大学でアートを楽しもう!~無料で楽しめる大学ミュージアムガイド~

2018/5/22 22:00 yamasan yamasan

今年も早稲田大学ミュージアムウィーク が始まりました!


早稲田キャンパスにある3つのミュージアムはいつでも入場無料!
さらにミュージアムウィーク期間中にはイベントやオリジナルグッズのプレゼントもあるので、うれしさ倍増!

キャッチコピーは「予想外が待っている」。
どんな予想外が待っているのか、ぜひこの機会に各館のイベント情報をチェックしてみましょう!
開催概要はこちらです。

早稲田大学ミュージアムウィーク
会場 早稲田大学 早稲田キャンパス内
   演劇博物館、會津八一記念博物館、早稲田大学歴史館 他


開催期間 5月21日(月)~6月1日(金)
開館時間 10:00~17:00(演劇博物館は火・金19:00まで)
(他にも16:30で終了するイベントや、演劇博物館の夜間ライトアップなど夜間に開催するイベント、日時限定のイベントもあるので、詳細は事前にご確認の上、お出かけください。)
入館無料
館内は3館とも撮影不可です。
アクセス
 東京メトロ 東西線 早稲田駅 徒歩5分 副都心線 西早稲田駅 徒歩17分
 JR山手線・西武新宿線 高田馬場駅 徒歩20分
 都電荒川線 早稲田駅 徒歩5分


それでは3つミュージアムをご案内しましょう。

こちらが演劇博物館 です。
通称「エンパク」は、今年10月に開館90周年を迎えるにあたって、去年の夏から全館改修して3月23日にリニューアルオープンしました。
リニューアルといっても、正面の舞台が開館当時の姿に戻され、館内の板張りの廊下もそのままで、明治時代の洋館の趣きが残されています。
開館時間 10:00~17:00(火・金は19:00まで)
ミュージアムウィーク期間中は無休です(ミュージアムウィーク期間以外は、毎月第1、第3水曜日などが休館日です。休館日は上記公式ウェブサイトでご確認ください)。



次は、今年3月に開館したばかりの早稲田大学歴史館
オープンしたばかりなので外観、内装ともきれですが、入口にはギリシャローマ風の円柱、内装は洋館風でとてもオシャレです。
開館時間 10:00~17:00
ミュージアムウィーク期間中は無休です(ミュージアムウィーク期間以外は、祝日、毎月第1、第3水曜日などが休館日です。休館日は上記公式ウェブサイトでご確認ください)。



そして、アートファンにとって見逃せないのが、5月15日に創立20周年を迎えた
會津八一記念博物館
東洋美術史の研究者 會津八一(1881-1956)の古美術コレクションをはじめとした美術作品を所蔵しています。
開館時間 10:00~17:00(入館は16:30まで)
ミュージアムウィーク期間中は5月27日(日)だけ休館ですので要注意(ミュージアムウィーク期間以外の休館日は日曜・祝日、大学の定める休日などです。休館日は上記公式ウェブサイトでご確認ください)。



會津八一記念博物館の中でも特に注目なのは、横山大観と下村観山の合作、直径4.5mもある大作《明暗》(昭和2(1927)年作)。

不定期に公開している《明暗》ですが、ミュージアムウィーク期間中は、5月24日(木)、25日(金)、26日(土)、31日(木)、6月1日(金)に公開されます。

こちらは《明暗》の丸い絵はがき。直径12cmです。



會津八一記念博物館に入ってすぐ、図録コーナーに収蔵品の絵はがきが置いてあります。背景に余白の入った四角形バージョンもありますが、丸いバージョンを購入しました。1枚150円。代金は受付で。

この《明暗》は、「明」の太陽の部分を観山、「暗」の雲煙の部分を大観が描きました。
この作品を大学が依頼する際、絵具代を3,000円ばかりを用意したのですが、これだけ大きな紙を漉くのと、金泥を用意するだけでゆうに3,000円は超えてしまったそうです。

昭和2年当時の学費が年間約140円。現在の早稲田大学の文系の学費が年間約120万円なので、単純に学費と対比すると約2,500万円!

1階ホールから大階段を見上げた正面に展示されています。2階から見ることもできます。

《明暗》と並んで會津八一記念博物館の近代日本画コレクションの双璧をなす前田青邨《羅馬使節》も公開されます。
公開日は《明暗》と微妙に異なるので、こちらをご確認いただき、せっかくなので同時に公開されている日にお出かけになってはいかがでしょうか。
5月~8月《明暗》《羅馬使節》公開日

こちらは《羅馬使節》が表紙のパンフレット。中を開けて館内の10点の作品をチェックするとポストカードがもらえます!



