「モニターを超える世界が双眼鏡にはある」キヤノンに聞いた!コンサートにぴったりな「双眼鏡」を徹底解説〜後編〜

2017/12/24 13:32 柚月裕実 柚月裕実

『コンサートにぴったりな「双眼鏡」を徹底解説』後編は、双眼鏡の選び方から基本のセッティングの仕方、お手入れ方法についてお聞きしました。


■キヤノン双眼鏡の「手ぶれ補正機構」ってどんな仕組み?


左から島田さん、家塚さん。知識ゼロでうかがった筆者にとても分かりやすく解説してくださいました。


ーー双眼鏡を選ぶにあたって欠かせないのが「手ブレ補正」ですが、キヤノン製の双眼鏡はどの機種にも搭載されているのでしょうか。

家塚:キヤノンの双眼鏡にはすべて「手ブレ補正機構」が入っています。
島田:手ブレ補正とは、そのまま「手のブレ」をおさえてくれる技術ですが、元々はビデオカメラのレンズで培った技術で、我々はレンズの技術のノウハウがあったので手ブレ補正を双眼鏡に入れることができました。

家塚:一般的に、ブレの種類は大きく分けて大小の二つがあります。一つは体全体が揺れるようなゆったりとした大きなブレ、もう一つは手のふるえのような細かな小さなブレです。

まずは、大きなブレについて。ヒトはしっかり直立しても数センチレベルで頭の部分が様々な方向に揺れています。そのため、頭の動きに合わせて、双眼鏡もブレの影響を受けてしまいます。加えて、コンサート会場では、観客の動きに合わせて会場自体が揺れることがあります。これらが大きなブレにあたります。
次に、小さなブレについて。ヒトは心臓の鼓動を打ちながら生きています。どんなにしっかり双眼鏡を構えていても、細かいふるえ(プルプル)があります。また感動で興奮すると鼓動も上がり、ふるえます。これらが細かいブレにあたります。

ーースマホでもビデオカメラでもかなりブレることもありますよね。そうしたものを制御してくれるのが手ブレ補正と。

家塚:ビデオも同じですが、子どもの運動会などをホームビデオで撮影するときに、望遠にして片手で撮ることが殆どです。片手で撮影しても手ブレ補正の技術が生きていて、電機的に映っている画像を画像処理で止める方法もあるのですが、キヤノンは昔からレンズの一部を動かす技術を持っていて、ビデオやカメラのレンズを通して培ってきたそれらのノウハウを双眼鏡に組み合わせています。

ーー小さなボディの中で重要な大仕事が行われているとはびっくりです。

家塚:キヤノンは、ビデオカメラやカメラで培ったレンズ技術を生かして、大きなブレと小さなブレ、これら両方のブレを抑えています。ブレが抑えられることで、今までになかったコンサートのシズル感や臨場感が得られるようになるため、感動したファンのみなさまに、ご好評をいただいているのだと考えています。
ぜひ、手ブレ補正機能付きの双眼鏡でコンサートなどを存分に楽しんでいただければと思います。現場で見た記憶、感じたシズル感や臨場感は、きっと自宅で映像や音楽を楽しむときにも、ありありと甦ってくるものだと考えています。

ーーなるほど、他社のメーカーさんとの違いはそこにあるのですね。

島田:カメラ用のレンズとして最高峰のレンズを作っているメンバーがこの双眼鏡も作っています。光学技術というのが我々のコアな技術で、他の製品も含めて強みとなる部分です。双眼鏡はそのあたりのノウハウを活かしやすい製品だと考えています。

ーーいいところをぎゅっと凝縮したのが双眼鏡ですね。


■一番マルチに使える双眼鏡はどれ?利用シーンにあった双眼鏡の選び方


「防振双眼鏡シリーズ」。前方の3つが最新機種


ーー続いて購入時のポイントについて。倍率や形状、価格帯も様々で量販店に行っても迷ってしまうのですが、選び方のコツがあれば教えてください。

島田:最新機種パワードIS(イメージスタビライザー)という機能がついており、一点を観るのに適した補正の制御をしています。例えば自担の方があまり動かないシーンではパワードISをオンに、激しく動いているシーンでは通常のモードを使っていただくとよくみえるのではないかと思います。

