バブル期に大量発生したモノ!?…瀬戸大橋と「ファンシー絵みやげ」 (1/2)

2018/11/23 12:00 山下メロ 山下メロ


■ 瀬戸大橋は今年で30周年



本州から四国へは瀬戸大橋、しまなみ海道、淡路島経由と色々な方法で本州から気軽に行けます。関門海峡しかない九州や、青函トンネルしかない北海道に比べても、瀬戸内海の恩恵もあって格段に行きやすいのが四国です。しかしかつては陸路では行けず、それを打破したのが1988年に全面開通した瀬戸大橋でした。


↑ 電車の車窓からでは橋の全貌どころか雰囲気すら撮影できず。前のほうに少し見える

瀬戸大橋は岡山県倉敷市から瀬戸内海の5つの島を経由して香川県坂出市までの10の橋の総称です。私は広島で生まれ育ち、父親が瀬戸大橋架橋に関わっていたこともあり、幼少期において瀬戸大橋の開通は大きなニュースでした。その1988年はまさにバブル景気の中、そしてファンシー絵みやげも全盛期で、瀬戸大橋モチーフのイラスト商品は大量に作られました。

ファンシー絵みやげは1980年代から1990年代にかけて日本中の観光地の土産店や施設の売店で売られていた子供向けの雑貨みやげです。動物は擬人化され、人物は二頭身にデフォルメされた漫画風のキャラクターイラストが特徴です。


↑ これがファンシー絵みやげ。

バブル景気まっただ中の瀬戸大橋開通で、気軽に四国へ旅行に行けるようになり、一気に観光業が加速した様子をファンシー絵みやげから見てみましょう。


■ 瀬戸大橋は誰のモノ? 瀬戸大橋のファンシー絵みやげ

では、瀬戸大橋のイラストが入ったアイテムを見て当時のバブリーな観光地の様子を探ってみましょう。まずは瀬戸大橋とだけ書かれたアイテムを見てみましょう。



瀬戸大橋とだけ書かれたキーホルダーだけで50種類くらい所有していて、紹介しきれないので無作為に数点選んでみても、こんな感じでほとんどが桃太郎のモチーフです。これは瀬戸大橋の片側である岡山県のイメージと考えていただいて差し支えないでしょう。そして反対側の香川県にも、鬼ヶ島の伝説がある女木島という離島もありますので、両県で売ることができるアイテムともいえます。


↑ こちらが女木島。かつては桃太郎のファンシー絵みやげが大量に売られていた。

では本州側の岡山県で瀬戸大橋モチーフのものはあるのでしょうか。まず岡山県で売られる桃太郎モチーフのアイテムには地名が無いものが多く、明確に「OKAYAMA」や「KURASHIKI」などと書かれたアイテムは20点ほどしかありません。概算で桃太郎のみ=50、瀬戸大橋+桃太郎=40、桃太郎+岡山地名=20といったところです。その中で瀬戸大橋+桃太郎+岡山地名とすべてを満たすアイテムは……たった1つだけでした。


↑ これが所有する中でほぼ唯一の瀬戸大橋+桃太郎+岡山地名

これは、もともと本州側である岡山にとって瀬戸大橋ができても観光的に盛り上がらなかったということでしょう。当然、瀬戸大橋を目指してきた人は岡山へ立ち寄らずどんどん四国へ行くし、四国から瀬戸大橋を渡る人は手前の岡山より、さらに遠くへ行くといったところでしょうか。


↑ こんな風にすべての橋が書かれていて勉強になるキーホルダーも。ただし橋が10でなく11あるのは建設中に作られたからと思われる。(羽佐島高架橋と仮称されていた部分は完成時に与島橋扱いになった)

このように単なるカップルがモチーフというものもあるのですが、ほとんどが桃太郎です。なぜ本州側の印象が強い桃太郎を使うのかといえば、香川側のキャラクターの弱さにあります。香川のアイテムを見てみましょう

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