あの頃のファッションが懐かしい!今でも新鮮なオシャレの世界

2021/6/22 21:20 明菜 明菜



『ファッション イン ジャパン 1945-2020 —流行と社会』に行ってきました! 出品作品数は800点を超え、超有名ブランドやデザイナーの作品を含む衣服、写真、雑誌、映像などが展示されております!



今回の展覧会が特別なのは、導入部分の昭和初期から最先端のファッションまでを幅広く展示していること。

自分の青春時代に流行ったファッションを見て「懐かしい〜!」と楽しむこともできますし、生まれる前のファッションに新鮮さを見出すこともできます。



このコラムでは、私が面白い!と感じたところをお伝えしますね。

■オシャレを更新してきたファッションの歴史



戦後に洋裁文化が花開き、日本のファッションの歴史は幕を開けます。海外のブランドが日本でも買えるようになり、日本人のデザイナーも登場し、洋服は作るものから買うものへ変わっていきました。



森英恵さんは1950〜60年代の映画の衣装を数多く手がけました。映画『君の名は』の「真知子巻き」、映画『狂った果実』のアロハシャツなど、歴史に残る大流行が生まれました。



1980年代は日本のファッションの一つのピークではないでしょうか。コシノジュンコさんのオリジナリティ溢れる作品もありました。



円や四角、三角のように対極のイメージを一つの作品にまとめた、不思議なファッションです。他の誰の衣服にも似ていない、コシノさんにしか作れないデザインですね。



1990年代や2000年代は、1991年生まれの私も記憶があって懐かしいところ。ゴスロリファッションはサブカル中のサブカルでしたが、今では「ゴスロリ」は一般的にも使われる言葉になりました。映画『下妻物語』の影響もあるかも?

当時の雑誌や広告、さまざまなカルチャーも展示されており、時代の空気感が伝わってくるのもポイントです。



特に80年代のテレビ文化のセクションは、懐かしさを感じるのではないでしょうか?

小泉今日子さんが身につけた衣装や、チェッカーズのレコードのジャケットもあり、青春時代の記憶がぶわっ!と蘇る方も多いのでは。



こうして歴史を辿ると、「今までになかったものを作る」のがファッションの歴史の大きな流れだったのだと分かります。オシャレをどんどん更新してきたのですね。

■オシャレにとどまらないファッションの役割

こちらは『ファイナルホーム』というブランドの衣服。新聞紙などが衣服に詰まっています。



この作品は、「もし、災害や戦争、失業などで家をなくしてしまったとき、ファッションデザイナーである私は、どんな服を提案できるか、またその服は平和なときにどんな姿をしているのだろうか」と考えた津村耕佑さんによるもの。

新聞紙や食料、懐中電灯などを入れられるので、非常時に役立ちます。それだけでなく、ストリートファッションのかっこよさも両立しており、平時でも着られるデザインを目指しています。



そういえば、人に見せない肌着も進化していますよね。薄いのにあたたかい肌着、夏は着ることで涼しく感じる肌着など、快適な暮らしと環境問題への解答を両立しています。

バブル崩壊後は、金融ショックや震災の影響もあってか、ファッションにはオシャレなだけでなく実用性も求められるようになったと思います。実用とオシャレは正反対なように思えますが、どうやって両立するのかも、デザイナーの腕の見せ所なのですね。

■未来のファッションってどんなの?

本展では、未来のファッションをイメージさせる最新のコレクションも展示されています。



これからのファッションに求められるのは、オシャレと実用性だけではありません。社会が直面する課題は、そのままファッションの課題でもあるのです。

環境や労働搾取の問題に取り組み、サステイナブルな社会の実現を目指したり、ジェンダーレスファッションなど多様な価値観を踏まえたデザインを生み出したり。

また、コロナ禍でライフスタイルが一変し、ファッションはどんな暮らしを提案できるのか、といった課題もあります。



本展を通じ、「ファッションってインフラなのかも!」と思いました。衣服は誰にとっても必要なもので、一人一人の暮らしを支え、ひいては社会を支えるものだからです。

懐かしのファッションや広告にキャッキャしながら楽しんでいたら、いつのまにか現代社会の課題に向き合える、奥深い展覧会です。昭和初期から2020年までのファッション史を網羅する、膨大な展示が楽しい展覧会でした!

『ファッション イン ジャパン 1945-2020 —流行と社会』
会期:2021年6月9日(水)~9月6日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室1E
展覧会ホームページ:https://fij2020.jp