千葉発の写真芸術祭 【CHIBA FOTO】開催!

2021/8/29 18:50 虹

車や電車、自転車を使って13の会場を回ろう!
CHIBA FOTOは広範囲に会場が分かれていますが、車はもちろん、電車やモノレールでも回ることができるアクセスの良さがポイントです。

しかしここで推したいのがコミュニティサイクル!
以前いまトピにてご紹介したことがありますが、千葉市には「HELLO CYCLING」というコミュニティサイクルが展開されています。すべて電動で、15分70円から借りられるコスパの良さにも注目です。

▲過去記事 【検証】駅から遠い魅惑の美術館は、シェアサイクルでアクセス可能か⁉

その土地が持つ特徴を掴むには、いろいろなところで立ち止まりながら、時には寄り道をしながら進むのが適しているはず。ぜひコミュニティサイクルを利用して、千葉市を探検してみてくださいね。


稲毛区エリア

CHIBA FOTOの会場は「中央区エリア」「稲毛区エリア」の2つのエリアに分けることができます。
各エリアは京成電鉄を使って千葉駅で結ばれているので、移動もスムーズ。すべて自転車での移動も楽しいですが、今の季節は熱中症も心配です。コミュニティサイクルは駅の近くのポートで乗り捨て可能なので、一旦返却してから次の駅で借りることをお勧めします。

▲稲毛区エリア 以下、作家名の前に地図に表示された番号を付しています。

稲毛区エリアで展示中の作家は以下の通り。
千葉市ゆかりの家・いなげや、神谷バーの創設者としても知られる旧神谷伝兵衛稲毛別荘など、建物としても魅力あふれる場所が会場となっています。

▲旧神谷伝兵衛稲毛別荘 今回は金川晋吾さんの「他人の記録」、横湯久美さんの「時間 家の中で 家の外で」の会場となっています。


⑩楢橋朝子 「SEA SIDE LINE」
  会場:千葉市ゆかりの家・いなげ

⑪金川晋吾 「他人の記録」
  会場:旧神谷伝兵衛稲毛別荘地下1階・1階

⑫横湯久美 「時間 家の中で 家の外で」
  会場:旧神谷伝兵衛稲毛別荘2階

また、稲毛区エリアでは稲毛の歴史を「アーカイブ展示」として公開。
かつて森鴎外や田山花袋など著名な小説家などが旅館を訪れ、また、海辺の別荘地として、半農半漁の地として栄えた時代から、海岸の埋立により大きく変化した現在までの姿を振り返ります。(会場:千葉市民ギャラリー・いなげ)


中央区エリア


千葉駅を中心とした中央区エリアでは、駅前のそごう千葉店、千葉市美術館、千葉公園、そして千葉市中央コミュニティセンターがそれぞれの会場となっています。
一見離れているように見えますが、各会場はモノレールの路線で結ばれているため、移動はスムーズ。
また、千葉市内は自転車レーンが整備されているので、先ほどご紹介したコミュニティサイクルで走るのも気持ちが良いですよ!

①宇佐美雅弘 「宇佐美正夫 千葉 2021」 会場:そごう千葉店9階 滝の広場

②川内倫子 「as it is」 会場:千葉市中央コミュニティセンター松波分室

こちらは実際に伺ったのでレポートを。
会場となっている千葉市中央コミュニティセンター松波分室は、市に寄贈された個人邸宅。現在は公民館としての役割を担っています。

▲千葉市中央コミュニティセンター松波分室

ここが本当に素敵な場所で……。
グラフィックデザイナーのおおうちおさむさんが会場を展示仕様にされているのですが、作品との相性が良すぎて、思わず長居をしてしまいました。





川内さんの作品は普段大きな会場で観ることが多いですが、今回「家の中」を使うことで、新たな親密さを受け取ることができたように思います。
映像作品は必見! ぜひ時間に余裕をもって訪れてくださいね。


