの時代、それぞれの場所を辿って、同時代の画家や影響を与えた日本美術なども展示するというものが予定されているそうです。
クロード・モネ『サン=ラザール駅』(1877年、オルセー美術館)
Wikipedia「クロード・モネ」より
知っている様でなんとなくしか知らなかった印象派。今年は印象派をちゃんと知って行く、とっかかりの年になりそうです。また、モネといえばいまトピのこちらのtakさんのジヴェルニー紹介記事もあわせてオススメです。過去の展覧会ですが、明菜さんが紹介している印象派展覧会の記事も併せて参考にしてみてください。
クロード・モネが描いた家に泊まってみませんか
https://ima.goo.ne.jp/column/article/7040.html
【最高の癒し】モネの美しい絵画に惚れる『印象派、記憶への旅』
https://ima.goo.ne.jp/column/article/6999.html