【自宅で楽しむ海外のミュージアム】古代の世界にタイムスリップしてみませんか。

2020/3/30 09:30 yamasan yamasan

こんにちは、いまトピアート部のyamasanです。

新型コロナウィルスの影響で、海外どころか国内のミュージアムにも思うように行かれない日々が続いていますが、こんな時だからこそ、アートファンのみなさまに海外のミュージアムの展示風景をお伝えしたいと思い、そして、一日も早く安心して海外を訪れる日が来ることを願ってコラムを書いてみました。

今回ご紹介するのは、ベルリンにある博物館島
ドイツの首都ベルリン市の中心部を流れるシュプレー川の中洲には、ペルガモン博物館をはじめ5つの博物館が集まっていて、その一帯は「ベルリンのムゼウムスインゼル(博物館島 (独)Museumsinsel)」としてユネスコの世界遺産に登録されています(1999年登録)。

以前ベルリンに行ったときには、見たいところがあまりに多く、博物館島は1日しか時間が取れなかったので、ペルガモン博物館を中心に回り、 残りの時間で新博物館をさっと見た程度だったので、今回はこの2館を紹介していきたいと思います。
まずはペルガモン博物館から。

ペルガモン博物館

シュプレー川に面した堂々とした外観のペルガモン博物館


館内に入ってすぐ正面に広がる光景は、ヘレニズム時代の古代都市ペルガモンの「ゼウスの神殿」。


階段部分は再現ですが、立ち並ぶ円柱や両側のレリーフは本物。
階段に腰かける人もいて、躍動感あふれるレリーフを眺めながらヘレニズム時代に思いをはせることもできます。


ペルガモンは、エーゲ海をのぞむトルコ西海岸の小高い丘の上にあって、紀元前3~前2世紀にペルガモン王国の首都として栄え、ヘレニズム文化の中心地の一つでした。

ペルガモンのジオラマも展示されています。
右側のオレンジの円で囲った部分がゼウスの神殿。


こちらがゼウスの神殿を正面から見たところで、再現されているのはこの階段周辺の部分です。


ペルガモンの遺跡は今でも劇場や列柱廊、大神殿、さらにローマ時代の円形闘技場などの遺構が残っていて、2014年にユネスコの世界遺産に登録されました。
トルコにはペルガモンを含めて18のユネスコ世界遺産があります。
「青い日記帳」主宰のTakさんがブログで紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください。
青い日記帳「トルコにある18のユネスコ世界遺産」

ペルガモン博物館の展示室は、ゼウスの神殿を中心にカタカナのコの字型になっていて、左側のウィングには古代ギリシャ、ヘレニズム、古代ローマ時代の彫刻や建築などが展示されています。
こちらは、ヘレニズム・ギリシャ建築の展示室。


ゼウスの神殿の部屋に戻って、右側の展示室に入ると、現在のトルコ西海岸南部にあった古代ギリシャ時代の都市・ミレトスの市場門が壁に貼りついて、そっくりそのまま展示されています。
エーゲ海沿岸に港をもっていたミレトスは交易で栄えた都市。市場門の大きさが当時の繁栄を物語っているようです。


そしてミレトスの市場門をくぐると、その反対側には時代も地域も飛んで、メソポタミアの古代都市バビロンのイシュタル門。


このイシュタル門は、バビロンを再興したネブカドネザル2世(紀元前604-前562)がバビロンの西門として建てたもので、青いレンガの輝きが印象的です。

そして、イシュタル門に続き、王たちの一行が通った行列通りも再現されています。



行列通りの下の段にはライオンのレリーフが連なっています。やはり当時からライオンは百獣の王だったのでしょうか。



ペルガモン博物館の2階はイスラム文化博物館。
こちらはヨルダンの首都アンマンから30km南にあるムシャッタ城遺跡。


展示室の壁伝いに繊細なレリーフがほどこされた重厚な城の外壁が展示されています。
ムシャッタ城は、碑文などが残されていなかったので、長い間、いつの時代に建設されたものか分からなかったのですが、1964年に発見された一枚の瓦によって、ウマイヤ朝のカリフ、アル・ワリド2世(在位743-744)の時代に建設されたことが判明しました。

2階はまるでモスクの中をさまよっているよう。
正面には、メッカの位置をしめす「くぼみ(ミフラーブ 壁龕(へきがん))」が見えてきました。



続いて新博物館へ。

新博物館

「新」博物館といっても、建物の周囲には円柱の並ぶ回廊が廻らされていて、展示されているのは、古いものでは紀元前3000年代にさかのぼる古代エジプトの遺跡から収集されたものが中心。決して新しくはないのです。



館内のスペースはぜいたくなほどゆったりと使われていて、なおかつ遺跡のあった場所の雰囲気を出そうという工夫が見られます。



こちらは正面の扉の両側に守り神の像が並んでいて、その先に王の棺の部屋があるような作りになっていますが、正面の扉は職員の通用口。カメラを構えていたら、ちょうど扉を開けて中に入ってきた女性職員が私に気がついて、ニコニコしながら足早に通り過ぎてくれました。

巨大な石のレリーフも迷路のように狭く入り組んで並んでいて、まるで王家の墳墓の中に入ったような気分です。


こちらは壁画の小片ですが、何千年も経過しているのに、こんなに鮮やかな色が残っています。


新博物館の一番の見どころは、古代エジプトの美人「王妃ネフェルティティの胸像」なのですが、残念ながら撮影不可。
画像は博物館のオンライン展示でお楽しみください⇒「王妃ネフェルティティの胸像」

博物館島には、他にも古代ギリシャ、ローマ時代の彫刻などを展示する旧博物館、18-20世紀のドイツ絵画やフランス印象派の絵画などのコレクションをもつ国立美術館、初期キリスト教・ビザンチン美術コレクションなどをもつボーデ博物館があります。
展示作品の年代や地域も幅広く、どの博物館もボリュームたっぷりなので、とても1日や2日では回りきることはできません。
次回はもっと時間的な余裕をもってミュージアム巡りをしたいものです。

さて、ミュージアム巡りをするとおなかが空いてくるのは世の常。
ここでベルリン名物「カレーヴルスト」を紹介したいと思います。


ヴルストとはドイツ語でソーセージのこと。
こんがり焼いたソーセージにケッチャプソースとカレー粉をかけただけのシンプルな料理ですが、これが美味。もちろんビールとの相性もぴったり。
簡単にできる料理なので、ご家庭でお試ししてみてはいかがでしょうか。