花見の席で「課長、デュエットしませんか?」消えた平成の発明…マメカラの世界【平成レトロ】(2/2)

2019/3/22 12:00 山下メロ 山下メロ


■ マメカラとは何か


かつてのカラオケは、カラオケボックスと呼ばれるコンテナの中で、LDを用いたレーザーカラオケなんかで歌っていました。通信カラオケという便利な時代が来るのはさらに先のことです。



家庭用にも手軽な音声多重の8トラやカセットテープを用いたカラオケ機が普及しはじめましたが、大きいスピーカーとマイクがセットになっていました。やはり花見やなんかで歌いたい需要もあるため、それを頑張って外へ持ち出して歌うといったことも行われていましたが、電源も必要で気軽ではありません。そこへ登場したのがマメカラでした。



マイク、スピーカー、音声多重のカセットプレイヤーが一体化し、単三電池のみなので片手で持ちながら歌える軽量性を兼ね備えたマメカラは、まさに平成元年(1989年)に、花見シーズンに合わせて発売され、大ヒットしました。電池駆動するので、花見でも、バスの中でもどこでもカラオケが楽しめるのです。


はい。ふかわりょうさんもマメカラが似合っていますね。これは2016年に河川敷で行われた鍋合戦でのヒトコマです(現場は音響機器禁止でしたので、使用はできず)。

いかにマメカラが普及したかは、その後に色々なキャラクター展開が行われたことや、他社が類似品を多数発売したことからも伺い知れます。ウルトラマンやちびまる子ちゃん、サンリオなどのハンディカラオケが登場しました。では、他社製品も見ていきましょう。



こちらはポータブルカラオケWESTMINSTERと書かれていて、懸賞品などによく使われました。黒にネオンピンクがまぶしい。途中からこのようにデュエット用のマイクが付属するスタイルが普及しました。本家マメカラも、小さいマメカラ状のデュエット用マイクを付けていたのです。



こちらはTWINBIRDのハンディカラオケ「デュエットステージ」というもので、黒×黄色、そして白×ピンクというマメカラを意識したものながら、独自の配色センスを炸裂されています。



特にこちらの白×ピンクはハンディカラオケ界でも一番のファンシーです。さらにデュエット用のマイクが対象的に配置されているのも特徴で、取り外して使うこともできるものの、取り外さずに両側へ開いて使うことで2人の距離を縮められるのはこの機種ならではです。ちなみに後述するコーネリアスが使っていたハンディカラオケは、このメーカーの他機種だったりします。


■ 歌番組に登場したハンディカラオケ

CD全盛期の1995年に「MOON WALK」をカセットテープでリリースしたコーネリアス。彼が同曲をテレビの歌番組で演奏する際、時代遅れだったハンディカラオケをマイクに使っていたことが思い出されます。



こうして観ると、ハンディカラオケもオシャレに見えてきますね。今見てもカッコいいです。つまり現代のお花見でもマメカラを含むハンディカラオケを持っていけば、注目を集めること間違いなしです。ぜひ早速入手して今年の花見は周囲と差をつけちゃいましょう!


では、最後にこちらをご覧ください。




はい。去年DOMMUNEで特番をやった際、3776、ジャガーさんとともに出演いただいた町あかりさん、カセットテープでポンチャックメドレーをリリースされた直後だったので、それをマメカラで歌ってもらうという一幕が!!!!!!!!!!!!!!!!!!!






では、また次回。







(文と写真:山下メロ)


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