《羅馬使節》を原画にした大きなタペストリーが大隈会館入口左側に掛かっているので、ぜひこちらにもお立ち寄りください。

そしてもう一つの注目は、画家で前館長の藪野健氏が選んだ會津八一記念博物館の名品の数々。
(「創立20周年記念・藪野健が選ぶAIZU MUSEUM名品展」は6月16日(土)まで開催されています。)



展示作品は全部で34点。

まずは1階の企画展示室で展示作品リストを受け取りましょう。
企画展示室には、異彩を放った鴨居玲の《自画像》はじめ、油彩を中心に17点の作品が展示されています。

続いて、2階に上がって、ホールには黒田清輝《大隈重信肖像》、常設展示室内の入口側の壁には、水墨の竹の描写がさわやかな横山大観の《清涼》、紅葉の赤が鮮やかな前田青邨の《紅葉》をはじめとした近代日本画の逸品、さらに反対側の壁には現代作家の油彩が展示されています。

そして、現代の日本画家・中島千波と洋画家・佐々木豊の大作は早稲田大学歴史館の企画展示ルームに展示されています。(こちらは6月14日(木)までの展示です。)

5月24日(木)、6月1日(金)15:00~16:00には「藪野健と観る AIZU MUSEUM名品展」が開催されます。参加者には會津八一記念博物館オリジナルクリアファイル・絵葉書3枚セットのプレゼントがあるという、とてもうれしい企画です。



実は、この會津八一記念博物館にはもう一つ、私の隠れ家的な展示室があります。
それは、1階にある富岡重憲コレクション展示室です。
會津八一記念博物館は、日本重化学工業株式会社の初代社長・富岡重憲氏(1896-1979)が蒐集した東洋美術を中心としたコレクションを旧富岡美術館の閉館に伴い寄贈を受け、この富岡重憲コレクション展示室で年5~6回、企画展を開催しています。
展示室は小さな部屋ですが、どの企画展でも富岡コレクションの逸品が展示されているので、最近ではほとんど毎回欠かさず来ています。
ちょうどギャラリートークの日にあたって、担当学芸員の方の興味深いお話をおうかがいするという偶然にめぐり会ったこともありました。

現在の企画展は「近代の日本画」(6月16日(土)まで。一部展示替えあり)。
今回のメインは、明治に入ってからも文人画にこだわり続けた「最後の文人」富岡鉄斎。



久隅守景の国宝《納涼図屏風》(東京国立博物館蔵)とおなじモチーフの「夕すずみ図」は夕方の家族のくつろいだ雰囲気がよく出ています。
また、背景の青が鮮やかな前田青邨の《双鶴図》も必見です。

さて、絵を見たり、館内を歩いたりしていたらお腹が空いてきました。
そういうときは、大隈庭園を眺めながら大隈ガーデンハウスにある学食でランチを食べるのがおススメです。
もとは大名庭園だった大隈庭園。太平洋戦争時の空襲で廃墟と化しましたが、多くの人々の努力により、ほぼ昔の景観どりに復元されました(案内板より)。

正面のガラス張りの建物が大隈ガーデンハウスです。学食はこの建物の2階と3階で、窓に向かって座る席もあります。



私は鉄板おろしハンバーグ401円、ライス(大)162円、赤だし味噌汁42円、計605円のランチをいただきました。新緑の庭園を眺めながら食べるランチは格別でした。

無料で入館できて、プレゼントまでもらえて、こんなお得な機会は逃すわけにはいきません。
この機会にぜひみなさんも早稲田ミュージアムウィークをチェックしてみてはいかがでしょうか!

早稲田大学以外にも、私のおススメの「無料大学ミュージアム」があります。

國學院大學博物館
開館時間 10:00~18:00(入館は17:30まで)
開館日 通年(土、日、祝日含む)
休館日 不定期(同館ウェブサイトの開館カレンダーでご確認ください)
入館料 無料
アクセス JR渋谷駅またはJR恵比寿駅から約15分

入場無料というだけでなく、國學院大學の先生によるミュージアムトークにも無料で参加できます。
また、博物館から道路を渡った向かい側の3号館2階の学食も時々利用していますが、値段も手ごろ、メニューも豊富です。


実践女子大学香雪記念資料館
開館時間 11:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日 土・日・祝日・大学休業期間(土曜日開館の企画展もあるので、詳細は同館ウェブサイトでご確認ください)
入館料 無料
アクセス JR渋谷駅から約10分

女子大ですが、正門右の警備室で手続きをすれば男性でも入館できます。
狩野派の清原雪信、明治・大正期に活躍した野口小蘋はじめ、女性画家の上品な作品を多く所蔵しています。


國學院大學と実践女子大学は、地図を見ると敷地は隣どうし、近くには山種美術館もあります。 近隣の美術館散策は、いまトピのコラム ウォーキングと美術館!青山美術館通りを歩こう!! をご覧ください。