明治神宮の杜と調和した真新しいミュージアム

2019/11/13 12:35 Tak(タケ) Tak(タケ)

明治神宮が所蔵する御祭神ゆかりの品を公開する新たな施設として、「明治神宮ミュージアム」 が建造され令和元年(2019年)10月26日にオープンしました。



これまでは、明治神宮宝物殿 (重要文化財 )で公開されてきましたが、明治神宮宝物殿の修復工事及び宝物展示室の開館 (平成三十年一月 ) を機に、新施設「明治神宮ミュージアム」にその役割がバトンタッチされました。

明治神宮 鎮座百年記念事業の一つとして新造された「明治神宮ミュージアム」の建築設計を担ったのは隈研吾氏。



隈研吾建築都市設計事務所設計による明治神宮の社と調和した新施設 「明治神宮ミュージアム」は最適の展示環境により、御物や展示作品の歴史的意義を多方面からとらえ、そしてその美しさ貴さを鑑賞することが出来ます。

展示物は、明治天皇・昭憲皇太后が実際に御使用された御物や、明治天皇が御在位中に保護を奨励された明治時代の 美術工芸品など多岐に渡っています。



30年ぶりの露出展示により、憲法発布式御乗用「六頭曳儀装車」を直接見ることができます!宝物殿にケース内に常設展示されていましたが、初めて目にする方がほとんどではないでしょうか。

展示室の天井をよく見ると弧を描いた変わった形状をしていることに気が付かれるはず。これは嘗ての展示空間であった明治神宮宝物殿 (重要文化財 )へのオマージュとして同じような天井にしてあるのです。



屋根は1階内部からでもその特徴がよく観られます。入母屋(いりもや)形式が採用され、広々としたlFメ インロビーでは、破風(はふ。 三角の部分)からも神宮の社を眺められるようになっています。

建物の中にいながら社の中にいるような一体感、連続性のある空間はとても居心地がよく、ついつい長居をしたくなります。



館内に設置されている木製のベンチにも是非注目して下さい。

明治神宮の社の本々で、 風雨によつて折れたり 、自然に地に伏すもの、またやむを得ず伐採した樹木を再利用しミュージアム内の椅子や什器類に活用されています。

こうした点も外と内との一体感を現しています。椅子の他、エントランスカウンター、1階社の展示室の展示什器にも神宮内のケヤキとクスが再利用されています。


杜の展示室(1階)

また、建物の配置も気を遣い、明治神宮の社を極力保全できるように、樹木の配置を確認しながら建物を雁行配置となっています。

それと並行して、傾斜を持つた敷地に逆らわないように建物を埋め込み、社との調和が図られています。他にも外壁面や柱なども御本殿の玉垣の寸法に合わせたりと細やかな配慮がなされているのが特徴です。



主な展示空間は2階にあります。

先ほど紹介した「六頭曳儀装車」や明治天皇の御尊影や明治天皇がご着用になられた御束帯「黄櫨染御袍」が展示されている宝物展示室と、企画展示室の2部屋から成ります。

御束帯「黄櫨染御袍」は先日行われた即位の礼で、今上天皇がご着用なさっていたのをテレビを通してご覧になられたはずです。

天皇しか着用が許されない太陽の光の色をした御束帯「黄櫨染御袍」の画像はこちらから。



そして忘れてはいけないのが映像ルームの存在です。

明治神宮の四季や普段見られない神式を収めた映像が大迫力の3面モニターに映し出されます。途中で離席することが憚られる圧倒的な美しさで迫ります。

因みに、めちゃめちゃ座り心地の良い椅子も隈研吾建築都市設計事務所による特注品です。



JR原宿駅・東京メトロ明治神宮前駅から僅か徒歩5分の場所にこんな素敵なミュージアムが出来たこと、まだあまり知られていません。

混雑する前に是非、一度足を運んでみて下さい。愛らしいオリジナルグッズも館内で販売しています。


「天皇陛下御即位奉祝 明治神宮ミュージアム開館記念展」

会期:令和元年10月26日(土)~令和2年3月29日(日)
(前期)明治宮廷の世界 令和元年10月26日(土)~令和2年1月19日(日)
(後期)明治神宮の鎮座 令和2年1月25日(土)~3月29日(日)
開館時間:10:00~16:30
※最終入館は閉館時間の30分前まで。
休館日:木曜日
令和2年1月20日(月)~24日(金)は展示替期間のため休館。
令和元年11月14日(木)、令和2年1月2日(木)は開館。
会場:明治神宮ミュージアム
(東京都渋谷区代々木神園町1-1)
http://www.meijijingu.or.jp/homotsuden/