印象派の旅はどこまでも続く【今年おススメの5つの展覧会】

2019/6/1 09:30 yamasan yamasan
一足早く真夏がやってきたような暑い日が続いていますが、みなさまいかがおすごしでしょうか。

こんなに暑くては、ごみごみした都会にいたら堪えられない、水辺や緑の多い郊外に行ってみたいという方もきっといらっしゃるのでは。それにアートファンなら水辺や緑の多い郊外の景色を描いた絵を見て涼しげな気分にひたりたいというのも人情。

そこで今回は、郊外に出て自然の風景を好んで描いた印象派の画家たちの展覧会を中心に紹介していきます。

最初に紹介するのは、「モネも愛した”水の画家”」、バルビゾン派から印象派への架け橋となって、印象派の画家を高く評価して擁護したドービニーの展覧会。

フォト・スポットがとても涼しげです。


ドービニー展 バルビゾン派から印象派への架け橋
場 所   損保ジャパン日本興亜美術館
      (損保ジャパン日本興亜本社ビル42階)
会 期   4月20日(土)~6月30日(日)
開館時間  午前10時から午後6時まで(ただし6月25日(火)~30日(日)は
      午後7時まで)※入館は閉館の30分前まで
休館日   月曜日
入館料   一般 1,300円ほか
関連イベントもありますので、詳細は損保ジャパン日本興亜美術館「シャルル=フランソワ・ドービニー展」をご覧ください。損保ジャパン日本興亜本社ビル1階ロビーで上映しているドービニーの生涯を紹介したアニメーションがおススメです。このサイトでも見ることができます。
このあと三重県立美術館(9月10日~11月4日)に巡回します。

会場入口ではいかにも人の良さそうなドービニーおじさんがお出迎え。



続いて紹介するのは、東京・渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催中の「印象派への旅 海運王の夢 バレル・コレクション」

こちらはプレス内覧会に参加したので、少し詳しく紹介します。
※掲載した写真は、撮影可の最後の部屋を除き、プレス内覧会で美術館の特別の許可をいただいて撮影したものです。
※作品の所蔵は、特に記載のないものはバレル・コレクション、Kと記載があるものはケルヴィングローヴ美術博物館蔵です。

印象派への旅 海運王の夢 バレル・コレクション
場 所  Bunkamura ザ・ミュージアム(東京・渋谷)
会 期   4月27日(土)~6月30日(日)
開館時間  10:00~18:00(毎週金・土曜日は21:00まで)
      ※入館は閉館の30分前まで
休館日   6月4日(火)
入館料   一般 1,500円ほか
詳細はBunkamura ザ・ミュージアム「印象派への旅」をご覧ください。


展覧会では、英国スコットランドの海運王で美術品の大コレクター、ウィリアム・バレル卿(1861-1958)の9,000点以上に及ぶコレクションの中から、主に19世紀後半の西洋近代絵画を中心に80点の作品が展示されています。

タイトルは「印象派への」で、印象派だけでなく、バルビゾン派、ポスト印象派、そしてオランダのハーグを中心に活躍したハーグ派の画家の作品まで幅広く楽しむことができます。

さっそく会場内に入ってみましょう。

入口でお出迎えしてくれるのは、バレルに同時代のフランス美術を紹介した画商、アレクサンダー・リード(1854-1928)の肖像画。

フィンセント・ファン・ゴッホ《アレクサンダー・リードの肖像》(K)

リードはスコットランドに多くのフランス絵画をもたらしたキーパーソンです。
作者はポスト印象派の代表の一人、フィンセント・ファン・ゴッホ。

フィンセントの弟、画商のテオの下で見習いとして働き、一緒に暮らしていたこともあったリードをフィンセントが描いたものです。

展覧会は、室内の情景に始まって、戸外に出て街から郊外へ、そして川から港、外洋へと、展示室内を進むうちに、だんだんと空間的な広がりが感じとれる構成になっています。

第1章 身の回りの情景
展示室に入ってすぐのコーナーは「室内の情景」。

本を読む使用人、耳飾りをつける女性、楽器を奏でる男性、見つめあう姉妹など、ヨーロッパの知人のお宅にお邪魔して、そこに住む人たちの日常のさりげないしぐさを見ているような気分になってきます。


第1章展示風景。右から、テオデュール・リボー《勉強熱心な使用人》、フランソワ・ボンヴァン《愛犬「ミス」》、ヤーコプ・マリス《孔雀の羽根を持つ少女》、アンリ・ファンタン=ラトゥール《入浴する女性》、カミーユ・コロー《耳飾り》

続いて「静物」

花のコーナーではマネの描いたバラに目が留まりました(下の写真中央)。

モノトーンの背景、少ない筆数でグイッと力強く描いたバラの花びら、透明感のあるグラス。 小品ながら存在感の感じられる作品です。

右から、サミュエル・ジョン・ペプロー《バラ》、エドゥアール・マネ《シャンパングラスのバラ》、ギュスターヴ・クールベ《アイリスとカーネーション》

クールベ、セザンヌ、ルノワールの果物競演も、それぞれの個性が出ています。

  右から、ギュスターヴ・クールベ《リンゴ、洋ナシ、オレンジ》(K)、ポール・セザンヌ《倒れた果物かご》(K)、ピエール・オーギュスト・ルノワール《静物-コーヒーカップとミカン》(K)

