トーハクで見たい中国の名画五選

2020/7/14 10:15yamasanyamasan

こんにちは、中国絵画が大好きな「いまトピアート部」のyamasanです。

まだまだ新型コロナウィルスが終息に向かわない中、中国絵画が見たくても、豊富なコレクションを誇る北京の故宮博物院や上海博物館、台北の國立故宮博物院に「行ってみよう!」と言える状況ではありません。



そんな中、中国絵画ファンにとって、とてもうれしいニュースが飛び込んできました。

東京国立博物館アジアギャラリー(東洋館)4階、第8室(中国書画)が7月7日(火)から再開

これは見に行かなくてはと、前日に日時予約して初日にさっそく行ってきました。

※東京国立博物館入館にはオンラインによる事前予約が必要です。詳しくは公式サイトでご確認ください⇒東京国立博物館


再開第一号は、数多くの中国書跡、中国絵画を東京国立博物館に寄贈された林宗毅氏(号・定静堂)の書画コレクションの中から、選りすぐりの逸品が展示されている「定静堂コレクション-林宗毅氏寄贈中国書画」(展示は8月16日まで)。

かわいらしい驢馬と人のよさそうなおじさんがお出迎え。

徐悲鴻《驢図軸》中華民国時代・民国25年(1936) (東京国立博物館)

いつものことながら、中国のミュージアムに迷い込んだような気分にさせてくれる展示室。ここに来るのは5ヶ月ぶり。とても懐かしく感じられます。

展示風景


日本にいながらにして中国の名画が見られるこのぜいたくな空間。幸せを感じながら展示室内をめぐっていたら、なんと長年見たいと思っていた《蘭亭図巻(乾隆本)》発見!

《蘭亭図巻(乾隆本)》(部分) 原跡:王羲之等 清時代・乾隆45年(1780)(東京国立博物館)

王羲之先生、お久しぶりです!

四阿の中から机を前に外を見ている人が、中国・東晋時代の永和9年(353)3月3日に文人たちを招いて「蘭亭曲水の宴」を催した王羲之。
その下の川面を楽しげに泳いでいるのは王羲之が愛でた鵞鳥。鵞鳥といえば王羲之、王羲之先生のアイコンですね。

《蘭亭図巻(乾隆本)》(部分) 原跡:王羲之等 清時代・乾隆45年(1780)(東京国立博物館)

この《蘭亭図巻(乾隆本)》を最初に見たのは、2013年に東京国立博物館平成館で開催された特別展「書聖 王羲之」でのこと。
日本でも多くの絵師たちが「蘭亭曲水の宴」の場面を描いていますが、この時は、参加した文人たちが作った詩まで書かれているのに驚いたことをよく覚えています。

《蘭亭図巻(乾隆本)》(部分) 原跡:王羲之等 清時代・乾隆45年(1780)(東京国立博物館)

いつかはもう一度見てみたいと思い続けていたこの作品。7年ぶりの再会です。

特別展「書聖 王羲之」では、明時代の《蘭亭図巻(万歴本)》(東京国立博物館)も展示されていたので、ぜひこちらももう一度見てみたいです。

もう一度見てみたい中国絵画五選

それぞれの美術館・博物館のコレクションは定期的に展示されることが多いので、公式サイトをチェックして逃さず見に行くのもアート・ファンの大きな楽しみ。
そこで今回は、今は展示されていませんが、東京国立博物館の数ある中国名画コレクションの中から「もう一度見てみたい中国絵画」を紹介したいと思います。
もちろん、見たい中国絵画はたくさんあるのですが、特に思い入れのある絵画を5点選んでみました。

1 張択端款《清明上河図巻》


張択端款《清明上河図巻》(部分)明時代・17世紀(東京国立博物館)

数ある中国絵画の名品の中でも、中国の至宝中の至宝、張択端の《清明上河図巻》(北京・故宮博物院)は、のちの時代に多くの模本が作られました。 この作品は江戸時代に日本に伝来したもので、虹橋の下を通る大型船は描かれていませんが、店や人、動物たちが細かく描かれていて、いつまで見ていても飽きない作品です。

張択端款《清明上河図巻》(部分)明時代・17世紀(東京国立博物館)


張択端款《清明上河図巻》(部分)明時代・17世紀(東京国立博物館)

