暴走族カルチャーにも影響を与えた!?…神風特攻隊と「ファンシー絵みやげ」(2/3)

2018/8/17 12:00 山下メロ 山下メロ


他にも見てみましょう。



こちらは知覧特攻平和会館と謳わずに、薩摩の小京都である「知覧」の地名のみが入っているメタルキーホルダーです。先ほどと同じように実際に展示されている特攻隊員の銅像と零戦が浮き彫りになっています。裏を見てみましょう。



大きく知覧特攻観音の文字が書かれています。こちらは表では大きく旧・知覧町全体といった趣でしたが、裏側の知覧特攻観音は、知覧特攻平和会館の中にある特攻平和観音のことを指していると思われます。特攻隊員の慰霊のため、特攻平和観音堂に観音像が安置されているのです。

このように特攻平和関連のキーホルダーは写実的な表現が多く、子供向けといった商品が見当たりません。1980年代から1990年代にかけて全国の観光地ではファンシー絵みやげと呼ばれるコミック風イラストをプリントした商品が大量に売られ、厳めしい戦国武将や原爆ドームまでかわいくデフォルメされていた時代でした。さすがに知覧の神風特攻隊関連では存在しなかったのでしょうか。

■ 特攻と暴走族カルチャー

暴走族においては旭日旗や「神風」「特攻」などの旧・日本軍のモチーフが多用されたこともあり、修学旅行生の中でも不良の生徒向けの商品としてファンシー絵みやげの中にもこれらの意匠が登場します。


↑錦帯橋の無敵フラッグ。

「KITCHIRI」というローマ字日本語のスペルがキッチン(KITCHEN)っぽいことなどが気になりますが、神風特攻隊に由来する「特攻」のハチマキを締めた学ランにリーゼントの男子。そして何より、背景が正しく十六条旭日旗になっています。こちらは旧陸軍や現在の海上自衛隊も使用。


↑特攻キーホルダー。

「やるっきゃねー」と言っているマスク・リーゼント・ウンコ座りの不良学生。こちらも大きく「特攻」の文字。これも神風特攻隊に由来します。こちらの背景は旧海軍の大将旗と同じ八条旭日旗。現在は陸上自衛隊も使用しています。


↑特攻キーホルダー。

こちらも大きく「特攻」の文字。背景は十六条旭日旗ですが、黒地に紫のカラーリング、そして金文字というヤンキーグッズに多い仕様に変更されています。


↑神風フラッグ。

この「神風」という言葉は、かねてより色々な事象などで使われてきたものですが、特攻という言葉がよく使われる暴走族文化においては、やはり神風特攻隊に由来するものと思われます。こちらは十六条旭日旗で、太陽が右に寄っていますが赤と白の部分が反転しています。

これらのものは、すべて1980年代から1990年代に観光地の土産店で売られていたものです。暴走族も、暴走族にあこがれるヤンキーやツッパリたちも、時には思想や戦争に対するスタンスとは関係なく、暴走族文化の定番モチーフとして修学旅行などの際に購入し、部屋などに飾っていたのです。

    次へ

  1. 1
  2. 2
  3. 3