③a,③b 清水裕貴 「コールドスリープ」
会場:千葉市中央コミュニティセンター2階 店舗跡地、そごう千葉店 海側南エレベーター

▲千葉市の中心地区に栄えた旧花街「蓮池」と、かつて海辺の避暑地として多くの別荘を擁した稲毛をモチーフに、過去と未来が行き交う物語。

小説家としても活動されている清水さんは、本作で写真と文章によるインスタレーションを展開します。
作品とリンクする小説『コールドスリープ』は、会場でも冊子が配布されていますが、以下のURLからもダウンロード可能です。展示を観に行く前に小説を読み、会場で世界観を味わうのも良さそうですね。
『コールドスリープ』▶https://sennoha-art-fes.jp/chibafoto/artists/yuki_shimizu


夏は蓮の名所としても有名な千葉公園では、2つの展示を展開中。
好日亭はもみじの美しい静かな茶室、蓮華亭は蓮池に佇む円形の建物です。

④新井 卓 「AT THE SHORELINE 汀にて」
会場:好日亭 千葉公園内

⑤吉田志穂 「空白と考古学」
会場:蓮華亭 千葉公園内


千葉市美術館では、蔵 真墨、佐藤信太郎、本城直季、北井一夫といった4人の作家による展示が行われています。

▲佐藤信太郎「Geography / Boundaries」千葉市美術館 さや堂ホール

いずれも千葉に住む人々や風景、くらし、歴史に着目した内容となっており、中でもミニチュアのような風景を生み出す本城直季さんは「地域と学校」と題して3つの小学校と高等特別支援学校を撮影。そのほか緑豊かな民家、湾岸の工場、横浜マリンスタジアムと、あらゆる千葉の顔を本城流の手法で写し取っています。



▲本城直季「地域と学校」千葉市美術館9階 市民ギャラリー 木のパーテーションで区切られた空間が、優しい印象を与えます。

当初2020年に開催される予定だったCHIBA FOTOは、新型コロナウイルスの影響で1年の延期を余儀なくされました。しかしそれを逆手にとって、「さらに作品を増やすことができた」と語る本城さん。

▲「いろいろな人に協力していただき、撮影を進めることができました。今回撮影させてくださった皆さんに見に来てもらえたら」と本城さん。

▲千葉市立高等特別支援学校の学生たち。手書きの文字は本城さんによるものです。

コロナ禍での撮影は決して容易ではありませんでしたが、未曾有の事態に直面している「今の学校における運動会」を収めるという、ジャーナリスティックな視点でもアプローチをされています。

今回見どころのひとつとして挙げられるのが、コマ撮りの映像作品。
本城さんというと4×5サイズの大判カメラを使った作品が代表的ですが、こちらは35ミリのカメラを使い、約1万回シャッターを切って画像をつなげています。

▲千葉市立稲毛第二小学校の運動会の様子。コマ撮り写真をつなげた映像は、とにかくかわいい! 思わず見守る気持ちになりました。




このように、空から見る、近寄って見る、遠く見渡すようにして見るなど、普段見ている視点と違った角度から物事を見るだけでも、世界の感じ方は大きく変わります。
それは物理的な角度だけでなく、心理的な角度も同じこと。
人はどうしても「まだ見ぬ遠いところにこそ魅力的なものがある」と思ってしまいがちですが、まずは自分の身近なものに目を向けることで、改めて遠くに何があるのかを理解できるのではないでしょうか。

コロナ禍により遠出がしにくくなったことでそれを再確認するのは皮肉ですが、日々のスピードの早さに身の回りを見つめる機会を失っていた私たちにとって、こういった芸術祭の存在は、地に足をつける重要な機会なのだと思います。

CHIBA FOTOは9月12日まで開催します。
千葉発の写真芸術祭で、ぜひ新しい世界と出会ってみてください!


CHIBA FOTO


会期:2021.8.21(土)~ 9.12(日)
会場:千葉市内各所(詳細はホームページにてご確認ください)
ホームページ:https://sennoha-art-fes.jp/





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