こんなにカワイイんだ! 『狛犬さんぽ』で改めて知る狛犬の愛らしさ

2021/3/3 14:10吉村智樹吉村智樹




こんにちは。
ライター・放送作家の吉村智樹です。


3月に入りました
いよいよ春。
行楽のシーズン到来です。
緊急事態宣言が次第に解かれはじめ、街に人出が戻りつつあります。


とはいえ油断は禁物
新型コロナウイルス禍の収束は、まだまだ先
密になるタイプのレジャーは避けるのが無難でしょう。


そのような状況のなか、いま注目されるのが「散歩」
いつもは見慣れた街も、改めて歩いてみると新たな発見があるもの。
歩くのは健康にいいし、気分転換になります。
ひとり散歩はソーシャルディスタンスが保てるので、新規感染拡大のリスクも少ないです。


そういうわけで、おススメの新刊を紹介する、この連載。
第40冊目は「狛犬さんぽ」
ご近所の神社を参拝し、狛犬を愛でてみましょう。


■知らなかった! 狛犬ってこんなにカワイイんだ


神社の参道におすわりしている「狛犬」。注意深く観察した経験はありますか? 「えー、なーんか犬みたいな、ヘンなのがいるなあ程度しか思わなかったな」
そんなふうに素通りしてしまっていたのではないでしょうか。


かく言う僕も、そうでした。この本を読むまでは。狛犬がこんなにカワイイだなんて、知らなかったんです


狛犬大好きライター、ミノシマタカコさんが書いた新刊『狛犬さんぽ』(川野明正・監修 グラフィック社)は、全国およそ100社の個性的で愛らしい狛犬さんを紹介しています





この『狛犬さんぽ』を読めば、プリティーな狛犬たちに会いたくて会いたくて、震えます。出かけたくて、たまらなくなります。「うちの周りにも、神社がたくさんあるな。それなのに、ちゃんと巡った経験はない。もったいない~」と地団駄を踏みたくなります。

著者のミノシマさんが狛犬に関心をいだいたきっかけは「落語」。漫画『昭和元禄落語心中』を読んで落語に興味を持ち、落語に関する文献を探るべくネットサーフィンをしていて辿り着いたのが、三遊亭円丈さんのWebサイト。円丈さんは日本参道狛犬研究会の会長でもあります。そして円丈さんのWebサイトに掲載されていたのが、東京「浅草神社」の「夫婦狛犬」





メイン参道ではなく、植え込みのなかでつつましく寄り添う狛犬の妻と夫。素材の石が柔らかいからなのか、永く風雪にさらされて顔が溶けています。それによって二体とも、め~っちゃ笑顔になっているんです


相合傘のご隠居カップルのほほえましさに、著者のミノシマさんは超胸キュンに。しかも尻尾がハート形! なんてカワイイんでしょ。この日からミノシマさんの狛犬推しな日々が幕を開けました。


■カワイすぎて無理! 狛犬の赤ちゃん


狛犬に会いたくて、これまで全国およそ500社の神社を巡ったミノシマさん。そんな狛犬LOVERミノシマさんの新刊『狛犬さんぽ』を読み、驚かされました。「狛犬って、こんなにバリエーション豊かなんだ」と。


まず目を惹いたのが、お母さんのおっぱいを飲む赤ちゃん狛犬。狛犬って左右二体のイメージがありますよね。けれども、お腹や足元をよくよく見ると、もう一体、赤ちゃんがいる場合が少なくないんです。ママに寄り添っていたり、玉遊びをしていたり。私たちは狛犬のニューファミリーに見守られながら参拝していたわけです。


東京文京区春日「牛天神北野神社」には元気よくママのお乳を飲む赤ちゃん狛犬がいます。もー、ほんわかするったらありゃしない。





ほかにも、イケメンだったり、おかっぱぱっつんヘアだったり、眼にカラコンをはめているように見えたり、まるでTikTokを意識しているかのようにダンサブルだったり、退廃的V系バンドのように身体中が包帯でぐるぐる巻きだったり、どいつもこいつもラブリーで映えまくり


