建物自体が重要文化財!今すぐ巡りたい美術館・博物館10選

2021/9/7 09:30 Tak(タケ) Tak(タケ)

日本美術や仏像の展覧会の目玉として展示されている国宝や重要文化財指定を受けたお宝作品たち。

ポスターやwebでも一番目立つところに配され展覧会の期待値をぐんと高めてくれる存在として機能しています。


文化財高精細画像公開システム 「e国宝」
https://emuseum.nich.go.jp/

「e国宝」や「国指定文化財等データベース」でどんな作品が国宝・重文指定を受けているか見てみると、曜変天目や法隆寺金堂のような超一級品のお宝に混じり、あれ?こんなものまで…といったものも見つかります。

検索しているときりがなく、まさに時間泥棒サイトです。

さて、今日はそんな文化地指定を受けた作品ではなく、建造物、しかも美術館・博物館として現在使用されているものに注目。

まずは都内にあるミュージアムをまとめてみました。全て建物自体が重要文化財となっています。

1:東京国立博物館(本館)


1938年(昭和13年)開館。「旧東京帝室博物館本館」として重文指定を受けたのは2001年です。

鉄筋コンクリート造りの建物に和風瓦葺の屋根を載せた「帝冠様式」と言われる建築様式は、日本独自の和洋折衷建築の代名詞的存在です。

尚、東京国立博物館本館中央ホールはドラマ「半沢直樹」で使用され一躍観光スポットになりましたが、それまでも多くのドラマ、映画、CMの撮影場所として使われている所謂「映える」空間です。

2:東京国立博物館(表慶館)


1909年(明治42年)に当時の皇太子殿下(大正天皇)の御成婚記念として、東宮御慶事奉祝会より献上された開館したのが本館の隣に建つ表慶館(ひょうけいかん)です。

つまり、本館よりもその歴史は古く東京国立博物館敷地内にある建物の中でも最古参の存在です。それどころか表慶館は日本ではじめての本格的な美術館なのです。

昭和53年(1978)に、重要文化財に指定され、常設展示は行っていませんが、年に数回企画展を開催しています。豪華な内観はもちろん、入口両脇に配されたライオン像にも注目です。

3:国立西洋美術館(本館)


  1959年(昭和34年)に完成した「松方コレクション」を収蔵・公開するために立てられた美術館。現在はリニューアル工事中で閉館していますが、2022年の春にはまた多くの人に優れた西洋美術作品を見せる場として開館します。

  「松方コレクション」だけでなく毎年西洋美術作品を購入しコレクションを増やしています。フランス人建築家ル・コルビュジエ(1887-1965)の思想に基づいた空間は他に類を見ない独特の趣があります。

  重文指定を受けたのは、2007年(平成19)のこと。2016年には「ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-」の構成資産として世界文化遺産にも登録されています。

4:国立科学博物館(旧東京科学博物館本館)


1877(明治10)年に創立された自然史・科学技術史に関する国立の唯一の総合科学博物館。通称「科博(かはく)」。現在の建物が出来たのが1931年(昭和6)。トーハク(本館)よりも古参となります。戦争中は所蔵品を疎開させたそうです。

重文指定は2008年(平成20)に受けています。19世紀前半からヨーロッパで始まった建築様式「ネオ・ルネサンス様式」を採用した建物は威風堂々と上野公園のヌシとして存在しています。

ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」や「下町ロケット」「DoctorX」など数えきれないほどのドラマや映画の名場面として使われています。

5:東京都庭園美術館


朝香宮鳩彦王の私邸として建てられ完成したのが1933年(昭和8年)のこと。当時西欧で最先端であったアール・デコ様式をふんだんに取り入れたとても優美な建物です。

吉田茂の外務大臣公邸、西武鉄道の白金プリンス迎賓館として使用された後、1983年(昭和58年)に都営の美術館としてオープンしました。

それから約40年が経過し現在では建物を活かした都心のオアシス的存在として我々を楽しませてくれています。本館(旧朝香宮邸)の建物だけでなく庭園などを含め一括して2015年に重文指定を受けています。


