食事中の方は閲覧厳禁!…「ファンシー絵みやげ」で振り返るウンチ君(1/2)
お久しぶりです。平成元年あたりのカルチャーを発掘調査している山下メロと申します。80年代とも90年代とも違うその時代を、平成レトロとして愛好しております。
当連載では、80年代から平成初期に流行した「ファンシー絵みやげ」から、当時の流行を紹介していきたいと思います。「ファンシー絵みやげ」とは80年代からバブル経済期~崩壊を挟んで90年代まで、日本の観光地で若者向けに売られていた、かわいいイラストが印刷された雑貨みやげのことです。
「ファンシー絵みやげ」については連載第一回をご覧ください。
■ あのウンチの意匠
近頃、うんこを使った漢字ドリル『うんこ漢字ドリル』が人気となりたびたび話題になっています。あまりの人気ぶりにキャラクター商品まで作られています。
そこで今回は、何となく連載の品位を考えて避けてきた1980年代のウンチについて語りたいと思います。下品だなんだと言っても、排泄行為からは逃れられないので気にしないことにしました。
特に今回取り上げたいのは「お巻きになられた大きい方」です。つまりストレートに言うと「巻きグソ」「巻き糞」なのですが、私の部屋も同然の連載にこういった言葉をあまり配置したくないため、便宜上「お巻きになられた大きい方」と呼びます。
「お巻きになられた大きい方」の起源についてですが、版画家ベルナール・ピカール(仏)の「調香師」という作品に描かれたのが確認できる最初であるという定説があります。
今回は主に1980年代にキャラクター化された「お巻きになられた大きい方」=ウンチくんの誕生を少しだけ見てみましょう。
■ 漫画の中のウンチ
漫画の中の「お巻きになられた大きい方」と聞いて皆さんが思い出されるのは鳥山明『Dr.スランプ』で描かれるウンチでしょう。まさにウンチのキャラクターの発祥は『Dr.スランプ』のようです。
↑『Dr.スランプ』コミックス第1巻の表紙。集英社の週刊少年ジャンプで1980年から連載され、『Dr.スランプアラレちゃん』というタイトルでアニメ化もされた。
漫画における「お巻きになられた大きい方」の登場は1970年代のとりいかずよし『トイレット博士』と言われており、後に楳図かずお『まことちゃん』でも「お巻きになられた大きい方」が印象的でした。その後『Dr.スランプ』では「お巻きになられた大きい方」が頻出しました。
( ©1980年 集英社)
↑コミックス第3巻155ページより。棒でつついたり、棒に刺したりするのが特徴的。このコマで初めて擬人化がなされたと思われる。
↑ちなみにこのコマのウンチは塩ビ人形になっている。
そして、何度も「お巻きになられた大きい方」が登場した挙句、手足だけでなく顔が描かれるようになり、アニメではカラーゆえの配慮からかピンク色で表現されました。この発明によってライトな表現となり、現在もリバイバルでピンクのウンチくんの商品が売られているほどです。
( ©1981年 集英社)
↑コミックス第5巻 28ページより。ウンチに初めて顔が描かれたと思われるコマ。
↑最近購入したピンクのウンチ君のTシャツ。『Dr.スランプ アラレちゃん』とファッションセンターしまむらのコラボ商品。
ついでに1980年のお下品漫画として忘れてはならないのが1981年から始まった小学館コロコロコミックスの立石佳太『超人キンタマン』です。こちらも『Dr.スランプ』の影響を受けてか「お巻きになられた大きい方」が頻出しました。
↑コミックス第5巻の表紙。バカラス、お面ライダーマン、ヒヨコ、ヨーガスといった登場人物が描かれている。
( ©1984年 小学館)
↑コミックス第5巻118ページより。