新しい大学ミュージアムがグランド・オープン!~無料で楽しめる知的ワンダーランドに行ってきた。

2021/5/9 20:45 yamasan yamasan

こんにちは、いまトピアート部のyamasanです。

以前のコラムでも無料で楽しめる大学ミュージアムを紹介しましたが(⇒大学でアートを楽しもう!)、今回は今年(2021年)4月にグランド・オープンした「慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo)」の様子をレポートしたいと思います。

慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo)

アクセス
慶應義塾大学 三田キャンパス 東別館
(〒108-8345 東京都港区三田2-15-45)
JR田町駅、地下鉄三田駅、赤羽橋駅より徒歩8分(桜田通り沿い)
三田キャンパス東門から中に入らずに、桜田通り沿いを南に少し歩くと東別館の白亜の建物が見えてきます。


現在開催されているのは、グランド・オープン記念企画「交景:クロス・スケープ」。
さっそく会場内に入ってみることにしましょう。

交景:クロス・スケープ

会 期 2021年4月19日(月)~6月18日(金)
開館時間 10:00~18:00
土・日・祝日 休館
入場料無料
事前予約制 予約方法はKeMCoのウェブサイトでご確認ください⇒慶應義塾カルチャーパス
展覧会の詳細、新型コロナウィルス感染防止対策等については公式サイトをご覧ください⇒慶應義塾ミュージアム・コモンズ



はじめに1階で受付を済ませてから、3階→9階→8階の順に回ります。

3階 第1景 文字景-センチュリー赤尾コレクションの名品に見る(ふみ)(かたち)
9階 第2景 集景-集う景色:慶應義塾所蔵文化財より
8階 KeMCo StudI/O(ケムコ・スタジオ)

1階受付ではカラー図版や詳しい作品解説が掲載された冊子をいただきました。左が「文字景」、右が「集景」の冊子です。


それではまず3階から。
※3階展示フロアは撮影OKです。

第1景 文字景-センチュリー赤尾コレクションの名品に見る(ふみ)(かたち)

センチュリー赤尾コレクションは、旺文社創業者の故・赤尾好夫氏(1907-85)により設立されたセンチュリー文化財団が収集した書画、典籍、工芸美術品などのコレクションで、2018年に同財団が所蔵する全2,325件が慶應義塾に寄贈されることが決定して、それが慶應義塾ミュージアム・コモンズ設立のきっかになりました。

旺文社さんには受験のとき大変お世話になりましたが、ここで素晴らしいコレクションにめぐり会えるとは想像していませんでした。重ね重ねの感謝です。

Room1展示風景


Room1には、江戸時代の三十六歌仙屏風、平安時代の金字の納経、経典が収められていた経筒、中国の紀元前の鏡、そして古筆切など、文字にまつわるさまざまな文化財が展示されています。

私のお気に入りの柿本人麻呂の肖像を見つけました。
かしこまった姿や表情をしている三十六歌仙の中で、一人だけくつろいだ姿勢をしていい味出してます。

《三十六歌仙絵巻》(部分) [詞書]伝冷泉為相筆 鎌倉時代中期 13世紀 紙本淡彩(センチュリー赤尾コレクション)

奥に展示されているのは古筆切です。



Room2には、源氏物語や平家物語に関する書画が展示されています。

Room2展示風景


蒔絵のおしゃれな箱(箪笥)に収められた源氏物語。江戸時代の大名家や公家などには、このように豪華に仕立てた書物を嫁入り道具として加える習慣があったとのことです。

Room2の奥には源氏物語や平家物語の一場面を描いた絵画が展示されています。


エレベーター前では、くずし字を読み取るソフト「みを」を実体験することができます。タブレットの「みを」を起動させて本の上にかざしてカメラボタンを押すと、くずし字が見やすい活字になって画面に表示されるのです。



続いて9階へ。

第2景 集景-集う景色:慶應義塾所蔵文化財より

9階は、慶應義塾所蔵の絵画や彫刻が展示されている「集景」のエリア。
展示作品数は16点ですが、千住博氏の初期のシュールな作品や、宇佐美圭司氏の大作、パウル・クレーのリトグラフなどもあって、バラエティーに富んだ内容です。
※9階は撮影NGです。


(展示作品一覧。「集景」の冊子より)

9階を見終わった後は、8階KeMCo StudI/Oへ。
※8階は撮影OKです。
円柱とカーテンに描かれているのは、大山エンリコイサム氏の《FFIGURATI #314》。

カーテンは転写プリントしたものですが、左の円柱の絵は大山氏が実際にこの場でスプレーで描いたものだそうです。


テーブルの上のモニターでは、おうちで楽しめるオンライン展覧会「RoomX」のデモンストレーションが体験できます。
「RoomX」内にある展示作品のアイコンをクリックすると作品の拡大画像や、作品解説が出てくるので、ぜひご自宅でもお試しください⇒Keio Exhibition RoomX 交景:Cross-scapes

KeMCo StudI/Oは現実(アナログ)の文化財とデジタル空間をつなぐ場。学生さんたちからKeMCo StudI/Oについて丁寧な解説をおうかがいすることができました。
最後にお土産にいただいたのが3Dプリンターで制作したしおり。


ただし、このしおり、普通のしおりではありません。


1階奥のプロジェクションマッピングのコーナーでしおりの上の丸い部分を右の円盤の好きな図柄のアイコンにかざすと、Keio Museum Commonsの文字に、選んだ図柄が投影されるのです。屛風、巻物、鏡など展示作品にちなんだ図柄もあります。
 
貴重な文化財を拝見できて、画像や映像も体験して、十分楽しませてもらいましたが、これだけではありません。

大学キャンパス内の図書館展示室で関連企画を開催していますので、ぜひこちらもお立ち寄りください。

(西洋)文字景 慶應義塾図書館所蔵西洋貴重書にみる書体と活字

会 期 2021年4月14日(水)~5月29日(土)
開館時間 平日 9:00~18:20
土・日・祝日 休室
(ただし、5月29日(土)は開室予定、5/29の開館時間は9:00~16:50)
入場料無料
事前予約制 予約方法はKeMCoのウェブサイトでご確認ください⇒慶應義塾カルチャーパス
今回の展覧会の冊子。展示室内に置いてありますので1部いただきました。


図書館入口の受付でKeMCoの事前予約のメールを見せて入館パスをもらい中に入ります。入口正面すぐが展示室です。
古代エジプトのヒエログリフに始まって、中世ヨーロッパの色鮮やかな写本まで全27点。細部までじっくり見て西洋の文字の景色が楽しめます。




今回紹介した建物の三田キャンパス内の位置図はこちらです。


今回は南別館1階のアート・センターは紹介できませんでしたが、次の機会にぜひ行ってみたいです。

見どころいっぱいの魅力的な大学ミュージアムがまた一つ増えました。これからの展開が楽しみです。