日本の「おみやげ」情報サイト「OMIYA!」編集長の「おススメみやげ」とは?

2018/6/26 11:00 吉村智樹 吉村智樹


▲旅をする前に必読! 日本中の「おみやげ菓子」のデータが集まる人気サイト「OMIYA!」


いらっしゃいませ。
旅するライター、吉村智樹です。


おおよそ週イチ連載「特ダネさがし旅」
特ダネを探し求め、私が全国をめぐります。





■「超甘党」の編集長に訊く「心に残るおみやげ」


今回は前回の続きです。
https://ima.goo.ne.jp/column/article/5959.html


全国の「おみやげ」情報サイト「OMIYA!」(オミヤ!)。
https://omiyadata.com/


「OMIYA!」は日本津々浦々の観光地で売られている「おみやげ菓子」を50名以上のレギュラーライターたちが実食し、詳細なデータと、愛にあふれたスウィート・ソウルなレビューが読めるサイトです。
現在なんと8300(!)を超える膨大な数のおみやげが載されています。


そして「OMIYA!」編集長である兵庫県在住の嶋田コータローさん(39歳)は、大の甘党。
前回のインタビューでは、
「幼い頃、おはぎパーティが楽しみだった」
「あずきミュージアムの年間パスポートを持っている」
「食後に菓子パンを食べる」
などなど、甘いものへの情熱がほとばしるイイ発言が目白押し。
「この人のおみやげ魂は……本物だ!」と改めて敬服した次第です。


そんな嶋田さんに今回は「心に残るおみやげ」をいくつか紹介していただきました。
*これら商品を特別に推薦するという意味ではありません。



▲「OMIYA!」編集長で、自身もライターとして記事を執筆する嶋田コータローさん


■あんこ大好き編集長が絶賛する小豆菓子


――まず、ひとつめは、なんでしょう。


嶋田
「鹿児島の明石屋製*『高麗餅』です。高麗餅と書いて『これもち』と読みます。小豆と米粉と餅粉を使った蒸し菓子で、餅と言っても伸びるわけではありません。とにかく食べたときの“あずき感”がすごいんです」



▲鹿児島の明石屋製「高麗餅」





*高麗餅(これもち)
江戸時代に高麗(韓国)から渡来した陶工たちが、故郷を想って神社を建立。祭に奉納するために餅米と小豆餡を練って蒸しあげたお菓子。
おいしさが評判となり、日本の庶民のあいだにも広がった。


――小豆色のカステラ? 見ただけでは硬いのか柔らかいのかがわからない、ミステリアスな印象のお菓子ですね。


嶋田
「鹿児島名物に『かるかん』という郷土菓子がありますよね。あの『かるかん』に、こしあんをたっぷりしのばせたような蒸し菓子なんです。初めて食べたときの衝撃は忘れられません。こんな深い味わいの小豆菓子をいただいたのは初めてでした」


――あんこ大好きな嶋田さんがそこまで褒めるなら、そうとうな“あずき感”なんでしょうね。


嶋田
「食べた瞬間は、あまり小豆の味を感じません。しかしモグモグと噛んでいくうちに、少しずつ小豆の濃厚な風味が口の中いっぱいに広がります。これは日本人だけではなく海外の方にも味わってもらいたい。和食のあとのデザートにもってこいのジャパニーズ・スイーツだと思います」


――海外、特にヨーロッパの方々にもあんこの魅力を知ってもらいたいですよね。


嶋田
「海外の方は豆を甘くして食べることに抵抗があるようですね。でもこの高麗餅だと、見た目は豆っぽくないけれど小豆の風味はしっかり感じられるので、お勧めです」


■飴なのに餅のように伸びる不思議な食感


――続いては、なんでしょう。


嶋田
「熊本県の老舗園田屋製*『朝鮮飴』です。片栗粉がたっぷりまぶされた*求肥(ぎゅうひ)のお菓子なんです。400年以上もの永い歴史があるんですよ」



▲熊本県の老舗園田屋製「朝鮮飴」





*朝鮮飴(ちょうせんあめ)
餅米と水飴と砂糖をねりあわせ、片栗粉をまぶした求肥菓子の一種。
16世紀、園田屋の開祖、園田武衛門により作られ、当初は「長生飴」と呼ばれていた。
文禄・慶長の役での朝鮮への出兵の際、当時の城主である加藤清正の軍が篭城中の兵糧として役立てたことから、朝鮮飴と呼ぶようになった(当時は上白糖はなく黒砂糖を用いた)。


