驚くほど手軽にできる【野点】が最高だった

2019/5/17 21:20 虹

◆結論から言うと最高だった

やってきたのは葛飾区にある東京都立水元公園
都内最大級の規模を誇るこの公園には、メタセコイアの森やバーベキュー広場、ドッグランなども備えられています。



この日は釣りをする人や、テントを設営して昼寝、読書などを楽しむ人がたくさんいました。




▲雄大なメタセコイアの森は、都内とは思えないほど。

それでは丁度良いベンチを見つけたので、さっそく始めましょう。





風が強いと、茶碗の中からお抹茶が飛ぶということがわかりました(笑)。柄杓が無いのでお湯は目分量ですが、良い感じです。

完成!



お菓子は最寄りのコンビニでお饅頭を調達しましたが、絵面が簡素すぎるので、懐紙と黒文字くらいはあっても良かったかも……。次回は持ってこようと思います。

目の前には光をいっぱいに受けて輝く草木と、青い空。少し冷たい風とあたたかな陽射しは、この季節ならではの心地よさ。新緑の中でいただくお茶は最高に美味しかったです。





◆気軽に始められる野点の魅力

あまりにも快適だった野点。多くの人におすすめしたいのですが、やはりお道具が気になりますよね。
一から揃えるとなると何を買ったら良いか迷う方もいるはずです。
しかし意外や意外、インターネットで「野点」と検索すると、実に多くの”適したセット”が販売されているのがわかります。
しかも価格は3,000円程度からと、それほど気張らずとも始められそうなお値段です。


▲お茶のお店「芳香園」から出ている「お抹茶5点セット」(3,800円)。これらをタオルで包んで持っていけばOKです。お茶碗の種類が豊富なのも嬉しい。


あのmont-bellからも野点セットが販売されていました! 風などで茶筅が倒れないように突起が付いているという工夫は、さすがアウトドアメーカーの視点。痒いところに手が届く!


▲こちらは完全なる野点セット。8,600円(+税)とお値段は高いものの、携帯するための様々な工夫が。

これだけ気軽に始められるということは、すでに実践している人が多いのかな? と思って調べてみたところ、Twitterでも多くの方が茶の湯をそれぞれのスタイルで楽しんでいました。
山を見ながらの一服は、最高に気持ちが良さそうです!



◆体験するからわかること

普段から美術館へ行く方の中にも「この分野はわかるけれど、こっちはまだ難しい」という悩みを持っている方もいるのではないでしょうか?
絵画はだんだんと理解できるようになったものの、刀剣や書はまだ難しい。茶道具もいまいちわからない……。
そんな時こそ、実際に体験してみるのをおすすめします。

普段から馴染みのないものだと、積極的に興味を抱くのは難しかったりしますよね。けれど一度でも体験すると、不思議と親近感が湧いてくるものです。
今自分が使っている茶碗は何という種類のものなのだろう? というところから入って、自分と趣味の合う茶人について調べていくのも良いでしょう。普段使いの道具と、名物として謳われる道具を比べてみるのも楽しいかもしれません。
今までは知らなかった世界が少しでも身近に感じられたら、茶道関連の展示がぐっと面白くなるはずです。


▲仁清 仁清印《色絵波に三日月文茶碗》17世紀 江戸時代  東京国立博物館の常設展示の中でイチオシの茶碗。いつかこういうお茶碗が欲しい……。

今回私はお作法とは程遠い「超」が付くほど簡易な野点をしましたが、きちんとした茶道の一日体験なども各所で行われているので、興味のある方はそこから入るのも良いと思います。
カジュアルにアウトドアで野点をキメるも良し、一歩踏み込んで本格的な茶道の世界をのぞくも良し。
「その道に入らむと思ふ心こそ 我が身ながらの師匠なりけれ」という利休の言葉のとおり、その分野を学ぼう、知ろうと思う好奇心を大切に、茶の湯の文化を楽しむことができれば最高ですよね。


そうそう、現在東京では2か所にわたってアメリカの現代美術家、トム・サックスによるティー・セレモニーを開催中。


▲こちらは東京オペラシティ アートギャラリーの「トム・サックス ティーセレモニー」。

一見「これが茶道?」と思ってしまう作品も、よく見ると鋭い視点とユーモアで構成されていることがわかります。
2012年から本格的に茶道を学び始めたサックス。彼の「茶の湯」を体験する絶好の機会です!

トム・サックス ティーセレモニー Tom Sachs: Tea Ceremony
会期 2019年4月20日(土)~6月23日(日)月曜休館
時間 11:00~19:00
※金・土は11:00~20:00まで
※いずれも最終入場は閉館の30分前まで
会場 東京オペラシティ アートギャラリー [3Fギャラリー1, 2]
https://www.operacity.jp/ag/exh220/



トム・サックス 「Smutshow」
会期 2019年4月20日(土)~5月25日(土)日、月、祝・休
時間 11:00~19:00
※5月25日は22:00まで営業
会場 小山登美夫ギャラリー
http://tomiokoyamagallery.com/

  1. 1
  2. 2