<2017年版>年間200冊の本を読むカズレーザーが思う「おもしろい本」後編

2017/12/30 11:00 はやしちひろ はやしちひろ


こんにちは!ライターのちひろです。

みなさま、年末はいかがお過ごしでしょうか?
お休みでお時間ある方は、好きな本と好きなお菓子とか用意して、読書に耽るなんていうのも素敵ですね♡

さて今回は、2017年の「レーザー読書」にて、カズさんが番組で用意された本を読んで、ランキングをつけるという企画の中で、上位に選んだもの・絶賛していたものをご紹介します。(番組から提供されたもので、カズさん自ら選んだ本ではないので、辛口評価も有り)

カズさんの憧れる恋愛観もチラ見できてしまったりして…!?
ちょいちょい相方なつさんとの掛け合いもあるので、そこもお楽しみください。


■上位ランクイン作品

<四月になれば彼女は> 川村元気著
四月になれば彼女は


主人公は、結婚を控えた精神科医の男性、「藤代(ふじしろ)」。しかし同棲して3年、2人は別々の部屋で眠る、どこか冷めた関係だった。そんな時、初めて付き合った恋人から手紙が届くように…。

“恋愛小説とはかくあるべき、というのが全部詰まってる。めちゃんこおもしろい。もう、このハッピーエンド見たらぐうの音も出ない、マジで。読後感が良すぎてこの話をしたくてしょうがないもん。昔の彼女がね、すげーいい子!本当に透き通るような女性なんだな、っていうのが文章で伝わってくんのよ。
なつさん「なんで手紙出したの?」
カズさん「え?読めよ」(スッパリ)”

“最初、(恋愛に)すげー冷めてる登場人物ばっかりだと思う。めっちゃドライなヤツばっか集まってんなぁって思うんだけど、読み進めていくうちに、全員が恋愛の答えを持ってるの。諦めてんじゃなくて、もう答えを知ってるからそんなに恋愛に熱くなってないだけなの、みんな。(実は)恋愛だらけの世界だった。みんなが共通して想う夢物語が具現化されたもの。こういう恋愛に憧れない人はいないと思う。”

同小説について、別番組では、”後半にイケメンのバイセクシュアルの子が出てきて、心をわし掴みにされましたね♡”と言っていました。(笑)


<蜜蜂と遠雷> 恩田陸著
蜜蜂と遠雷


主人公は人生の岐路に立たされた4人のピアニスト。才能がぶつかり合うピアノコンクールでは、誰が優勝するのか最後まで分からないストーリー展開も魅力の1つ。

“感動したのが「文章で音楽って表現できるんだ」ということ。オーケストラを耳栓しながら聴いてる感じ。ここで盛り上がってんだ、観客が拍手してんだ、って。音がなくても音を表現できてるの。
なつ「本の3Dですね!」
カズ「あ?4DXじゃないの?」”

“(主人公の1人の)明石さんが好き。30歳手前の方で、家族もいて、でもこれがピアノを止めるきっかけになればって言ってこのコンクールに参加するんだけど、天才じゃないの。多分、登場人物の中でこの人だけが天才じゃないの。その人がちょうどいいポジションなんだよね。我々読者よりも音楽に精通してる、でも天才には届かない立ち位置がちょうどいいの。”

“恩田陸さんの作品て別にどんでん返しがすごいとか、超絶にトリックがあるとかじゃないんですよ。この後誰かの視点だったら面白いな、って読者が思う視点にちゃんと映るの。それがすごいの。”

“本当にすごいのが「ショパンの何番」って言われてもその曲知らないじゃないですか。知らなくてもその曲が聴こえるような書き方なんです。この曲ってこういう感情の揺さぶられ方するんだ、っていうのが分かるんです。”

100点満点中、150点と高評価でした!私もこの本大好きです。正に、文字を読んで音を聴いているかのような感覚になれる。生で聴いている臨場感すら感じます。主人公たちの、ヒリヒリするような感情をリアルに追体験できるくらい事細かな描写で、事あるごとに琴線に触れ、その度に鳥肌が立ち、後半部分では何度も温かい涙が流れた作品でした。


<罪の声> 塩田武著
罪の声


昭和最大の未解決事件をモチーフにしたミステリー小説。著者は、小説を書くために新聞社に入って新聞記者をやっていたので、取材が徹底している。かなり筋が良いフィクション。

