ビクトリア&アルバートミュージアムの収蔵品にもなった靴も!
若冲といえばやはり、鶏です。
京都錦小路にある青物問屋「枡屋」の長男として生まるも、絵を描くことに専念するため、40歳で家業を弟に譲り、庭に放った鶏を来る日も来る日も観察し、彼独自の感性による表現で描き上げていきました。
世界中広しと言えども、鶏を描かせたら右に出るものは、令和の世になった今でも若冲の他誰もいません。
伊藤若冲「蕪に双鶏図」福田美術館蔵
串野真也はイタリア留学し“Istituto MARANGONI”ミラノ校、ファッションデザインマスターコースにてディプロマを取得後に、京都を活動拠点としオーダーメイドの靴を手がけています。
元々、自然をテーマにしていた串野が若冲の描く花鳥画に魅了されたのはごく自然な成り行きだったと言えるでしょう。
若冲作品から飛び出してきたような躍動感を漂わせるデザインの靴です。
一点物なので、まとめて我々が目にする機会はまずないのですが、3月28日から福田美術館で開催予定の「若冲誕生 ~葛藤の向こうがわ~」に何と11点(11足)まとめて展示されることになりました!
串野の靴は芸術品としても高く評価され、若冲「雪梅雄鶏図」をテーマにした「Bird Witched」はイギリスのビクトリア&アルバートミュージアムの収蔵品にもなっています。
また、今回の「若冲誕生展」に合わせ、福田美術館所蔵の若冲「瓦に雄鶏図」からインスピレーションを得て制作した靴も若冲と一緒に展示されているのです。
「若冲誕生 ~葛藤の向こうがわ~」展 展覧会レビューはこちら。
これは若冲さんもきっと喜ばれていることでしょう。枡目描きや筋目描きなど奇抜なこと大好きでしたからね。
本物の若冲作品と同時に観られるなんて、実に贅沢な展示です。
こうした作品と共に、制作のプロセスも公開されています。若冲インスパイアの靴たちが、一体どのように出来上がるのかを福田美術館パノラマギャラリーで実際に見られます。
「若冲誕生 ~葛藤の向こうがわ~」展も実に半数以上が初めて展覧会に出る作品で占められている絶対に見逃せない展覧会ですが、こちらの「Masaya Kushino×伊藤若冲」もどうぞお見逃しなく。
“伊藤若冲の描く動植物は、本物よりも更に本物らしく、観る者を魅了する。特に鶏の作品は、鶏に取り憑かれたのではないかと思うほどに集中し描写されており、狂気すら感じる。
200年という時間を経てもなお生き続ける伊藤若冲の想いは、多くのクリエイターに創作意欲を与え生き続ける。その想いを感じ受け止める事によって生まれた私の作品もまた、200年先の誰かのインスピレーションに繋がる事を願っている。“-串野 真也
「若冲誕生 〜葛藤の向こうがわ〜」
会期:2020年3月28日(土)~6月21日(日)
開館時間:10:00〜17:00(最終入館 16:30)
休館日:火曜(祝日の場合は翌日)5月5日・6日開館、5月7日休館
会場:福田美術館
https://fukuda-art-museum.jp/
主催:福田美術館、京都新聞
福田美術館オリジナル「若冲八橋」
『若冲の描いた生き物たち』