■「狛犬動物園」と異名をとる神社があった


狛犬の歴史は古く、海外では古代メソポタミア文明の時代から早くも近しいものが生まれました。エジプトのスフィンクスも、その流れにあると考えられます。


日本では狛犬は9世紀(平安時代にあたる)から宮中に置かれました。狛犬と略して呼んでいますが正式には向かって右は獅子、左側が狛犬です。


そして江戸時代になって日光東照宮に「参道狛犬」が登場。これが人気とあり一躍、江戸を皮切りに全国的に盛んに設置されるようになったそうです。ひと頃は狛犬のデザインを競い合う風潮まであったのだとか


「狛犬さんぽ、やってみたいけれど、どこから訪れればいいの?」。そんなあなたにミノシマさんが一例を挙げているコースが、東京港区赤坂「赤坂氷川神社めぐり」





シティ派神社のここはミノシマさん曰く「狛犬動物園」。なんと7対もの狛犬がいます。しかもそれぞれ江戸・明治・大正・昭和と造成された時代が異なり、デザインの変遷も楽しめます。なかには参道脇に潜む隠れキャラもいてRPG感覚で狛犬さんぽを味わえるのです。ここは充実の「狛犬ミッドタウン」なのです。


■なにか悩みが? 放っておけない「困り顔の狛犬」


狛犬は守護獣像。言わばガードマン。そのため険しい表情をしているものが多いです。けれども、なかには柔和だったり、満面の笑顔だったり、表情がほころんでいるケースもあります。


群馬「小畑八幡宮」の狛犬は通称「困ったちゃん」。ベテラン社員がお休みなため急きょ配属されたバイトくんみたいな、「私でいいんスか?」と言いたげな困惑の表情がたまりません。吉高由里子感があるセンター分けもおしゃれです。





■まるでモデルさん。髪や瞳も狛犬のチャームポイント


狛犬の見どころのひとつは髪や瞳。三重県「神内神社」(子安神社)の狛犬は、さらっさらのストレートヘア。大きく見開いた眼が、まるでファッションモデルのよう。





パッと見たとき「滝沢カレン?」と思ったほど。クールビュティ―に出会えるのも狛犬さんぽの楽しみですね。


■疾病抑制の願いを込めて参拝しよう


新型コロナウイルス新規感染拡大防止を目的とした緊急事態宣言がやっと解除された都市があります。反面、期間延長が検討される都市もある。大勢の人出がある場所へ遊びに出かけるのは、いましばらく慎重であるべきでしょう。


そうときたら、地域の神社までの道中をひとり徒歩で楽しむ「狛犬さんぽ」は絶好のレジャーでありエンタメ。そもそも神社の歴史をひも解けば、疾病抑制の願いを込めて創建された例が少なくないのですから。


日本には大小およそ10万社もの神社があるのだそう。あなたのご近所にも、きっといいキャラした狛犬さんがいますよ。おっと、神社はあくまで信仰の場。鳥居を超えたら、狛犬鑑賞や撮影だけではなく、必ず参拝しましょう。著者のミノシマさんも「くれぐれもマナーと敬意を」と、この本で伝えています。


画像提供:グラフィック社



狛犬さんぽ
ミノシマタカコ 著/川野 明正 監修
1,870円(10%税込)
グラフィック社

「狛犬」とは神社に祀られている一対の石像を指します。
神社ごとに特徴があり、作り手や奉納年代・地域によって造形、表情、ポーズなどがそれぞれ違います。
なかには親子の狛犬がいたり、鞠などのアイテムを持っていたりと珍しい狛犬も多々見られます。
本書は著者・監修者が選んだ全国に点在している狛犬たちの魅力や特徴を写真・文章・イラストなどを交えて紹介し、散歩をしながら狛犬を巡る楽しみを提案する書籍になります。
http://www.graphicsha.co.jp/detail.html?p=43206



吉村智樹