【スフィンクス奇跡の来日!】古代エジプト神話の世界を見てきた。

2020/11/25 21:45 yamasan yamasan

こんにちは、ドイツが好きな「いまトピアート部」のyamasanです。

今回ご紹介するのは、ベルリンの博物館島(※)にある5つの博物館の一つ、新博物館からはるばる海を越えて日本にやってきた古代エジプト・コレクションの展覧会「国立ベルリン・エジプト博物館所蔵 古代エジプト展 天地創造の神話」(江戸東京博物館で開催中)


(※)博物館島については以前いまトピのコラムで紹介してます。
【自宅で楽しむ海外のミュージアム】古代の世界にタイムスリップしてみませんか。

新博物館正面の列柱
【新博物館について】
新博物館は「エジプト博物館・パピルスコレクション」(以下、「エジプト博物館」)とヨーロッパの考古品を所蔵する「先史博物館」で構成されていて、今回来日したのはエジプト博物館の所蔵品です。

古代エジプト神話の世界が奇跡の来日!

今はコロナ禍の影響で、安心して海外のミュージアムめぐりをするどころではなく、国内でも海外のミュージアムの所蔵作品を展示する展覧会が軒並み中止せざるを得ない状況の中、世界有数の古代エジプト・コレクションを誇る新博物館から選りすぐりの名品約130点が来日したのですから、まさにこれは奇跡!
江戸東京博物館はじめ、およそ1年をかけて国内を巡回する古代エジプト展は、日本にいながらにして古代エジプト世界の旅ができるとても内容の濃い展覧会です。

特別展「国立ベルリン・エジプト博物館所蔵 古代エジプト展 天地創造の神話」

会 場  江戸東京博物館
会 期  2020年11月21日(土)~2021年4月4日(日)※終了しました。
開館時間 9:30~17:30(入館は閉館の30分前まで)
休館日  月曜日(ただし2020年11月23日、2021年1月4日、11日、18日      は開館)、11月24日(火)、12月21日(月)~1月1日(金・祝)、      1月12日(火)
観覧料(税込)
 一般 特別展専用券 1,800円、特別展・常設展共通券 2,000円ほか



【展示構成】
Prologue すべては海から始まった
Chapter1 天地創造と神々の世界
Chapter2 ファラオと宇宙の秩序
Chapter3 死後の審判
Epilogue  オシリスの予言

展覧会の詳細、新型コロナウィルス感染予防対策などについては展覧会公式サイトをご覧ください⇒国立ベルリン・エジプト博物館所蔵 古代エジプト展 天地創造の神話
※会場内は撮影OKです。フラッシュ撮影不可、動画の撮影不可、古代エジプト神話を紹介するアニメーションの写真撮影・録画不可などの注意事項がありますので、会場でご確認ください。

巡回展
[京都会場] 京都市京セラ美術館 2021年4月17日(土)~6月27日(日)※終了しました。
[静岡会場] 静岡県立美術館   2021年7月10日(土)~9月5日(日)※終了しました。
[八王子会場]東京富士美術館   2021年9月19日(日)~12月5日(日)1月16日(日)※終了しました。



臨場感あふれる会場内のレイアウトがすごい!


展示会場に入ってまず圧倒されるのが、会場内のレイアウト。
各部屋のレイアウトがものすごく凝っていて、すぐに古代エジプト神話の世界に引き込まれてしまいそう。

天空にきらめく星空のもと、神殿を守る神々の像。

Chapter1天地創造と神々の世界 展示風景

後方の2柱のセクメト女神座像は、新王朝時代第18王朝アメンヘテプ3世の治世、紀元前14世紀中ごろに作られたもので、エジプト東南部ナイル川沿岸の古代都市テーベ(現ルクソール)のカルナク神殿中庭にはセクメト女神座像をはじめ600体以上の像がずらりとならんでいたのですから、さぞかし壮観な眺めだったことでしょう。

Chapter1天地創造と神々の世界 展示風景

そして、このライオンの頭を持つセクメト女神はあまりに力が強い神だったので、外敵や疫病を退治する神としてあがめられたとのこと。
疫病退散のために日本にやってきてくれたのかも?!