旧朝香宮邸物語―東京都庭園美術館はどこから来たのか

6:三井記念美術館(三井本館)


三井記念美術館は元々別の用途(銀行やオフィスビル)で建てられたビルの7階フロアをリニューアルし美術館として活用しています。

重要文化財「三井本館」が建てられたのは1929年(昭和4)のこと。昭和初期の日本を代表する建物として、凜とした雰囲気で現在も日本橋のランドマークとして威厳を放っています。

7階にある美術館へ行くにはエレベーターを用います。それも開館当時のまま!なんと現役で動いているのです。矢印形の針で階数を示すアナログ感がたまりません。

7:東京ステーションギャラリー


赤レンガでお馴染みの東京駅の皇居側、丸の内駅舎は1914年(大正3)竣工した鉄骨煉瓦造の建物。日本銀行本店他多くの近代日本建築を手がけてきた辰野金吾設計によるものです。

関東大震災にも耐え、戦争で一部破損してしまったものの現在では当初の姿に復元されています。2003年(平成15)に重要文化財に指定されました。

そんな歴史ある東京駅丸の内駅舎内にある美術館が東京ステーションギャラリーです。赤レンガの壁が展示空間となりここだけでしか味わえない美術体験が出来る場所として人気を博しています。

8:明治神宮宝物殿


明治神宮にお参りに行っても宝物殿まで足を延ばす方は中々いないのではないでしょうか。宝物殿は明治神宮境内の北方に位置しています。

その歴史は古く、明治神宮が創建された翌年の大正10年(1921)に竣功しています。建築様式は奈良の正倉院の校倉造りを模した校倉風大床造り。日本初期の鉄筋コンクリート建築の代表的な建物です。

2011年(平成23)に重要文化財に指定され、現在では所蔵品を原宿駅近くに令和元年にオープンした「明治神宮ミュージアム」(隈研吾設計)で展示公開しています。

明治神宮の杜と調和した真新しいミュージアム

9:高島屋東京店(日本橋高島屋)


1933年(昭和8)に鉄骨鉄筋コンクリート造,地上8階建,地下3階建の髙島屋東京店(日本橋高島屋)は百貨店建築として初めて2009年(平成21)に重要文化財に指定されました。

髙島屋へ行くと今でもエレベーターガールが行先階を聞き対応していますが、それもそのはず。あのエレベーターは昭和8年からある手動のものなのです!

そのエレベーターに乗り本館8階ホールへ向かうと美術館と同レベルの展覧会が開催されています。館全体が見どころですし、晴れた日には是非屋上へ行ってみて下さい。

10:静嘉堂文庫美術館(明治生命保険相互会社本社本館)


2022年秋に、創設130周年・美術館開館30周年を迎える静嘉堂は、美術館展示ギャラリーを丸の内の明治生命館1階に移転し新たな歴史を刻むことになりました。

移転先の明治生命館は、1934年(昭和9)に竣工した古典主義様式の最高傑作として高く評価されている歴史ある建物です。1997年(平成9)に昭和期の建造物としては初めて国の重要文化財に指定されました。

その1階に新たに居を構えることになった静嘉堂文庫美術館。多くの国宝・重文を所蔵する静嘉堂が2022年以降どんな展覧会を見せてくれるのか今から楽しみでなりません。



この他に、聖徳記念絵画館や旧東京国立近代美術館工芸館(旧近衛師団司令部庁舎)の建物も重要文化地です。

また、お隣の神奈川にも神奈川県立歴史博物館(旧横浜正金銀行本店本館)や旧神奈川県立近代美術館 鎌倉 が重要文化財指定を受けています。

→【穴場スポット】北の大地に無料で観られる重要文化財があった!

→この外観でスタバ!?明治、大正、昭和の洋館が原型のまま残る、レトロモダンな洋館の街・弘前


東京レトロ建築さんぽ