“あるメーカを脅迫して金をせしめようとした事件あって。「どこどこへ行け」って子どもが警察に指示してる音源(脅迫電話)があるんだけど、それが自分の声だと気づいて、自分の親が事件にかかわってたんじゃねぇか?って所から話が始まるの。もうおもしれぇ!!
これが真実でしたって言っても「あぁ、そうなんだ」って思うくらい説得力がある。”

“この作者の思いついた史実だけが書かれてるのかな、と思うんだけど最後に書かれてるのは一人の人間のことだったから、それが1番面白かった。でも、何人か犯人が出て来るんだけど、犯行に至った理由がすごく陳腐。こんなでかい事件を起こした理由そんなもんなんだ、っていうのもあるし。それはすげースカされた感がある。(←ここの批評めっちゃニコニコしながら話している)”

“実際の犯人以外、初めて知る登場人物をメインに真相に辿り着いちゃったから、そこはやっぱフィクションだな、って感じになってる。”


<旅猫リポート> 有川浩著
旅猫リポート (講談社文庫)

人と猫が心を通わせる青春小説。ある事情で、飼い猫の貰い手を探す主人公。しかし飼い猫が猛反発。そこにはある想いが…。見合いがつぶれるたびにほっとして僕を連れて帰ってくることを知っていた。実は、離れたくない主人公を思い、敢えてお見合いを破断に。1人と1匹の深い友情を描いたストーリーがポイント。

“1人の男性が猫を飼ってまして、とある理由で飼い続けることが困難になって、色んな方に連絡を取って猫の引き取り手を探す、ていうのが大筋です。この猫ちゃんがまぁほんと賢くて、人間の言葉を理解するんですよ。
なつ「この猫は主人公の元にずっといたいの?」
カズ「いたいの!ほんと飼い主も猫のこと好きだし、超仲いい」
なつ「じゃぁ飼えばいいじゃん」
カズ「飼い続けられない理由があんのよ」
なつ「なにそれ」
カズ「言ったらもう…終わっちゃうよ?でも、大丈夫、すぐに理由に気づく、その理由は!ほんとの作品だったら、その理由がオチになるんだけど、有川先生はそこがオチじゃないのよ。そこがいいの」
なつ「泣く?」
カズ「泣かせる感じの描写はあるけど、俺は泣かなかった。ああ泣かせなくていいんだ、って。泣かせたらすぐ評価が上がりがちじゃないですか。泣けることが正しいみたいに。でも泣き落としにいかないってのはさすがですね。」”

“欠点が1個もないと思います。やっぱ有川先生ですよ。売れる人はこういう本書けるんですよ。良い本に必要なパラメータ―があったら、やっぱ全部高いレベルで埋まる。完璧。”

“ただ、俺はどっちかって言うと、最高傑作という感じはしなかったですね。むしろ有川先生だったらこのくらいさっと書けちゃうイメージ。だから満点ではない。
すごくポップな感じ、口当たりもすごくいいし。いつ読んでも多分同じくらい感動するんだろうけど、自分の中で人生の一冊って感じではない。”


<静かな雨> 宮下奈都著
静かな雨

主人公は足の不自由な男性。ヒロインが交通事故に遭い、実はその自己である後遺症が…。短期間しか新しい記憶を留めておけない。ヒロインの記憶は1日経つと事故に遭う前までリセットされてしまう。

“本当にちょっとした事故が原因で、脳に障害を負って新しい記憶が覚えられない、てことになってしまってその2人が生活していく。言ってしまえば何も起こんない話。別に殺人とか起こるとか、天地がひっくり返るような出来事があるとか特にない。恋愛小説だけど燃えるような恋も全くない。”

“これ人に勧める時、どういう本って聞かれたら、なかなか説明が難しいと思う。何がおもしろいとか、どこで感動するとか説明するにはこれを渡すしかないの。でも、読み終わったらちょっとだけ明るい気持ちにはなる。最後も、ハッピーエンドっちゃハッピーエンドなんだけど、明確にすげーよかったね!っていうハッピーじゃない。一筋の光が差すくらいなの。それがでも心地いいんだよね。ちょうどいいの。ここでマックスの幸せ見せられたらその先の2人の関係が不安になるし、その先を明るく想像させるすげー良い気持ちで終われるの。あんまりこういう本読んだことなかったですけどね。”

“将来この本のことを思い出してちょっとだけ明るい気持ちになれる先行投資で読んでほしいですね。俺、大好きですね。小説じゃなきゃ表現できないってほんとそうだと思います。”


    次へ

  1. 1
  2. 2