*求肥(ぎゅうひ)
こねた白玉(しらたま)粉に水飴と砂糖を加えて練り、蒸したお菓子。
餅のような食感がある。


――飴というよりお餅のような、もちもちした食感ですね。


嶋田
「そうなんです。小学校4年生の時に兄が修学旅行のおみやげに買ってきてくれたのが初めての出会いで、箱を開けたら真っ白。食べてみたら、飴と書いてあるのにお餅のように柔らかいし、日本のお菓子なのに『朝鮮飴』だし、とにかく『なんだこれ?』とびっくりしたのを憶えています。しかもおそるおそる食べてみたら、ほんのり甘くて、とってもおいしかった。想い出に残る郷土菓子です」


■和菓子でも洋菓子でもない「おみやげ菓子」というジャンル


――続いては、なんでしょう。


嶋田
「福島県の三万石製*『ままどおる』です。お好きな方が多くて、『OYMIYA!』の記事へのアクセスもすごく多いんです」



▲福島県の三万石製「ままどおる」





*ままどおる
バターを多く加えたミルク味の餡を生地で包んだ焼き菓子。
スペイン語で"お乳を飲む人々"を意味する。


――僕も大好物です。牛乳とよく合いますよね。嶋田さんがこれをお好きな理由はなんですか?


嶋田
「まずネーミングのインパクトですね。あと黄色くて目を引くパッケージデザイン。僕がおみやげを選ぶ重要な要素が『ネーミングとパッケージ』なんです。この『ままどおる』はおいしいだけではなくネーミングもパッケージもいいという、トータルで素晴らしいお菓子ですね」


――これって洋菓子なんですか? 和菓子なんですか?


嶋田
「和菓子として紹介されることが多いですね。でも自分は食べたときに洋菓子だと思いました」


――和菓子でもあり洋菓子でもあるし、反対に言えばどちらでもない。「おみやげ菓子」としか呼びようがない。固定概念に縛られず、発想が自由な気がします。それって「おみやげ」の魅力ですよね。


嶋田
「そうなんです。そういう点でいえば、これも和菓子でもあり洋菓子でもあるおみやげです。同じ三万石製*『欧風饅頭エキソンパイ』。洋風のパイでありながらくるみ入りの白あんが包まれていて、ユニークです。そして、とてもおいしい」



▲三万石製「欧風饅頭エキソンパイ」





*欧風饅頭エキソンパイ
くるみ入りの白あんをパイ生地で包み込み、香ばしく焼き上げたお菓子。
エキソンはフランス語で「楯」という意味があり、楯を思わせる四辺形である。


――パイにあんこですか。和洋折衷ですね。「欧風饅頭」と冠されているのもすごい。どこの国のお菓子なのかわからない。


嶋田
「おみやげにはパイってすごく多いんですが、これは珍しいです。原材料が少なくて、それが素朴な味わいにつながっていると思います」


――おいしいだけではなく、見ていて楽しいですね。不思議の国へ連れて行ってもらうような。おみやげならではの世界だなと思います。「三万石」という、多いんだか少ないんだか、微妙な数値も最高です。


■「日本中のまんじゅうを食べ尽くしたい」


――今日はたくさんのおみやげをご紹介いただき、ありがとうございます。嶋田さんの今後の夢や目標はありますか?


嶋田
「おみやげのなかでも、特に“まんじゅう”を極めたいです


――まんじゅうを……極める?


嶋田
「はい。『日本のまんじゅうを食べ尽くしたい』という想いがあります。もともと幼い頃からあんこが好きで、それから発展して、まんじゅうが大好きになったんです。そして『OYMIYA!』にたずさわるようになって改めて『まんじゅうっておいしいな』と思うようになったんです」


――でも、まんじゅうの種類って、ものすごくたくさんありますよね。極めるのはたいへんなのでは。


嶋田
「そうなんです。公式サイトもない。ブログ記事もない。でもレベルが高い。そういう埋もれたいいまんじゅうが日本にはまだまだたくさんあります。そんなまんじゅうに出会うためだけに日本中を旅したいと考えているほどです。実はすでに実行していて、自分のブログで“諸国饅頭記”という連載もやっているほどなんです」


諸国饅頭記
http://rokotastyle.com/category/manju/


――諸国饅頭記! めっちゃいいタイトルじゃないですか! ぜひ続けて、いつか書籍にまとめてください。嶋田さん、2週に渡り、ありがとうございました


嶋田さんのお話を訊いた昼下がり。
まさに、おやつどきでした。
そんなときに訊かせてもらった、壮大な「諸国饅頭記」のプラン
男子一生の仕事となるでしょう。
お話をうかがっているこちらもワクワクし、話が弾みました。


「おみやげ」が紡いだ充実のひと時。
おみやげって、いい時間を生むコミュニケーションツールなんですね。


そんな極上のひとときをもたらす「おみやげ」が網羅されたデータベースサイト「OMIYA!」。
皆さんものぞいてみてはいかがでしょうか。


日本全国のおみやげデータベース「OMIYA!」
https://omiyadata.com/




TEXT/吉村智樹
https://twitter.com/tomokiy


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