コレもミュシャなの?ちがうの?どっちなの?「みんなのミュシャ」展で知る、影響力のスゴさ(1/3)

2019/3/19 17:15 Tak(タケ) Tak(タケ)

さて、突然ですが、以下の3つの絵に共通するものはなんだか分かりますか??


出渕裕《聖戦》 「ロードス島戦記」(月刊 『ニュータイプ』 1990年11月号付録ポスター用イラスト)1990年 鉛筆、水彩、リキテックス・イラストボード ©水野良・グループSNE・出渕裕/©KADOKAWA CORPORATION 2018


松苗あけみ 《星座の少女》(『月刊ぶ∼け』 1989年9月号表紙用イラスト)1989年 カラーインク・紙 ©Akemi Matsunae


花郁悠紀子「不死の花」(『プリンセス』 1979年8月号)1979年 丸ペン、墨汁・上質紙 ©Yukiko Kai

3点とも、日本の著名な漫画家やイラストレターが描いた絵であり、それぞれの作品を観たり読んだりしたことのある方も多いのではないでしょうか。

絵の技法はもちろんのこと、話の内容はそれぞれ違いますし、出版社も違えば時代も微妙に異なるので何ひとつ似ている点は見つかりません。

実は三人に血の繋がりがあったとか、室町時代まで祖先を遡れる歴史ある名家の生まれだとか、作業場から目撃したUFOにインスパイアされ描いたものだとか…etc

全部違います!!

では、3枚にもう1枚同じ共通項を持つ作品を加えましょう。こちらです。


山岸凉子《真夏の夜の夢》「アラベスク」(『花とゆめ』1975年4月9号付録ポスター用イラスト)1975年 カラーインク・紙 © 山岸凉子

山岸涼子の子の作品を見れば「答え」はお分かりですよね!これら4作品に共通するキーワードは「ミュシャ」!!

そうあの大人気画家・アルフォンス・マリア・ミュシャ(Alfons Maria Mucha, 1860年7月24日~1939年7月14日)です。


アルフォンス・ミュシャ 『装飾資料集』 図45 1902年 カラーリトグラフ ミュシャ財団蔵 ©Mucha Trust 2019

言われてみれば納得ですよね。それぞれミュシャ的な要素を取り入れて自分の作品にしているのがあらためて見るとよ~く分かります。

それぞれミュシャに感化されたことを、コメントにしっかり残しています。


アルフォンス・ミュシャ 《黄道十二宮》1896年 カラーリトグラフ ミュシャ財団蔵 ©MuchaTrust2019

・出渕裕「仕事でお金がある程度入るようになってからは、ミュシャの画集が出れば必ず買おうとしていました」

・松苗あけみ「コマーシャリズムの要素もありあがら、絵画的でもあり、装飾美にあふれて、それを一幅の絵に収められるのはミュシャだけだった」

・山岸凉子「マンガは手塚治虫先生が作ったものですが、その中で少女マンガには、日本のデザイン黎明期にミュシャが与えた影響が色濃く出ていると思う」

こうした昭和・平成の漫画やイラストに突如としてミュシャの影響が及んだのではありません。学生時代、教科書で目にした与謝野晶子『みだれ髪』の表紙絵にも、既にその差し響きがはっきりと見てとれます。


表紙デザイン:藤島武二 『みだれ髪』(与謝野晶子) 東京新詩社と伊藤交友館により共同出版された与謝野晶子の第一歌集 (明治34年)の復刻版 (日本近代文学館1968年) ©Mucha Trust 2019


アルフォンス・ミュシャ 《アカデミー・コラロッシ 〈ミュシャ講座〉》 1900年 カラーリトグラフ ミュシャ財団蔵 ©Mucha Trust 2019

現代において、これほどデザインが似ていると、どこかの誰かさんではありませんが、それこそ炎上騒ぎになってしまいます。

画像検索するとすぐに似たような絵画や写真、デザインが見つかってしまいますからね。でも、そうでない時代だからこそこれほどまで大胆に、自分の作品に用いることが出来たのでしょう。

シミュレーショニズムやサンプリングといった概念の無かった時代のことです。

しかし、ミュシャの与えた影響は何も日本に限ったことではないのです。

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