2PM、SHINee、CNBLUE…音楽CDの「クレジット」をマニアックに読み解いてみる

2017/3/23 11:00 西門香央里 西門香央里



皆さんは買ったCDのクレジットって隅々まで見たりしますか?筆者は昔はそのクレジットを見るのが大好きでした。そこにはそのアルバムに秘めたアーティストの音楽のルーツが見え隠れしたからです。残念ながら、最近はあまりチェックしなくなっていました。

先日発売された月刊MdN 2017年4月号では、「作品のスタッフ・クレジットから読み解けるもの」という、音楽、映画、雑誌、舞台、アニメなどの様々なジャンルのスタッフ・クレジットに関する特集が組まれました。

実は、この号の特集を少しお手伝いをさせていただいたのですが、読みながら昔よくクレジットをチェックしていたことを懐かしく思い返していたのですが、「そういえばK-POPにおけるクレジットってどんな感じなんだろう?」と、ふと思ったのです。

今回は、この「MdN」を参考にしながら、K-POPのアーティストたちの「クレジット」を読み解いてしてみたいと思います。マニアックですが、アルバムのクレジットから好きなアーティストのことをもっと深く知れるかもしれませんよ。


■「スタッフ・クレジット」とは?

まずは、簡単に「スタッフ・クレジット」について説明したいと思います。

各CDのスリーブを開いてもらうと、多くは最後のページの方に名前などがまとめて書かれたリストがあります。このリストは「このCDに関わった人たち」の名前などで、これを「スタッフ・クレジット」と言います。「スタッフ・クレジット」とは簡単に言うと、「作品に関わった人々のリスト」のことになり、ここを見ることでどんな人たちがこの作品を作ってきたのかがわかるのです。

雑誌MdNの中で「好きな曲があったとき、その理由はメロディーや詞だけではない」と音楽ディレクターの竹内修氏が語っていますが、クレジットでどんな人が関わっているかを見ると、ちょっとした傾向が見えてきたりして、自分がなぜその音楽が好きなのかをさらに知ることができるということなのだと思います。


■アルバムに関わってきた人たちを見る

パフォーマンスをするアーティストはもちろん、CD制作には多くの人が関わっています。クレジットに書かれている各項目の詳細は発売中の「月刊MdN 2017年4月号」を見ていただくとして、ここでは音楽CDのクレジットによく使われる項目の簡単な説明のみいたします。ただし、アーティストによって表記の仕方は少し変わってくることはありますので参考までにお読みください。

・プロデュースド・バイ(Produced by)

プロデューサーとはアルバムの制作責任者のことになります。 つまり、アルバム全体をどう作るのかを決めるのが、この「プロデュースド・バイ」に書かれた人ということになります。

・サウンド・プロデュースド・バイ(Sound produced by)

これは名前の通り、音周りの責任者ということ。楽曲の音つくりを決めるのがこの「サウンド・プロデュースド・バイ」です。他にも「トラック・プロデュースド・バイ」などありますが、これは楽曲に対する責任者ということになると思います。

・マスタード・バイ(Masterd by)

ここにクレジットされるのはマスタリングエンジニアになります。マスタリングは出来上がった曲データをCDに落とし込むための最終工程になり、様々な場所や形で録音された楽曲たちの聴感を、綺麗にまとめるという作業になります。とても重要なポジションです。

・ミックスド・バイ(Mixed by)

ミキシングエンジニアの名前がクレジットされているのがこちら。ミックスは、各トラックで録られたものをステレオに落とし込む作業。各トラックの音の大きさのバランスやや、左右のパンニング、エフェクトなどを使って音の質感などを作っていきます。

・リリクス・バイ(Lyrics by)/コンポーズド・バイ(Composed by)

作詞作曲をした人たちのクレジットです。皆さんが一番よく見る場所はこの部分なのではないでしょうか?最近は幾つかの曲を組み合わせて作るため、共作者が多くクレジットがとても長くなっていることも。クレジット表記は「Music by」になっていることもあります。