家塚:パワードISは一点をみるために強力な手ブレ補正をかけるため、動いている対象を見る場合、双眼鏡をお使いになる方がその対象をキャッチしようと双眼鏡を振ったときに、双眼鏡が手ブレと判断し、不自然に見える場合があります。双眼鏡を左右に激しく振らなければならないほど、踊ったり歌ってらっしゃる方をみる場合は普通のISの方が見やすいかもしれません。距離とも関係するので一概に言えませんが、状況にあわせて切り替えていただければと思います。
同じスピードで動く対象も、近くでみると双眼鏡を早く大きく動かす必要があり、遠くからですとゆっくりと少しずつ動かせば追うことができます。どれくらいのスピードで双眼鏡を振るかにもよります。




島田:いままでは小型のものと大型のものしか用意がなかったのですが、今回はその中間に位置する双眼鏡を開発しました。



ーーTwitterでも話題になっていた機種ですね。

家塚:皆さんはコンサートのために貯金をされているとQ&Aサイトで知りました。初めてコンサートに行かれる方からの投稿に、やさしいファンの方が回答されていて、応募の仕方からグッズを買うのに1万円、予算としてざっと5万円という回答に、「がんばってバイトします」というやりとりなどを拝見したのですが、コンサートにいくのにもお金がかかりますし、特に若い方は大変ですよね。予算が限られた方であれば、8×25という一番小型なものがおすすめですね、高倍率がよい方は10×30というタイプ、もっと高倍率ならば12×36というタイプ、おそらくこの3機種が入門的なところになりますね。

島田:社内でコンサートによくいく人がいまして、3日連続で1階席、2階席、3階席とそれぞれの席に合わせて双眼鏡を使い分けたという話をききました。

ーーなんとも羨ましい!

島田:必ずしも倍率が高ければいいということでもなく、大きく見えることは見えますが、距離が近いときには大きすぎてしまうこともあるので、倍率が高ければより楽しめるかといえばそうとも限らないです。概ねコンサートなどの用途で選ばれることが多いのは、8〜10倍ですね。

家塚:相撲ファンによると、「両国国技館の二階席で10倍を使うと、ちょっと近すぎた」とフィードバックをもらいました。相撲は力士一人を見るわけではなく、大きな二人の体を見るので、二階席でも近すぎたそうです。このような場合は8倍をおすすめします。

島田:どこかをフォーカスして観たいときは10倍、12倍。周りも含めて観たいのであれば8倍が良いかもしれません。アイドルの襟足をみるとすれば10倍、12倍でしょうか(笑)10倍であればマルチに使えると思います。

家塚:バードウォッチングで12倍を使うと、どの茂みにいるのかわかりにくくい場合もあるのですが、10倍だとほどよく周囲の情報も入るので探しやすくなります。倍率が大きくなれば視野が狭くなっていくので、相手を探すときに探しにくくなるかもしれませんが、情熱があればカバーでるのではないでしょうか(笑)


■さりげないこだわりがつまっている!


アイカップを折り曲げるとメガネをかけている人にもフィット。


双眼鏡選びはどうしてもレンズなどの機能面に集中してしまいますが、細部にもこだわっていたのが印象的でした。


ーーペンライトとうちわを持つので両手がふさがってしまうのですが、ストラップもしっかりしてますね。

家塚:標準的についているのは黒いシンプルなものです。弊社から積極的におすすめすることは避けますが、ストラップは一眼レフカメラのストラップと同じ幅で作っていますので、カメラ用のストラップに替えることもできます。ネットで検索してみると、ストラップを自担の色と同じに、また双眼鏡自体をデコレーションする方もいらっしゃるようですね。「双眼鏡デコ」と検索するとデコレーションの例を拝見することができました。

ーー双眼鏡デコですか調べてみます(笑)ストラップがしっかりしていると安定につながります。

島田:2時間しっかりと望遠鏡を持つとなると、手にしたときのホールディング性も大切です。

ーー確かに、疲れてしまうんですよね。夢中で気がつかないことも多いですが……。

家塚:握りやすさにも改良を加えました。長時間双眼鏡を持つとなると快適性も大切になってくるので、凹凸を設けてきちっと指が入る設計になっております。これまでは右と左をつなげる部品が入っていたために、どうしてもフラットになっていたのですが、技術的なハードルを超えて実現しました。
持つ部分も滑り落ちないように筋を入れています。実際に指を当てていただくとわかるのですが、自然な形でありながら意味のある形になっております。そして、手ブレ補正もワンタッチで効き続けます。従来は押している間だけ効いていました。電池の消耗が抑えられるというメリットもあるのですが、コンサートで使うとなるとほぼ押した状態でご覧になることが多いと考え、ワンタッチで切り替えができるようになりました。

ーーなるほど、それはありがたい機能です。
島田:実はそういった声は多く寄せられていましたので、従来のものよりも使いやすくなったと感じて頂けると思います。


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