いよいよポケベルサービスが終了…改めて思い出すポケットベル【*2*2】【平成レトロ】

2019/9/27 12:00 山下メロ 山下メロ


■ さらば青春のポケベル



1950年代に誕生し、日本でも1960年代からサービスが開始していたポケットベル。いよいよ2019年9月末で最後までサービスをしていた東京テレメッセージ(東京、神奈川、千葉、埼玉)が終了し、今後ポケットベルのアンテナを防災無線として利用していくそうです。


↑ ポケベルのパンフレット(NTTドコモ)

最初は、ポケベルが鳴ったら公衆電話を探して会社に電話をかけ、そこから要件や連絡先を聞かなくてはなりませんでした。長らく1つの合図を送ることしかできなかったポケベルも、やがて数字が送れるようになり劇的に便利になりました。

ちょうどバブル崩壊の影響が出始めた時期に、直接的に影響を受けていない女子高生がポケベルで送れる数字を暗号として使うようになりました。「0840=オハヨー」といった具合で、暗号BOOKなどの本も出版されました。


↑ ポケベルの暗号が掲載された書籍

今やAKB48関連のプロデューサーとなった秋元康によるメディアミックス戦略がとられたトレンディドラマ『ポケベルが鳴らなくて』もこの頃です。国武真理が歌った同名の主題歌もヒットしました。

そしてすぐに文字が送れる時代がやってきました。かな文字と英数字と少しの記号のみでしたが、コミュニケーション伝達のスピードは劇的に上がりました。文字が送れるようになったポケベルの入力方法は、電話から「11」=「あ」というように五十音図を見ながら文章を記憶していないといけません。しかしメインユーザーは若者でしたので、すぐに順応していきました。


↑ ポケベルの入力方法が書かれたカードに自分のベル番(ポケベルの電話番号)を書いて友達に配布した

この入力方法によって公衆電話のボタンが酷使されて、かなり壊れたという噂もよく聞きます。特に母音で使う1~5のボタンの色が消えたりしていました。そしてポケベル早打ち選手権が開催されたり、ツータッチ入力として携帯電話普及後も文字入力の方法として残っていったのです。

そんな中、NTTドコモは一度「ハートマーク」をなくしたために顧客がテレメッセージに流出するということが起こりました。当時はあまり重要視されていませんでしたが、実はみんな感情を伝えたがっていて、ハートマークを多用していたわけです。これが後に i-mode サービス開始における絵文字において、たくさんのハートマークが用意されたことに繋がります。


↑ 「88」はハートマークだったが、一度変更された過去がある

NTTドコモはCMに広末涼子さんを起用、音楽はカジヒデキ、センティーAやアーキス(テレメッセージ)など人気機種が投入され1996年ごろにはピークを迎えました。


↑ 名機・センティーAとモーラ

しかしその後にPHSや携帯電話の低価格化が進み普及、さらにはメッセージ機能がついたためポケベルの利用者数は減少していきました。そのまま少しずつ規模を縮小し、全国的にもサービスが終了していき、現在は首都圏のみ、それも今月までという状況になっていったのです。


では、最後にこちらをご覧ください。



↑ 音響カプラ的に使えるトーンダイヤラー

これはポケベルの裏面です、黒いリングの部分を受話器のマイクに押し当ててボタンを押したのと同じ音を送信し、メッセージを自動で送れるのです。

最終的にポケベルは、カナ文字だけでなく漢字の含まれるメッセージも送れるようになりました。しかし文字ごとに4桁のコードを入れなくてはなりませんのでおぼえきれませんし、辞書みたいな厚さのコード対応表を見ながら打ち込むことに。しかし、さすがにそれは無理だろうとポケベルで作った文章を、自動で変換して電話から送信できるようになったのです。

とは言え、まず双方がポケベルを持ってないといけませんし、ポケベルの小さい画面で文章を入力するのは大変です。数字のボタンなどありません。あるのは4つほどのボタンとジョグダイヤルくらいですので、それだけで漢字込みの文章を変換しながら作成するのは困難です。高機能・双方向通信で進化していく携帯電話に対し、ポケベルがまさに進化の限界に達していたということがよく分かります。

では、また次回。





(文と写真:山下メロ)


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以下のイベントに山下メロが出演・出展を予定しています。

9月28日 りんご音楽祭 いなごステージ in 長野県松本市アルプス公園(トーク)
9月29日 マニアフェスタ in 秋葉原 アーツ千代田3331(ブース出展)
10月12日 泉麻人と山下メロの平成カルチャー談義 in mandaray(講義)
10月15日 娯楽百貨大学 ファンシー絵みやげ民俗学 in 新宿(講義)
10月26・27日 高円寺フェス 高円寺北集会所2F和室「なつかし部屋再現 展+フリマ」


《番組出演のお知らせ》

TBSラジオの番組、ライムスター宇多丸さんの「アフター6ジャンクション」に山下メロが出演いたしました。

9月2日(月) 出演は20時台。レトログッズで振り返る平成「さよならポケベル」特集。お聴き逃しの方は、radikoやTBSラジオクラウドからお聴きください。

これまでの出演時の様子は番組WEBサイトから聴くことができます。
ポケベル特集
スケルトン特集
平成元年特集


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