強引すぎる〇〇の擬人化……カープ優勝に沸く広島の不思議な「ファンシー絵みやげ」(2/3)

2018/9/28 12:00 山下メロ 山下メロ


■ こんなモチーフは希少種である

ファンシー絵みやげにおいて少ないといえば、動物モチーフにおいて鳥類が少ないという話もあります。これに関しては、ペンギンなどをのぞいて、小さい頭部を大きくし、頸部のくびれを省略してしまうと鳥類のアイデンティティを失う……というデフォルメのむずかしさが理由として挙げられます。



数少ない鳥モチーフの中にもうまくデフォルメできているものなんかもありますので、これはまたの機会に紹介したいのですが、それよりもさらにモチーフにならないものがあります。それが擬人化植物です。

2000年代に観光地で流行した「ご当地キティ」などは特産品である果物や野菜、花などとうまいことコラボレーションしていまいたし、ゆるキャラなどにおいても地域の特産品に顔を付けたタイプが非常に多いです。しかしファンシー絵みやげにおいては、擬人化した動物か有名人やカップルなどの人間キャラクターが多くを占め、背景の樹木などを除けばキャラクターとなっている植物は非常に珍しいのです。



このミニタオルのように「りんご」そのものを擬人化するのではなく、りんごを収穫する伝統的な衣服に身を包んだ「りんご娘」をキャラクター化する例がほとんどなのです。


↑静岡県・茶摘み娘のキーホルダー。放射プリズム。

こちらの「茶摘みちゃん」も同様ですね。お茶そのものを擬人化するのではなく、茶摘み娘をキャラクターにしています。そもそもお茶っ葉を擬人化というのは難しいですが、現代であれば湯呑み茶碗を擬人化するでしょう。

■ 広島ならではの擬人化植物とは!?

さて、いよいよ広島のファンシー絵みやげについてですが、広島で擬人化できる植物といえばなんでしょうか。最近では瀬戸内レモンなどが有名になっていますが、当時はそこまで全国区ではなかったでしょう。むしろ全国区だったのはB&Bのギャグで有名な「もみじまんじゅう」です。そんなわけで、なんともみじを擬人化したものが存在しているのです。


↑ひろしま国体キーホルダー。

まずいきなり観光地みやげではないのですが、こちらのイラストは1996年に広島で行われた第51回国民体育大会「ひろしま国体」のマスコット「咲ちゃん」です。頭が紅葉になっていますね。葉っぱが並んでいるのに「咲く」といった表現で正しいのかはよく分かりませんが、いかに広島が「もみじ」をアイデンティティとしているかがよく分かりますね。

しかし、これでは「もみじを擬人化した」というより「髪の毛を紅葉化した」といったほうが正しいような状況。ファンシー絵みやげには、まさに擬人化といったものが見つかります。


↑広島県・宮島もみじちゃんキーホルダー。しゃもじ型。

もみじちゃんです。まず高校野球の応援などでも知られる、特産品「しゃもじ」の形をしていますね。広島のお土産としても定番です。そんなしゃもじの形の中に、もみじちゃんです。もみじまんじゅうが銘菓であるように、宮島といえば紅葉なのですね。葉っぱに顔がついただけですが、蝶ネクタイをしているのでこれは擬人化でしょう。


↑広島県・宮島MOMIJI LANDキーホルダー。

なんとお次はカップル。しかもニットキャップかぶってますね。茎(?)の部分で歩いてるんでしょうか。


↑広島県・もみじちゃん液晶温度計キーホルダー。

もみじちゃん再び。しかし前回の浮遊型ではなく、こちらは擬人化が進んでいて二足歩行です。ドラえもんに登場するのび太たちのような靴を履いているようにも見えますね。周りに描かれた観光名所のイラストも味があります。

広島が特に多いというわけではないのですが、植物を擬人化したキャラクター商品がいくつか見つかりました。みなさんもぜひ、植物ファンシー絵みやげを探してみてください。

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