次に戸外に目を向けてみましょう。

第2章 戸外に目を向けて

まずは街中の景色。
バレーの練習に励む若きダンサーたちを描いたドガの《リハーサル》。展覧会チラシにもなっている作品です。

エドガー・ドガ《リハーサル》

郊外に出ると、緑の多い、のどかな風景が広がってきます。

右から、ピエール・オーギュスト・ルノワール《画家の庭》(K)、アドルフ・モンティセリ《庭で遊ぶ子どもたち》《初めてのブドウの収穫》

インド洋に浮かぶ南国モーリシャス出身のル・シダネルの描いた幻想的な雪景色。

アンリ・ル・シダネル《雪》

セザンヌらしいカチッとした構図の南仏の風景もいい味出しています。

  ポール・セザンヌ《エトワール山稜とピロン・デュ・ロワ峰》(K)

いよいよ川から港、外洋に出ます。

第3章 川から港、そして外洋へ
ドービニーの風景画はどうしてここまで人の心を引き付けるのでしょうか。見る人の心のツボをしっかり押さえているように思えます。

シャルル=フランソワ・ドービニー《ガイヤール城》

いよいよ外洋への旅に出ます。ここからは写真撮影可のエリアです。


右から、アンリ・ル・シダネル《月明かりの入り江》、ウジェーヌ・ブーダン《ドーヴィル、波止場》《トゥルーヴィル、干潮時の埠頭》、カミーユ・コロー《船舶(ル・アーヴルまたはオンフルール)》


  右から、ギュスターヴ・クールベ《マドモワゼル・オーブ・ドゥ・ラ・オルド》、ウジェーヌ・ブーダン《トゥルーヴィルの海岸の皇后ウジェニー》、ヤーコプ・マリス《ドルドレヒトの思い出》

この中から2点アップでご紹介します。

パリ市民の保養地として人気を博した港町トゥルーヴィルの海岸を訪れたナポレオン3世の妃、ウジェニー皇后一行を描いたブーダンの作品。

ウジェーヌ・ブーダン《トゥルーヴィルの海岸の皇后ウジェニー》

終りのない旅を連想させる港の風景はロマンチック!

ウジェーヌ・ブーダン《ドーヴィル、波止場》

さて、「印象派への旅」はいかがだったでしょうか。
近代西洋絵画の世界にふらっと旅をしてみたくなるとても魅力的な展覧会です。

福岡県立美術館(2018年10月12日~12月9日)から始まったこの「印象派への旅」展は、愛媛県美術館(2018年12月19日~2019年3月24日)、Bunkamura ザ・ミュージアム(2019年4月27日~6月30日)と続き、静岡市美術館(8月7日~10月20日)、広島県立美術館(11月2日~2020年1月26日)と足かけ3年にわたって開催されます。
印象派そのものが日本国内を旅する展覧会。東京はじめどこかの会場でぜひご覧になっていただきたい展覧会です。

印象派の旅はまだまだ続きます

これから開催される印象派の展覧会の紹介です。

国立西洋美術館「松方コレクション展」(6月11日~9月23日)
国立西洋美術館開館60周年を記念して開催される展覧会。同館の旧松方コレクションだけでなく、国内外に散逸した名品も含め作品約160点が展示される大「里帰り展」。現在修復作業中のモネ《睡蓮、柳の反映》も展示予定です。


公式サイトはこちらです→国立西洋美術館「松方コレクション展」

東京都美術館「コートールド美術館展 魅惑の印象派」展(9月10日~12月15日)
英国最大のセザンヌとゴーギャンのコレクションを築いた実業家サミュエル・コートールドのコレクションから、印象派、ポスト印象派の作品を紹介する展覧会です。
愛知県美術館(2020年1月3日~3月15日)、神戸市立美術館(2020年3月28日~6月21日)に巡回します。


特設サイトはこちらです→「コートールド美術館展 魅惑の印象派」

横浜美術館「ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」(9月21日~2020年1月13日)
横浜美術館開館30周年を記念して開催されるパリのオランジュリー美術館コレクションの展覧会。


公式サイトはこちらです→横浜美術館「ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」

そして、箱根のポーラ美術館では同館とひろしま美術館の共同企画「印象派、記憶への旅」が開催されています。こちらも印象派がいっぱいの展覧会。
展覧会の様子は、いまトピアート部、明菜さんがコラムで紹介していますので、ぜひご覧になってください。

【最高の癒し】モネの美しい絵画に惚れる『印象派、記憶への旅』

(箱根山の大涌谷周辺は5月19日現在、噴火警戒レベル2(火口周辺規制)に引き上げられています。箱根に行かれる際には最新の情報をご確認ください→箱根・大涌谷情報(神奈川県ホームページ))

全国各地で開催される印象派の展覧会。
印象派の旅はどこまでも続きます。どれも楽しみな展覧会です。