【生誕120年】厳選「特撮の父」に詳しくなる名作ベスト5

2021/8/30 10:00 yamasan yamasan

こんにちは、「特撮」で育ったいまトピアート部yamasanです。

いまやゴジラでさえCGで描かれるCG全盛の時代。

スタジオの中に本物そっくりに作られたミニチュアのビルディングやコンビナートなどを怪獣が破壊する場面を見てワクワク、ドキドキ、ハラハラした子どもの頃の感動は、遠い過去のものになってしまったのでしょうか。

今年(2021年)は「特撮の父」円谷英二(1901-1970)が生まれて120年。
この記念すべき年に少しでも特撮の良さを知っていただきたいと考え、円谷英二が特撮を担当した数多くの作品の中から5つの作品を厳選して紹介したいと思います。

1 ハワイ・マレー沖海戦(1942年)

 
DVD「ハワイ・マレー沖海戦」

真珠湾攻撃1年後の昭和17年(1942)12月に公開された「ハワイ・マレー沖海戦」(監督:山本嘉次郎 特殊技術:円谷英二)は、円谷英二の特撮の原点ここにあり、ともいうべき日本映画初の本格的特撮映画。
DVDのジャケット右下に見える真珠湾の海軍基地は空撮した写真のように見えますが、実は円谷英二と東宝のスタッフが全力で作ったミニチュアセット。
広さは約1800坪(約6,000㎡)もの広大なもので、海軍から提供された写真をもとに真珠湾全体の地図を作製し、特殊技術で立てられる最も効果的な水柱の大きさから兵舎や重油タンク、戦艦ほかの大きさを逆算して作ったセットなのです。

この「大」ミニチュアセットや、日本海軍航空隊が真珠湾を攻撃する場面には特撮の醍醐味がいっぱい詰まっていて、戦後に制作されたゴジラをはじめとした怪獣映画や、戦争映画に引き継がれているのがよくわかります。


2 ゴジラ(1954年)

 
DVD「ゴジラ」

国内だけでなくハリウッドを含めて今でも続くゴジラシリーズの第一弾が、昭和29年(1954)11月に公開された「ゴジラ」(監督:本多猪四郎 特撮技術:円谷英二)。

このDVDは、2016年から2018年にかけて発売された「ゴジラ 全映画DVDコレクターズBOX」の創刊号。その後、全部で61巻が発売され、そのうち「ラドン」「モスラ」「怪獣大戦争」はじめ、子どものころ映画館やテレビでよく見た作品はほとんど揃えました。

東京に上陸して、自衛隊の攻撃をものともせず、精巧にできた東京の街のミニチュアセットを破壊し尽くす場面は、今見てもスリルいっぱいです。

こちらは以前ガチャガチャでゲットしたゴジラとキングギドラ。

右から、 バンダイ「シン・ゴジラ」シリーズの「ゴジラ1954」、 バンダイ「ゴジラ01」シリーズの「KING GHIDORAH2019」、「GODZILLA2019」。

「ゴジラ1954」は、まさに映画「ゴジラ」に登場する初代ゴジラなのでなじみがありますが、「キングギドラ2019」は龍というより蛇のようにほっそりしてしまい、「ゴジラ2019」はティラノサウルスのように前傾姿勢になっているので、これでは人間が怪獣の中に入って暴れまわることはできませんね。

初代ゴジラのアップ。


今年4月には、「いまトピ」でゴジラが展示されているミュージアムを紹介しています。
【ナウマンゾウからゴジラまで】古代の日本列島にタイムスリップしてきた!


3 太平洋の翼(1963年)


 
DVD「太平洋の翼」

「太平洋の鷲」(1953年公開)、「太平洋の嵐」(1960年公開)に続く「太平洋シリーズ3部作」の第3弾が「太平洋の翼」(1963年公開)。
どの作品も円谷英二の特撮の技が冴えわたっているのですが、太平洋戦争末期、優秀なパイロット、整備兵が集められ、新鋭戦闘機「紫電改」を操り終戦まで本土防空の任務を担った海軍第三四三航空隊の奮闘に照準をあてたこの「太平洋の翼」を一番に挙げました。

東宝の戦後初の戦争映画で、山本五十六を中心に描いた「太平洋の鷲」は、「ゴジラ」の本多猪四郎監督と円谷英二の初コンビ作として知られています。

DVD「太平洋の鷲」

真珠湾攻撃からミッドウェー海戦までを描いたのが「太平洋の嵐」。

 DVD「太平洋の嵐」

今年5月に「いまトピ」で紹介した「太平洋奇跡の作戦 キスカ」(1965年公開)も円谷英二が特技監督を務めています。
戦争画「作戦記録画」を深読みして見えてきたものとは?

4 ウルトラQ(1966年)


 
DVD「ウルトラQ」全7巻セット

ウルトラQは、円谷プロダクションによって1966年に放映された全28話の特撮テレビシリーズ。
ドロドロした粘土のようなものから浮かび上がる「ウルトラQ」のタイトル、不気味なイントロ、石坂浩二の抑揚を抑えたナレーション、怪獣あり、怪奇ものあり、そして必ずしも事件が解決しないストーリー展開。
そして、大怪獣に立ち向かうのは、ウルトラマンやウルトラセブンでなく、科学特捜隊や地球防衛軍でもなく、武器を持たない生身の人間。
ウルトラQはどこまでもミステリアスでスリリングでした。

ぺギラが近づいてきました!
雪原のかなたから出現するぺギラ、南極観測基地を破壊するぺギラ、どれも手に汗握る特撮シーンばかり。

(このフィギュアはメガハウス社のアートワークスコレクションのものですが、現在は入手困難のようです。)

ウルトラQ第5話「ぺギラが来た!」では、ぺギラの苦手なペギミンHで撃退しますが、第14話「東京氷河期」では、東京に上陸したぺギラが街じゅうを凍らせました。


5 ウルトラマン(1966~1967年)


 
DVD「ウルトラマン」全10巻セット


ウルトラQに続き1966年7月から1967年4月にかけてテレビ放映されたのが全39話のウルトラマン
「ウルトラマン」でも迫力の特撮シーンが楽しめました。特に上のDVDジャケットにあるように、ゴモラが大阪城を破壊する場面は圧巻でした。
そして、分身の術を駆使する宇宙忍者バルタン星人、凶暴などくろ怪獣レッドキング、特徴のある顔をした三面怪人ダダ、最終回に登場する宇宙恐竜ゼットンなど多くの人気怪獣・宇宙人が登場したのもウルトラマンでした。
さて、みなさまはどの怪獣・宇宙人がお気に入りでしょうか。


東京京橋の国立映画アーカイブ展示室では、「生誕120年 円谷英二展」が開催されています。ぜひこちらもご覧ください。
 
企画展 生誕120年 円谷英二展※終了しました。

 

会 場  国立映画アーカイブ展示室(7階)
会 期  2021年8月17日(火)~11月23日(火・祝)
※月曜日及び9月7日(火)~10日(金)、9月26日(日)~10月3日(日)、10月12日(火)~15日(金)は休室です。
開館時間 午前11時~午後6時30分(入館は午後6時まで)
料 金  一般 250円ほか
※11月3日(水・祝)「文化の日」は無料でご覧いただけます。
公式サイト⇒生誕120年 円谷英二展

円谷英二の出身地、福島県須賀川市でも生誕120年を記念する展覧会が開催されます。
2021年12月18日(土)~2022年1月30日(日) 須賀川市文化センター 小ホール