続いて、壁にかがり火のような照明が揺らめく中、まるでテーベの「王家の谷」にある地下墳墓の通路を下っていくかのように先に進んでいきます。

Chapter2ファラオと宇宙の秩序 展示風景


古代エジプトの神聖文字ヒエログリフが書かれた列柱を模した会場装飾を背景に鎮座するのはスフィンクス。

Chapter2ファラオと宇宙の秩序 展示風景


高さ1mもある巨大なスフィンクスの胸像は、テーベにあるハトシェプスト女王葬祭殿の参道と中庭に置かれていました。紀元前15世紀前半に作られたものです。

スフィンクスといえばピラミッド。
ギザのピラミッドというわけにはいきませんが、高さ約40㎝という小ぶりながら、アメンヘテプ3世の治世の時に作られた小ピラミッド(ピラミディオン)も来日しています(下の写真奥)。

Chapter2ファラオと宇宙の秩序 展示風景

「古代エジプト展なら黄金のマスクがなくては」とおっしゃる方、ご安心を。
ヒエログリフが書かれた壁の向こうには、ポスターやチラシになっている今回の展覧会の顔、黄金色のミイラ・マスクが永遠の輝きを放っています。

Chapter3死後の審判 展示風景

黄金のミイラ・マスクは奥行きが深く、上部や左右にも見事な色彩の神々が描かれているので、ぜひ両側からもご覧になってください。


Chapter3死後の審判 展示風景


お気に入りの動物を探してみませんか?


古代エジプト神話には多くの神々が登場し、ライオンや犬といった哺乳類、ハヤブサなどの鳥類、ワニなどの爬虫類、さらには昆虫まで数多くの動物たちの姿をとって現れてきます。

展覧会場入口でお出迎えしてくれるのは、山犬の姿をしたアヌビス神像。

Chapter1天地創造と神々の世界 展示風景

アヌビス神は墓地や死者の守護神で、冥界への案内役でもあります。展示室内で上映されている古代エジプトの神話を紹介するアニメーションでも案内役キャラクターを務めている頼もしい神様なのです。

犬や猫、鳥の像や絵画は日本でも見ることができますが、私たちにあまりなじみがなくても、古代エジプトで特に重んじられていたのが昆虫のフンコロガシ「スカラベ」。

スカラベとは「聖甲虫(ヒジリタマオシコガネ)」のことで、動物の糞を丸めて巣穴までころがす姿から、太陽を運ぶ太陽神とみなされ、また、ナイル川の氾濫後、最初に地中から姿を現すことから再生の象徴でもあったので、装身具や護符なども多く作られました。
こちらはスカラベの胸飾り(下の写真中央)やスカラベの姿をした太陽神(下の写真左)。

Chapter2ファラオと宇宙の秩序 展示風景

天空を自由に舞うハヤブサも神の象徴でした。
金で作られたハヤブサの像も展示されています。ただし、高さはわずか4㎝ほどの小さな像ですので、お見逃しなく!
(下の写真の一番右です。)

Chapter1天地創造と神々の世界 展示風景

こちらはスカラベやハヤブサをモチーフにした副葬品が死者の遺体の上にどのように置かれていたかがわかる展示。心臓の上に置かれたのは、ハヤブサのような翼を持った再生の象徴スカラベ。

Chapter3死後の審判 展示風景

古代エジプトでもなごみ系の動物たちが人気だったようです。
果物をほおばる猿、親猫にじゃれる子猫たち、今にも飛び跳ねそうなウサギ、身構えるトガリネズミ。今でもフィギュアになったら人気が出るかもしれません。

Chapter3死後の審判 展示風景

至宝「ネフェルティティの胸像」が見たい!


新博物館の至宝中の至宝といえばアメンヘテプ3世の子アメンヘテプ4世(アクエン・アテン)の王妃「ネフェルティティの胸像」(下の写真「新博物館パンフレット」の中央)。


この「ネフェルティティの胸像」は門外不出、そのうえ、現地でも「ネフェルティティの胸像」は撮影不可。
もちろん今回の展覧会では来日していないので現地で見るしかないのですが、展覧会公式図録(税込2,420円)を見ていたら、ものすごくうれしいニュースを発見しました。
「胸像」ではないのですが、静岡・八王子会場のみ「ネフェルティティ王妃立像」が展示されるというのです!
ベルリンの新博物館にはコロナ禍が収まったらじっくり時間をとって行くとして、とりあえず1年後も楽しみにしています。

「ネフェルトイティ(ネフェルティティ)王妃あるいは王女メリトアテンの頭部」(下の写真手前)は、「ネフェルティティ王妃立像」に入れ替わる予定でしたが、静岡・八王子会場でも引き続き展示されるとのことです。


Chapter2ファラオと宇宙の秩序 展示風景

ミュージアムショップ~燦然と輝く公式図録!
 

ご紹介したように、展示会場内を大きく見渡しても、小さいものに目を凝らしても、どこを見ても古代エジプトでいっぱいの展覧会。
国内で古代エジプト神話の世界を体験できる絶好の機会です。ぜひご覧ください!