かわいすぎ閲覧注意…「ファンシー絵みやげ」で振り返るメルヘンしおりイラストしおり(2/3)

2017/10/13 12:00 山下メロ 山下メロ


慌てて声をかけ、話を聞くと、本当に作者の大門多美先生の娘さんとのこと。
たまたま江の島に調査に行った日、同じ時間に、偶然出会えるとは……。



思わず娘さんと記念に写真を撮ってしまいました。

なかなか実際にイラストを描いていた人と繋がることはありません。ファンシー絵みやげにおいては作者名が書かれることはほとんどないため、まず起こり得ないのです。

しかし、このようなメルヘンしおり・イラストしおりには、作者名の表記やサインが書かれていることのほうが多いのです。


↑イラスト&ポエム☆大門多美 企画☆アトリエふうらい房 発行☆(株)風光社 と、しっかりと出自が明かされている。当時の観光地みやげにおいては珍しい。

■ ファンシー絵みやげとメルヘンしおり・イラストしおり

「メルヘンしおり」というワードが一般的になっていますが、実際に商品に描かれているもので商品を表したものには「イラストしおり」という言葉があります。



もともとはその観光地のいくつか景勝地や祭りなどの写真のしおりや、写真絵はがきをセットにした商品が土産店で定番でした、それを女子向けのイラストに変更したので「イラストしおり」や「イラスト絵はがき」などと呼んでいるのです。

ただし中でも渋めのイラストや時代がかったイラストと、牧歌的なメルヘンタッチのものを区別するために「メルヘンしおり」という呼ばれ方もします。

では、少しメルヘンやファンシーから離れた商品を見てみましょう。


↑各地の民間伝承や昔話をまとめた本というのも定番のおみやげ商品。これは少し昔話風タッチのイラストで、各しおりの表にイラスト、裏にはその話がビッシリ書かれている。おなじフォーマットで全国で売られていたらしい。


↑こちらも昔話だが、さらに少しファンシー寄りのイラストと色使いになっている。同じく裏には昔話が小さい文字で書かれている。


↑民俗学者・柳田國男の『遠野物語』で有名な岩手県遠野の民間伝承がまとめられたしおりセット。


↑こちらはイラスト絵はがきとしおり両方のセット。イラストを見ると、妙に洗練されているが時代がかっている。


↑中を見ると、このように絵はがきとしおりが別々に入るようになっている。イラストは たかみざわたかこさん。企画・制作は「旅するとき…」と同じく株式会社風光社である。


↑たかみざわたかこさんの名前をこちらでも見つけた。企画・制作は風光社。鎌倉と同じフォーマットで作られている。


↑このように牧歌的なイラストも描けるとは、たかみざわたかこ先生は器用である。やはり鎌倉は土地に合わせて時代がかったイラストを描いていたのだ。

では、ファンシー絵みやげのいちジャンルともいえるメルヘンタッチのイラストしおり、「メルヘン絵しおり」と呼べるものを見てみましょう。


↑こちらは作者不詳のメルヘン絵しおりセット「花ことば」。花言葉にちなんだポエムが手書きで書かれている。


↑高徳瑞女先生のメルヘン絵しおりセット「夢物語」。特に観光地関係なく、むしろどの観光地でも売れるようなしおりまで作られた。mizume、みず、みずめ などいくつかのサインが書かれていることが多い。


↑高徳瑞女先生のメルヘン絵しおり「ふじの小さな思い出」。こちらは富士山周辺で売られるもの。こちらには重要な情報がある。


↑なんとバーコードが印刷されている。シールではなくイラストの一部に白枠を作ってである。観光みやげにバーコードが導入されるのはかなり後のことであると推測され、まだバーコードの使い方に慣れていない感じがするものの、同じフォーマットで後から再生産されたことがうかがえる。発行は(株)ワタナベ。


↑青山みるく先生のメルヘン絵しおり「雨の童話」。

    次へ

  1. 1
  2. 2
  3. 3