色々とお世話になったマジックミラーを思い出そう【平成レトロ】(2/2)
■ マジックミラーの活用例
マジックミラーの活用例としては、ホイチョイプロダクションによる昭和末期の映画『私をスキーに連れてって』(1987年)でしょう。主人公の原田知世さんがしていたサングラス。 これこそがマジックミラーの性質を使ったサングラスです。
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↑ 昨年JRのスキーキャンペーンでリバイバルした際も、やはりこのサングラス
バブル時代にはレジャーとしてのスキーブームが起こり、ほとんどの大学生が雪山でスキーに興じていました。ゲレンデには、まるで原田知世さんといった純白のスキーウェアで、このようなミラーサングラスをかけた女性がたくさんいたのです。まさにバブル時代のスキーカルチャーを象徴していたといえるでしょう。
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↑ これがまさにブルーがかったミラーサングラス
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↑ 私が愛用しているゴーグルもミラー仕様
そして次に紹介したいのは、昭和末期に起こった「部屋カスタム」文化です。子供が勉強部屋という名目の個人部屋を持ち、それを自分らしくカスタマイズしていました。その中でも、雑誌の通販ページや、幹線道路沿いのアメリカン雑貨店で売っている小さい信号機風のライトや、小さいジュークボックス風の時計、バスケットゴールなど、やたらとアメリカっぽいものが流行していたのです。その中でも、プラズマボールなど多少ギミックの凝っているものが人気で、ここにもマジックミラーを活用したものがあります。
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↑ トンネルライトを点灯させたところ
はい、それがこの無限に見えるライトです。トンネルライトとも呼ばれます。まるでどこまでも続くように見えるのです。壁に取り付けて点灯させると、まるでどこまでも穴が続いているように見えます。原理は単純で、一番手前にマジックミラー、奥に普通の鏡があって、ライトが点灯すると内部が明るくなるのでマジックミラーが鏡のようになり、奥の鏡と合わせ鏡の状態になります。内部より暗い外側から見ると、中がよく見えるのですが、合わせ鏡によってずっと先まで続いてるように見えるというわけです。
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↑ トンネルライトを消すと中が暗くなるため鏡のように見える。つまり普段は鏡として使用できるのである。
いかがでしょうか。意外にもマジックミラーは昭和末期~バブル時代を陰で支える存在だったのです。他にも当時流行した手品、マジックなんかでも使われました。そうです、つまり魔法のような鏡だからマジックミラーと呼ぶのです。ただしこれは和製英語で、英語圏ではワンウェイミラーなどと呼んでいるようです。
では、最後にこちらをご覧ください。
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実は……こういった自販機でもマジックミラーに出会えます。
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はい、昭和の遺物っぽさありますが、これ見て分かる人はどれだけいるでしょうか。
この右側の鏡面になっている自販機、これは夜になると中が見えるようになるんです。
昼間に青少年が間違えて見てしまわぬよう、風紀を守る工夫ですね!
間違っても青少年が夜にここへ来てはいけません……
では、また次回。
(文と写真:山下メロ)
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