・アレンジド・バイ

楽曲の主旋律(メロディー)以外の部分の編集をする編曲者がここにクレジットされます。同じ曲でもアレンジする人がが変わればガラリと雰囲気も変わります。そういう意味では、編曲者は楽曲に音というスタイリングをする人といった感じでしょうか。

・アートディレクション&デザイン

CDパッケージのデザインを担当している人のこと。いわば、「CDの顔」となる部分を担うので、とても重要な部分でもあります。アートディレクターがジャケットデザインの全体を決めるので、気になるデザインのCDはこの部分をチェックするといいでしょう。


■クレジットの表記方法も様々



このクレジットの表記場所も様々で、最後にまとめて書いてある場合もあったりすれば、曲ごとに書いてある場合もあります。最近の傾向は、曲ごとにプロデューサーが違ったり、ミックスエンジニアが違ったりするので、曲それぞれのクレジットをまとめたページと、CD全体で関わっている人のクレジットが別ページに書かれていることが多いようです。

ここもアーティストによって様々で、どのようにアルバムを作っているのかがわかる部分なので、注目です。


■今回の題材たち

クレジットをチェックするのは「日本オリジナルアルバム」に限定してみました。題材は、SHINee「FIVE」2PM「GALAXY OF 2PM」CNBLUE「EUPHORIA」の3つ。

前者2つはいわゆるアイドルグループですが、CNBLUEはバンドなので、どのようなクレジットになっているのかに注目したいところです。

コラムの中ではアルバムの中から1曲だけピックアップしてそのクレジットをチェックしていますが、クレジットを全てピックアップするのはキリがないので、一部を取り上げています。では、早速見ていきましょう!


■SHINee「FIVE」

FIVE(通常盤)

5人組グループSHINeeの、日本デビュー5年目にして、5枚目のアルバム「FIVE」。まずクレジットを見ると圧倒されるのが、1曲に関わっている名前の数!ずらずら〜と並んでいます。特に、韓国での曲である「1 of 1」のクレジットは長すぎるくらい…。彼らの楽曲で特徴的なのは、「作曲家」の名前が多いこと。様々な作曲家の曲を組み合わせて1曲にしているものが多いからでしょうか。

「FIVE」のアルバムの全体のプロデュースは「Nozomu Tsuchiya」、マスタリングは、MdNのインタビューの中にも出てくる有名なマスタリングエンジニアである「Tom Coyne at Sterling Sound, NYC」が手がけています。

読み解くのはリードトラックの「GET THE TREASURE」



まず、作詞は「Natsumi Kobayashi, Jeff Miyahara」という2人。作曲は「Ilanguaq Lumholt, KAIROS, DARREN SMITH, MARCUS WINTER-JOHN」で、ギター演奏は「Evan Haymond」、ミックスは「Jon Rezin」です。「Jon Rezin」氏は、SMアーティストを多く手がけているミックスエンジニア。

トラックプロデュースを「KAIROS, DARREN"BABY  DEE BEATS" SMITH」が行っています。つまり、作曲陣の中の一部がこの曲のプロデュースを行っているということですね。「DARREN SMITH」氏は、少女時代の「LION HEART」にも名を連ねています。

作詞家に名を連ねている「Jeff Miyahara」氏は西野カナや、JUJU、BoAなどの数多くの有名アーティストのプロデュースなどを行ってきた方。このアルバムでは他にボーカルプロデュースと、クリエイティブスーパーバイザーにも名前があり、SHINeeの音作りには深く関わっているようです。


■2PM「GALAXY OF 2PM」

GALAXY OF 2PM

「GALAXY OF 2PM」2PMの日本活動休止前の最後のアルバム。こちらも曲ごとのクレジットがあります。プロデューサーには所属事務所の社長である「J.Y Park "The Asiansoul"(パク・チニョン)」の名前があります。 マスタリングエンジニアが曲ごとに異なっていて、3人ほど関わっています。前述した通り、アルバム通してマスタリングエンジニアは1人ということが多い中で、珍しいことかもしれません。

