あの戦争や特攻隊をファンシーに!?…終戦と平和の「ファンシー絵みやげ」(1/2)

2019/8/16 12:00 山下メロ 山下メロ

■ 戦争賛美と暴走族文化

終戦記念日というのは、戦争について振り返る機会でもあります。私は広島で幼少期を過ごしていますので、8月6日の原爆忌は夏休みの登校日で、学校で戦争について振り返っていました。しかし一般的に原爆忌には原爆関連のイベントやニュースがメインであり、太平洋戦争全体を振り返るのは終戦記念日ということになります。


↑神風特攻隊に由来する「特攻」のハチマキ。そして背景は正しく十六条旭日旗になっています。こちらは旧陸軍や現在の海上自衛隊も使用。

1980年代から1990年代に修学旅行生向けに作られた観光みやげ「ファンシー絵みやげ」は、いわゆる戦後生まれの「戦争を知らない子供たち」がターゲットでした。そこにはさまざまな形で戦争が登場します。まず、修学旅行には不良や、不良に憧れる生徒も参加しますので、土産店にはヤンキーや暴走族向けの商品が売られ、その中には戦争のモチーフが含まれています。


↑こちらも大きく「特攻」の文字。これも神風特攻隊に由来します。こちらの背景は旧海軍の大将旗と同じ八条旭日旗。現在は陸上自衛隊も使用しています。

もともと暴走族には日章旗や旭日旗を掲げたり、そのモチーフのステッカーやワッペンを貼り付けたりと、愛国心の強さを表明する風潮がありました。そして、海軍旗などと同様の旭日旗に「神風」や「特攻」などの文字が入り、神風特攻隊と命知らずの暴走行為や度胸試しのようなことを重ねる文化があるのです。そこには神風特攻隊の存在を貶す意図もなく、むしろそのイメージを好意的に使っていますが、迷惑行為や反社会的行為に付随して使用されるという側面もあります。


↑こちらも大きく「特攻」の文字。背景は十六条旭日旗ですが、黒地に紫のカラーリング、そして金文字というヤンキーグッズに多い仕様に変更されています

神風特攻隊のモチーフや軍旗と同じ仕様の旭日旗など、ある種の戦争賛美とも捉えられかねないのですが、おそらくそこまでの意図はないと思われます。


↑この「神風」という言葉は、かねてより色々な事象などで使われてきたものですが、特攻という言葉がよく使われる暴走族文化においては、やはり神風特攻隊に由来します。こちらは十六条旭日旗で、太陽が右に寄っていますが赤と白の部分が反転しています。

これらはすべて不良や暴走族といった文化における神風特攻隊というモチーフを、そのまま観光地のファンシー絵みやげに落とし込んだ商品です。しかし鹿児島県・知覧にある特攻平和会館には、特攻隊そのものの商品が多数あります。当然それらはすべてリアルに描かれ、その悲惨さを訴えかけるものばかりなのですが、唯一ファンシーと呼べるものが存在します。それがこちらです。



なんと零戦がデフォルメされて、その上よく分からない場所にラインストーンがついています。飛行機をこのように丸っこくデフォルメしたものは散見されますが、零戦というのは珍しく、まるでサンリオのラナバウツという乗り物ファンシーイラストのようです。これも特攻隊の悲惨さを伝える手段の一つとして選ばれたのでしょうか。

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