■ 長崎のファンシー絵みやげ

では、実際に1980年代から1990年代に長崎を訪れた修学旅行生が買っていたファンシー絵みやげがどうだったのか見ていきましょう。


↑星月鍵型キーホルダー。カップルと大浦天主堂。「ばってん長崎」


↑紅葉型キーホルダー。やはり「ばってん長崎」。そしてカップルと大浦天主堂。

とにかく大浦天主堂ばかりです。そしてカップルを描いているものが多いです。他にも、どこでもない教会で結婚式を挙げるカップルなどもあります。カップル以外も見てみましょう。



伴天連あらわる！伴天連オールスター勢ぞろいで「HELLO！JAPANESE」。しかもこれは「HEY!BOYS&GIRLS」と呼び掛けていて、まさに修学旅行生向けといった感じがします。そして「COME TO THIS ROMANTIC POINT」です。ファンシー絵みやげに非常に多い「ROMANTIC」がここでも登場。ですが広島にはあまりない表現かもしれません。



ウキウキエキゾチックタウン。少ないながらもこういった中華街的なモチーフも存在しまず。大浦天主堂は描かれていますが、もはや戦争や宗教からかなり離れています。



流れ星に平和を願うシスターが描かれたキーホルダー。

ついに発見しました。広島のファンシー絵みやげでは定番といっても良い「LOVE＆PEACE」の文字が入っています。これを探すだけで大変でした。そしてこれ1つしか見つかっていないところを見ても、長崎のファンシー絵みやげではあまり「平和」をうたっていないということがよく分かります。


■ 平和祈念像モチーフについて

では、広島で原爆ドームがモチーフとなったように、有名なモニュメントである平和祈念像をデフォルメしてキャラクターイラスト化したものはないのか……といった疑問を持たれる方もいらっしゃるでしょう。しかし存在しないのです。彫像などの芸術作品を、さらにイラストに変換するというのは十和田湖の乙女の像など一部を除いて存在しません。



そのため、このように浮き彫りとなった平和祈念像がメタルキーホルダーの分野で見受けられるのみです。漫画タッチで描いた商品に関しては、現時点で見つかっていないのです。

メタルキーホルダーにおいては、戦争遺構たる原爆ドームの荒れてしまった姿を写実的に表現するだけですので、非常に数が多く存在します。しかし長崎では広島のそれとは大きく異なるものが発見されました。それがこちらです。



裏には、長崎観光記念・平和祈念像と書かれています。表を見てみましょう。



なんと、平和祈念像とともにキノコ雲が描かれています。キノコ雲が描かれたキーホルダーは初めて見ました。現代に残る被爆建造物などではなく、まさにその時に空に立ち昇り、「現存している」とは言い難いキノコ雲そのものを描くとは、ある意味では広島のお土産をはるかに超えているとも言えます。

カップルと、爆心地から遠かった大浦天主堂が多く描かれている長崎のファンシー絵みやげは、被爆建造物を残さない方針とも噛み合い、前向きであると捉えることができます。しかしキノコ雲を描くという広島との大きな違いを見ることにもなりました。興味深い結果となりましたので、今後も調査を続けていきたいと思います。




では、また次回。




（文と写真：山下メロ）


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8月24日 ヒガナカロックフェスティバル19 in ビストロde麺酒場燿ひかる（DJ）
9月29日 マニアフェスタ in 秋葉原（ブース出展）
10月15日 娯楽百貨大学（講義）


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TBSラジオの番組、ライムスター宇多丸さんの「アフター6ジャンクション」に山下メロが出演いたしました。

これまでの出演時の様子は番組WEBサイトから聴くことができます。
スケルトン特集
平成元年特集


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