初公開作品が集結!十数年ぶりの大規模な北斎展「新・北斎展 HOKUSAI UPDATED」(2/3)
●みどころ
「新・北斎展 HOKUSAI UPDATED」は、作風の変遷と画号によって6章に分けて構成されています。
1 春朗期
安永8年〜寛政6年(1779〜1794) 20〜35歳頃
20歳で浮世絵界にデビューした北斎。勝川春章に入門して勝川春朗と名乗り、役者絵や挿絵本を手がけました。
永田コレクションから『鎌倉勝景図巻』が日本初公開。俳諧とのつながりなど、新たな分野への進出を窺わせます。
2 宗理期
寛政7年〜文化2年(1795〜1805) 36〜46歳頃
勝川派から離脱して琳派の俵屋宗理の名を継いだ北斎は、優美な摺物(非売品の特製版画)や狂歌絵本の挿絵、肉筆画などを手掛けます。「宗理風」と呼ばれる楚々とした女性像を創造するなど、独自の様式を築きました。
旧津和野藩主家が所蔵していた摺物『津和野藩伝来摺物』の全点が公開されるのは今回が初めてで、4期に分けて公開。長らく秘蔵されていたため、衝撃的なほどに美しい色彩が保たれています。
3 葛飾北斎期
文化2年〜文化6年(1805〜1809) 46〜50歳頃
当時江戸で流行し始めた読本の挿絵に全力を傾注した北斎。中国画的な力強い表現に洋風表現も取り入れた幻想的な画面によって「劇画的世界」を創りだしました。
隅田川を丁寧に描いた大作で、2015年に100年ぶりに故郷の墨田区に里帰りした『隅田川両岸景色図巻』が2月11日(月・祝)まで特別展示されます。また、シンシナティ美術館が所蔵する『かな手本忠臣蔵』が初公開。
4 戴斗期
文化7年〜文政2年(1810〜1819) 51〜60歳頃
戴斗と号した頃から、北斎の関心は絵手本に移ります。有名な『北斎漫画』を含む多彩な絵手本を矢継ぎ早に刊行しました。
5 為一期
文政3年〜天保5年(1820〜1834) 61〜74歳頃
61歳となった北斎は、号を為一と改めます。70歳を過ぎると「冨嶽三十六景」をはじめ、北斎を代表する錦絵の揃物を次々と制作しました。
『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』や『冨嶽三十六景 凱風快晴』など、有名作品がずらり。
6 画狂老人卍期
天保6年〜嘉永2年(1835〜1849) 75〜90歳頃
最晩年の北斎は肉筆画制作に傾注。浮世絵師の世界から離れ、独自の画境を追い求めていきます。
西新井大師總持寺で発見された北斎晩年最大級の肉筆画『弘法大師修法図』や、初公開となるシンシナティ美術館所蔵の肉筆画『向日葵図』など、晩年の傑作を展示。
並べると龍虎の面貌が向き合い、「阿吽」の一対となる太田記念美術館蔵の『雨中の虎図』とギメ美術館蔵の『雲龍図』は、1月30日(水)から3月4日(月)まで展示されます。