北宋の宮廷画家・張択端が首都・開封(かいほう)の繁栄ぶりを描いたとされるオリジナルの《清明上河図巻》は、2012年に東京国立博物館平成館で開催された特別展「北京故宮博物院200選」で約3週間限定で来日しましたが、その時は1時間半並んで、急ぎ足で3分間だけ見ることができました。
それだけでは物足りなかったので、3年後の2015年に北京の故宮博物院で公開された時に見に行ったのですが、その時はなんと8時間待ち!それでも入館を締め切ったあとも夜遅くまで開館していたので、心ゆくまでじっくり見ることができました。

上海の中華芸術宮では動く《清明上河図巻》を見ることができます。以前のコラムで紹介しているので、ぜひこちらもご覧ください⇒【まだまだ間に合う】年末年始の海外旅行はここで決まり!


2 伝陳容《五龍図巻》

あやしげな黒雲の中から忽然と現われる5匹の龍。

伝陳容《五龍図巻》(部分) 重要文化財 南宋時代・13世紀(東京国立博物館)

ごつごつした岩や水しぶきが、もつれあう龍の迫力をさらに盛り上げています。

伝陳容《五龍図巻》(部分) 重要文化財 南宋時代・13世紀(東京国立博物館)

南宋時代の文人画家・陳容といえば龍の名手。
2017年に東京都美術館で開催された「ボストン美術館の至宝展」で来日した陳容の《九龍図巻》では、青年龍が老年龍に教えを乞い、成長して立派な龍になっていく過程が描かれていて、すごく頼もしく感じられましたが、こちらはすでに成長した龍たちの乱舞。《九龍図巻》に負けず劣らずの迫力です。

3 伝倪瓚《杜陵詩意図》

元時代末期に活躍した4人の文人画家、元末四大家(黄公望、倪瓚、呉鎮、王蒙)の中でも特に好きなのが倪瓚(げいさん)。

伝倪瓚《杜陵詩意図》 重要美術品 明時代・16~17世紀(東京国立博物館)

この作品は「伝倪瓚」ですが、画面の中に空白をたっぷりとって、静かで落ち着いた空気感が感じられる、この倪瓚風の作品は私のお気に入りの一つです。

とは言いつつ、同じ元末四大家でも倪瓚よりは画面いっぱいに描き込む王蒙の作風も、やはり湿った空気感が感じられて好きなのです。

伝王蒙《冬青茆屋図》明~清時代・17世紀(東京国立博物館)
 
4 呂紀《四季花鳥図軸》

明時代(1368-1644)を代表する花鳥画の大家といえば、この人呂紀
写生を重視して、色鮮やかな花や鳥を描いた呂紀とその一派の花鳥画は、中国だけでなく室町時代以降の日本の絵画に大きな影響をあたえました。
そのせいか、日本の絵師たちが描いた花鳥画を見ると、この作品がもう一度見たくなるのです。このあざやかな色づかいと、大胆な構図の花鳥画は、いつ見てもうっとりしてしまいます。


呂紀《四季花鳥図軸》重要文化財 明時代・15~16世紀(東京国立博物館)

こちらは呂紀の曽孫といわれる呂健の作品。
呂紀の作品と比べると、何となく幻想的なところが魅力的です。

呂健《崑崙松鶴図軸》明時代・16~17世紀(東京国立博物館)

5 李氏《瀟湘臥遊図巻》

北宋、南宋、元、明ときて、最後は清時代。
作品は南宋時代のものですが、なんといっても清朝の隆盛を極め、文化芸術にも力を注いだ乾隆帝(在位1735-95)お気に入りの逸品です。淡い墨で表現された中国江南地方の潤いをもった山水の景色が心を和ませてくれます。

李氏《瀟湘臥遊図巻》(部分) 国宝 南宋時代・12世紀(東京国立博物館)

南宋の禅僧、雲谷老師が、李という画家に描かせて、自室で瀟湘の名勝に遊ぶ気持ちを楽しんだというこの作品。
タイトルどおり、部屋の床にこの絵巻を広げて、寝そべりながら「ここに行きたいなあ」と思いをはせてみたいものです。

李氏《瀟湘臥遊図巻》(部分) 国宝 南宋時代・12世紀(東京国立博物館)

さて、筆者の個人的な趣味で5点の作品を選んでみましたが、まだまだ他にも見たい作品が山ほどあります。
みなさんもぜひ、アジアギャラリーの中国絵画の部屋でお気に入りの逸品を探してみてはいかがでしょうか。