「ラストエンペラー」の足跡を訪ねて

2021/2/22 19:50 yamasan yamasan

こんにちは、中国書画が大好きな「いまトピアート部」のyamasanです。

清朝ブーム到来か!と密かに期待してしまうくらい、年の初めから中国史上最大かつ最後の帝国、清朝にちなんだ展覧会が立て続けに開催されています。

そのうちの一つは東洋文庫ミュージアムで開催中の《大清帝国展 完全版》
⇒終了しました。

大清帝国展 完全版

会 場  東洋文庫ミュージアム
会 期  2021年1月27日(水)~5月16日(日)
     ⇒臨時休館の延長により閉幕となりました。
開館時間 10:00~17:00(最終入館は閉館の30分前まで)
休館日  毎週火曜日(火曜日が祝日の場合は翌平日)
観覧料  一般 900円、65歳以上 800円、ほか


展覧会の詳細、新型コロナウィルス感染予防対策などは同館公式HPをご覧ください⇒東洋文庫ミュージアム


何といってもタイトルがすごいです。「大清帝国」、そして「完全版」。今回は、1年前に開催されて、惜しくもコロナ禍で途中で中止になった「大清帝国展」のパワーアップバージョンです。
展示は、清朝の創始者ヌルハチの肖像画に始まって、清朝の公式文書や当時出版された書籍、アヘン戦争でイギリスの軍艦が陸上の砲台を砲撃する場面を描いた版画はじめ東洋文庫の史料で清朝の始まりから終わりまでの栄枯盛衰を綴る充実の内容。

展示風景


いつのまにか清の時代にタイムスリップした気分になって、清朝最盛期の皇帝・乾隆帝(在位1735-95)にもご挨拶してきました。



そしてもう一つは、毎年春の楽しみにしている東京国立博物館と台東区立書道博物館が連携して開催している中国書画の展覧会。
18回目を迎えた今年のテーマは《清朝書画のコレクションの諸相》
⇒終了しました。

清朝書画コレクションの諸相

会 場  東京国立博物館東洋館8室
会 期  2021年1月2日(土)~2月28日(日)
開館時間 9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日  月曜日
観覧料  一般 1,000円、大学生500円


東京国立博物館は事前予約制です。展覧会の詳細、新型コロナウィルス感染予防対策などは同館公式HPをご覧ください⇒東京国立博物館
(台東区立書道博物館は、緊急事態宣言終了まで休館です。)


中でも注目したいのは、顔真卿《祭姪文稿》(東京国立博物館)。
唐時代の書家・顔真卿が安禄山の乱で亡くなった甥の顔季明を悼んで書いた弔辞の草稿。
原本は台北の國立故宮博物院にあって、ちょうど2年前に東京国立博物館平成館で開催された特別展「顔真卿展」で奇跡の初来日を果たしたときの賑わいが思い出されます。


こちらは、乾隆帝時代に活躍した張若澄(1722-70)の《江村漁浦図巻》(東京国立博物館)。「これぞ山水画!」という、文人たちにとっての理想郷を描いたど真ん中直球勝負の山水画です。


今回の展示は2月28日までですが、いつでも中国書画の名品が見られるのがアジアギャラリー4階8室。トーハクに来られた時はぜひお立ち寄りいただきたい展示室です。

いまトピのコラムで、アジアギャラリーで見たい中国の名画を紹介しています。
トーハクで見たい中国の名画五選


そして、清朝といえばやはりこの映画。
清朝最後の皇帝、宣統帝(愛新覚羅溥儀 1906-67 在位1908-12)の生涯を描いた「ラストエンペラー」です。

映画DVD「ラストエンペラー」


久しぶりにこの映画を見ていたら、また北京に行きたくなったので、以前行ったときの写真をアップして、旅の思い出を振り返ってみたいと思います。

まずは故宮博物院。
映画「ラストエンペラー」の最後に、溥儀が入場券を買って、誰もいない紫禁城(故宮博物院)に入るシーンが出てきます。
今では、というかコロナ禍の前は、誰もいない紫禁城なんて想像がつきませんが、私が行った時も観光客でこんなに賑わっていました。


故宮博物院の近くには古い北京の面影が残された街並みがあります。
こちらは清末にキセルなどを売っていたことに由来する「北京烟袋斜街」。「斜街」というだけあって、通りはこの先で右にグイッと曲がっています。


華やかな中庭が見えてきました。
これは、壁に囲まれた中、東西南北の四つの面に家屋がある「四合院」。


この「四合院」は、今では一般に公開されていて、調度品も内装も清末期のまま保存されています。


さらに先に進むと、北海公園の広大な敷地が広がってきます。公園内を散策していると突如として登場するのは、乾隆帝時代に作られた巨大な九龍壁。


アップで見るとさらに大迫力。玉を追いかける龍の表情も真剣そのものです。



ふたたび安心して海外に行かれる日が一日も早く来てほしい、と願わずにはいられないのですが、実は清朝ゆかりの地が国内にもあるのです。
それは、1937(昭和12)年に愛新覚羅溥儀の実弟、愛新覚羅溥傑(1907-1994)が、嵯峨侯爵家の長女・浩(ひろ 1914-87)と半年ほど新婚生活を送った家(二人とも映画「ラストエンペラー」に登場します)。
現在では、主屋と離れが残り、「千葉市ゆかりの家・いなげ」として一般公開されています。
公式HP⇒千葉市ゆかりの家・いなげ


室内には溥傑夫婦の新婚当時の写真などが展示されています。


訪れたのは夏の暑い盛り。木々の緑が鮮やかで、庭もきれいに手入れされていました。


JR稲毛駅から徒歩14分、京成稲毛駅から徒歩7分、稲毛浅間神社の脇にある、親戚のお宅にお邪魔したような、ホッとした気分になれるお家です。
ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。