日本で最も有名な女性脚本家橋田壽賀子さんが名作ドラマ『時間ですよ』を降板になった理由とは?後任の「向田邦子」とはライバルだった?

2021/4/14 22:00 龍女 龍女

②向田邦子賞の過去の受賞者達

前述しているが、橋田賞は新人の脚本家が対象になっている。
一方で向田邦子賞はプロの脚本家に贈られるのだが、歴代受賞者があまりにもすごいメンツだったので、ここで紹介しよう。

向田邦子賞は、彼女が亡くなった翌年の1982年から始まった。
向田邦子はトップクラスの脚本家で、小説を対象にした日本で有名な文学賞の一つである直木三十五賞も取った希有な存在であった。
彼女の偉大な功績をたたえるとともに、脚本界における権威ある賞を作りたいという主旨もあったに違いない。

記念すべき第一回は


市川森一の『淋しいのはお前だけじゃない』である。
授賞当時のスピーチで市川森一は
「第1回の受賞者として、この賞を権威あるものにするためにも、誰よりも自分に厳しかった向田さんにならって、自分を甘やかさないようにしていきたいですね」
と述べている。


70年代に倉本聰と向田邦子と並んで「テレビドラマ脚本家御三家」と呼ばれた山田太一は、第二回の受賞者である。
対象作品は、『日本の面影』である。
映画『ウェストサイド・ストーリー』が代表作のジョージ・チャキリスが、ラフカディオ・ハーンを演じた
無頼派を代表する作家檀一雄の娘、檀ふみが妻・小泉セツを演じている。檀ふみの代表作の一つである。


岡田惠和は第20回2001年度の『ちゅらさん』で受賞した。


大森美香は今大河ドラマ『青天を衝け』を書いている。
第23回2004年度の『不機嫌なジーン』で受賞した。


古沢良太は今や名前で呼べる脚本家に急浮上した。
第27回2008年度の『ゴンゾウ伝説の刑事』で受賞している。


宮藤官九郎は今や現役で一番人気のある脚本家になった。
第29回2010年度の『うぬぼれ刑事』で受賞した。


第36回2017年度の受賞作、バカリズムが書いた『架空OL日記』は、一般ニュースでも話題になった。
筆者が『架空OL日記』の存在を知ったのは、まだ原作のブログの頃だ。
書き始めて間もなかったので、内容がほとんどなかった。
筆者がほかのことに夢中になっている間にちゃんと完成している。
ドラマになっていたので、びっくりした。
しかも、向田邦子賞まで取った。
何故か嫉妬して歯ぎしりしてしまった。


2020年度の第39回は、橋部敦子の『モコミ~彼女、ちょっとヘンだけど~』
2021年4月6日に発表された。
「(向田邦子賞の)受賞者には本賞の特製万年筆および副賞300万円が授与されます。」
とのことだが、ここにたどり着くまでの大変さを想像すると、新人脚本家の登竜門であるフジテレビのヤングシナリオ大賞の賞金(500万円)より安いのが、微妙なところではある。
参考先・リンク向田邦子賞|東京ニュース通信社[TOKYO NEWS]


③橋田壽賀子と向田邦子はライバルだったのか?
今年の2月の3日間に統計が取られたドラマ脚本家人気ランキングによると、橋田壽賀子は3位、向田邦子は10位である。
このランキング時点で、橋田壽賀子は存命、向田邦子は物故者である。
それを考慮しても、向田人気の根強さはすごいし、現役最年長であった橋田壽賀子もすごかった。

しかし、二人がライバルだった時期はほぼ無い。
それは、橋田壽賀子が初期の名作を書いた時期と、向田邦子が名作を書いた時期が重ならないからである。
山田太一の時に触れたように、周囲がライバル視していたのは、山田太一・倉本聰・向田邦子の3人であった。

橋田壽賀子の生涯における脚本家としての最大のピークは1980年代であった。

この時期、同じように名作を書いていた女性脚本家としてライバルに挙げるとしたら、

むしろ、小山内美江子(1930年1月8日生)であったといえるだろう。
この二人は、TBSで長期にわたったシリーズ(橋田壽賀子が『渡る世間は鬼ばかり』、小山内美江子が『3年B組金八先生』)の脚本家である。
大河ドラマ(橋田壽賀子が『おんな太閤記』『いのち』『春日局』、小山内美江子が『徳川家康』『翔ぶが如く』)の脚本を手がけた点でも、共通点が多い。


晩年の橋田壽賀子は、夫でTBSの元プロデューサーであった岩崎嘉一に先立たれた。
岩崎嘉一は橋田壽賀子よりも年下だったので、もし妻に先立たれたら、その遺産で財団を作り『橋田賞』を作る計画があった。
実際には、橋田壽賀子が存命中に財団を設立し、岩崎嘉一が亡くなった1989年から4年後の1993年に橋田賞が設立される運びになった。
2019年の3時間スペシャルまで『渡る世間は鬼ばかり』の執筆で多忙であったため、脚本家を直接指導することは出来なかったが、熱海の別邸に場所は用意していた。
今後の橋田邸の活用方法は、橋田財団がどうするか注目に値する。

別の面から行くと、ドラマ脚本家人気ランキング上位の3人、宮藤官九郎と三谷幸喜と橋田壽賀子の特徴は、メディアに登場する機会が多い事である。
脚本家の仕事の重要性を、バラエティ番組などに出ることによってアピールしたことも、後身を育てる一助になったと考えると、その先駆者になったのが橋田壽賀子だった。

改めて、ご冥福をお祈りします。


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