このアルバムにはメンバーが作曲作詞した曲が多く入っていますが、共作者やアレンジャーには、それぞれのメンバーの気の知れた方々が集まっているようです。例えば、JUN. Kが作曲をした曲には「LEL」氏が多く関わっており、彼はJUN. Kが信頼するプロデューサー仲間の一人でもあります。作曲陣は3曲目の「Party Monster」以外は、メインの作曲家+1〜2名程度。

ここで取り上げるのは「一緒に過ごした時間」



この曲は、メンバーであるジュノが作詞作曲しています。そのため、作詞「Lee Junho, Hong Jisang, Natsumi Watanabe」、作曲「Lee Junho, Hong Jisang」にになっています。「Lee Junho」はジュノのことです。

アレンジは「Hong Jisang」。この方は他にも「Session all instruments by」と「Computer programming by」にも名を連ねていて、ギター、ベース、キーボードをこの「Hong Jisang」氏が演奏をしています。他のジュノの楽曲にも名前があるので、ジュノにとっては信頼の置ける存在なのでしょう。

ミックスは「Lee Taesub at JYP Studios」、マスタリングは「Choi Hyoyoung at SUOMO Matering」。最後に「Published by JYP Publishing」とありますが、これは出版権がJYPであることを意味しています。他の曲には他の会社や作曲家が出版権を持っていたりします。


■CNBLUE「EUPHORIA」

EUPHORIA<通常盤>

日本デビューから5周年を迎えた4ピースバンド、CNBLUEが発売した「EUPHORIA」。当たり前ですがアルバム内の演奏は全て彼らがこなしています。こちらも前者2グループと同様、曲ごとのクレジットになっています。プロデュースは「HANG SUN HO(FNC ENTERTAINMENT)」で、所属事務所FNCの代表ハン・ソンホ氏になります。マスタリングは「Hidekazu Sakai(Sony Music Studios Tokyo」です。

曲ごとのクレジットは、SHINeeや2PMよりも短いので、1ページのみ。全曲がCNBLUEのメンバーによる作詞作曲で、一部共作者がいるという感じです。他のクレジットは、アレンジ、ミックス、レコーディング、ボーカルレコーディング、バックグラウンドボーカルくらいなもので、非常にシンプル。

ここではアルバムのリードトラック「Glory Days」を取り上げます。



この曲はボーカル&ギター担当の、ヨンファが作詞作曲を担当。クレジットには作曲は「JUNG YONG HWA, Erik Lidbom, Youwich」となっていますが、この共作者は「Youwichi」氏という嵐やHey! Say! JUMPなどの楽曲の作曲などを手がける日本人の作曲家・編曲家です。この曲では編曲もしています。

レコーディングとミックスは「Yoshinori Adachi(MIXER'S LAB)」。MdNには書いてありますが、レコーディングとミックスは同じ人が行うことが多いそうで、この曲はそのタイプだったようです。

このクレジットを見ていて面白いと思ったのが、CNBLUEのクレジットには全曲に「Vocal Recorded by」という項目があること。ボーカルだけ別に録っているということなのでしょうか。ここに強いこだわりを感じました。


■マニアックな目線の先にある新しい発見

クレジット一つでアーティストの様々な姿が見えてくるものです。「自分の好きな曲にはいつも同じ人が関わってた!」とか知ることもあるかもしれませんね。冒頭にも書きましたが、「この曲が好きな理由はメロディーや詞だけではない」ということを、クレジットを眺めたら発見できるかもしれません。

とってもマニアックかもしれませんが、皆さんもこれを機会に、自分の好きなアーティストたちのクレジットを眺めてみてください。好きなアーティスト、そして曲の深さをもっと知ることができるかもしれませんよ?

それでは、また!アンニョ〜ン♪


参照:月刊MdN 2017年4月号

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(西門香央里)