男の子向けのひな人形!?…「ファンシー絵みやげ」で振り返る菅原道真公(1/2)
こんにちは。平成元年あたりのカルチャーを発掘調査している山下メロと申します。80年代とも90年代とも違うその時代を、平成レトロとして愛好しております。
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当連載では、80年代から平成初期に流行した「ファンシー絵みやげ」から、当時の流行を紹介していきたいと思います。「ファンシー絵みやげ」とは80年代からバブル経済期~崩壊を挟んで90年代まで、日本の観光地で若者向けに売られていた、かわいいイラストが印刷された雑貨みやげのことです。
「ファンシー絵みやげ」については連載第一回をご覧ください。
■ さまざまな雛飾り
いよいよ3月3日は雛祭り。童謡「うれしいひなまつり」でも歌われる通り、ひな人形を飾るという風習が一般的です。
赤い絨毯の敷かれたひな壇に、内裏雛、三人官女、五人囃子、左大臣右大臣などの人形、そして桜、橘に菱餅、家財道具のミニチュアなどが並んでいるような豪華なものまでありました。
他にもつるし飾り(吊るし雛)や流し雛など色々な風習があります。特につるし飾りは地方ごとに特色があり、静岡県伊豆半島にある稲取の雛のつるし飾り、福岡県柳川市のさげもん。山形県酒田市の傘福といったものが有名です。
↑伊豆半島・稲取温泉の雛のつるし飾り。
↑傘福と呼ばれる山形県酒田市のつるし飾り。
■ 男の子のお祝いと三歌人
今や3月3日といえば女の子の節句で、逆に端午の節句である5月5日は「こどもの日」という祝日であるものの、男の子の節句というのが一般的でしょう。
しかし昔はそういった性別とは関係なく、節目を祝うものでした。中でも静岡県の志太榛原地方では、男児向けに学問の神様である菅原道真公をモデルとした天神人形を飾るという風習があり、男の子向けのお雛様とも言われているのです。
また、女の子向けのひな人形においても、「三歌人」として柿本人麻呂、小野小町と並んで菅原道真公の人形を採用しているものもあり、実は3月3日に関係が深いのが菅原道真公だったりするのです。
■ 太宰府天満宮
菅原道真公をお祀りする神社は多数ありますが、中でもその総本宮とされるのが墓所に建立された福岡県の太宰府天満宮でしょう。 しかし、太宰府天満宮の参道へファンシー絵みやげ保護活動として赴いた際に、まったく見つからなくて驚きました。
↑太宰府天満宮の参道。撮影したのが遅い時間なのでシャッターが閉まっている店舗も。
↑このように参道の先にある門前町にもたくさんの店が軒を連ねている……にも関わらず、見つからない。
話を聞いてみると、さすがに祀っている学問の神様・菅原道真公をディフォルメイラストにするのが不敬であるためか、太宰府天満宮からのお達しで禁令が敷かれたようなのです。