映画「真珠の耳飾りの少女」を10倍面白く観る方法。

2019/12/12 12:00 Tak(タケ) Tak(タケ)
スカーレット・ヨハンソン, コリン・ファース主演の映画「真珠の耳飾りの少女」(2004年公開)がAmazon Prime Videoに登場しました。


映画「真珠の耳飾りの少女

映画館でもDVDでも観たよ~という方も、あらためてAmazon primeで今一度ご覧になってみて下さい。公開からざっくり15年近く経過しているので、その間に鑑賞者である我々も何らかの変化(成長)をしています。

実際に、展覧会やオランダ・ハーグのマウリッツハイス美術館にてフェルメールの最もメジャーな作品である「真珠の耳飾りの少女」を鑑賞された方も大勢いらっしゃるはず。


マウリッツハイス美術館 The Royal Picture Gallery Mauritshuis

そこで、今回は映画「真珠の耳飾りの少女」を再び観る方も初めて観る方もこれを読めば10倍楽しく鑑賞できるポイントを映画のネタバレ一切無しでご紹介します。

絵画鑑賞同様に、映画もある程度、知識がないと観るべきポイントを見逃してしまい、楽しさも半減してしまいます。

ちょっとした読み物として軽い気持ちで目を通して頂ければ幸いです。



【フェルメールとその時代について】

オランダが最も栄え、黄金の時代と称された17世紀。この時代のオランダはレンブラントやフランス・ハルスなど数多くの絵画の巨匠を生み出しました。中でもデルフトという小さな街に生まれたヨハネス・フェルメール(Johannes Vermeer, 1632年 - 1675年)の描き出す静穏な絵画は21世紀を生きる我々の心を捉えて止みません。

それまでの絵画は力のある教会や貴族の依頼を受け、専ら宗教画を中心に描かれましたが、フェルメールをはじめとするオランダの画家たちは、民衆の求める市井の人々の何気ない日常生活の一コマや身近な風景などをキャンバスに表し人気を博しました。

この映画に華やかな王侯貴族は登場せず、慎ましく日々の生活を送る市民たちが、あくまで主役であるのも、そのような時代背景が大きな理由です。オランダは世界でもいち早く近代市民社会を築いた国でもあるのです。



【名画「真珠の耳飾りの少女」の有する普遍性】

さて、フェルメールが描いた北方のモナリザとも称される傑作「真珠の耳飾りの少女」を思い浮かべてみて下さい。印象的な補色の関係にある青と黄色のターバンを巻き、大粒の真珠のイヤリングをつけた少女がこちらをじっと見つめています。

非常に魅力的な絵画でありますが、描かれていることはそれだけです。ここに描かれている少女が誰であるのか、まずそこからして分からないのです。



一般的な肖像画であれば誰を描いたかがほぼ分かります。ところがフェルメールのこの作品は誰を描いたものか記録が全く残されていません。つまり情報量の非常に少ない作品なのです。

こうした作品は肖像画ではなく「トローニー」(特定の人物ではない誰かを描いた人物画)と呼ばれます。実はここにこの作品の大きな魅力があるのです。王妃や妻といった特定の誰かを描いたのではないことは、逆に考えればある種の普遍性を有している作品となります。

つまり、観る者に様々な想像を働かせることになるのです。「この少女は一体誰なのか」と。


真珠の耳飾りの少女

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