「みなさんの前で歌うことができて幸せ」…Jun. K、3度目のソロツアー武道館公演レポート!

2016/12/29 19:45 西門香央里 西門香央里


JUN. Kさん(@jun2dakay)が投稿した写真 -



2016年12月22日。この日、10月に日本活動を一旦休止した2PMのリードシンガーJun. Kのコンサートが日本武道館行われました。12月にしては暖かかった東京。平日にもかかわらず、多くのファンたちが日本武道館に集まっていました。

今までも何度となくこのコラムでも書いてきた、K-POPアイドル、アーティストたちの「兵役」。現在も多くの人気グループのメンバーたちが兵役で約2年間の「活動休止中」。韓国のアイドルや俳優などのファンをやっている限り、切り離すことのできない事情です。

12月14日に日本での3枚目のソロアルバム「NO SHADOW」を発売したJun. Kも、来年から兵役の予定で、このツアーは日本における彼のソロ活動の一旦の「区切り」となるツアーになりました。Jun. Kのファンでもある筆者は、「今回は見逃すまい」と、今回のツアーは初日の豊洲PIT、そして名古屋ZEPPとコンサートを見てきましたが、このツアーファイナルの「武道館」が来るのが待ち遠しいような、そして来てほしくないような気持ちで迎えていました。

今回は、そのJun. Kの日本活動一旦最後のツアーファイナルの武道館のレポートをお送りしたいと思います。


■駆け抜けてきた約1ヶ月間のツアー

11月8日の豊洲PITより始まった、3回目のJun. Kのソロツアー「NO SHADOW」。今回は1000人から3000人のキャパのホールやライブハウスでの開催が中心となり、約9000人のキャパの幕張メッセイベントホールなどを回ってきた前回までより、こじんまりとした規模でのツアーでした。

ツアー本編ではその会場の小ささもあり、派手な演出などを省いて、いい意味でシンプルにアットホームなステージに仕上がりに。何よりも、大きな会場でしか見れなかった2PMのJun. Kを近くで感じられるという、ファンにとっては嬉しいツアーでした。そして、Jun. Kの歌の力を感じられる一番いい距離感だったのではないでしょうか

追加として開催された武道館公演は、そのツアーファイナル。約1ヶ月間駆け抜けて来たツアーの集大成です。そして、前述した通り、Jun. Kにとっては来年からの2年間の兵役前の最後の日本活動…という、大事な節目となるコンサートとなったのです。そういう意味で、彼にとってもファンにとっても、この武道館公演は「特別」な日…。

不思議な緊張感が漂う中、18時半、ほぼ定刻で客電が消され、彼のカラー「ピンク」のペンライトで埋めつくされた武道館の会場は一気に盛り上がっていきます。


■武道館に広がるアーティストJun. Kの世界

オープニングの映像が流れ始め、しばらくするとステージ中央の巨大LEDの画面の中央が開き、中から人物のシルエットが。そして「I think about you, Do you think about me?」とアカペラで歌い上げるJun. K。韓国でのソロデビューアルバムのタイトル曲だった「THINK ABOUT YOU -Japanese ver.-」でコンサートが始まりました。

Jun. Kが好きだというベルギーの画家ルネ・マグリットの作品を曲に合わせて編集した映像を背後のLEDで流し、独特な世界観を漂わせます。

JUN. Kさん(@jun2dakay)が投稿した動画 -



ファンたちを一気に「Jun. Kワールド」へ誘った後は、HIPHOP曲の「Alive」。さっきまでの切ない「THINK ABOUT YOU」とは打って変わり、お得意のリリックビデオと、照明、レーザーを駆使し、武道館をクラブへと変えていきます。

Jun. Kの世界の面白さは「歌もの」だけにとどまらないところ。R&Bやバラードで思い切り歌で聴かせるかと思えば、ラップで会場を盛り上げる。彼の作る音楽には様々な要素があり、それが化学変化を起こし、「Jun. K」というアーティストの世界を作り上げてるのです。歌がうまいだけじゃない、だから面白い!

「TRUE SWAG」が終わったあと、クラブの雰囲気もホッと一息。「今日はDVD撮影日ですよ。みなさんお化粧直しは大丈夫ですか?」などと、流暢な日本語のMCでファンを和ませ笑わせるところは、さすが2PMで長いこと日本活動してきた余裕を感じさせます。

前作の「Love Letter」をリアレンジして生バンドと共に披露。そして、続く「Better Man」ではファンに歌わせるというシーンもあり、会場との一体感は盛り上がりを見せていきました。


■マニアックさと大衆性が融合した唯一無二の音楽

発売されたばかりのニューアルバムのタイトル曲「NO SHADOW」のMVが流れ、ここからは3枚目のアルバム「NO SHADOW」を中心としたセットに。別れた女性を「影」にたとえ、常に一緒にいた影がなくなった悲しさや寂しさを表現した「NO SHADOW」を切なさいっぱいに歌い上げます。



「LOST BOY ~道をなくした少年~」、「PHONE CALL」とアルバム収録曲を立て続けに披露。しっとりと大人っぽい楽曲たちは、前作「Love Letter」の軽やかなPOPさとはまた違うジャンルの曲。しかし、どこをとっても彼が作り歌えばJun. Kだと感じさせる曲でもあります。

今回のアルバム「NO SHADOW」では「大衆性よりも自分のやりたかった音楽を表現をしたかった」とJun. Kが繰り返し語っています。自由に表現したという収録曲は、どれも大衆性のあるものではないかもしれませんが、だからと言って全くゼロというわけではなく、それはJun. Kというアーティストが持つPOP性がそこににじみ出て、うまく作用しているからではないかと、筆者は思うのです。そのマニアックさと大衆性を持つからこそ、唯一無二のJun. Kの音楽になるのです。


■誰もが息を飲んだ「Higher」の絶唱

短いVCRの後は「Mr. NO ❤︎-Japanese ver.-」でコンサートは再開。ドラムから始まり、ベース、ギター、キーボードと音が重なっていく…グルーブ感とジャム感満載のジャジーな世界を持つこの曲は、生バンドだからこそ聞きたい曲の一つ。一気にジャジーな世界へと誘いこんでくれました。

「Mr. NO ❤︎」の後、一旦ステージが暗転。そして壮大な雰囲気の伴奏が始まり、武道館に響き渡るJun. Kの声。始まったのは2PMの楽曲「Higher」。J-POPらしさの強い原曲の面影を残しながらも、全く違うアレンジで展開されていく新しい「Higher」は、2PMではなく、確実にJun. Kのものに。

Jun. Kのその歌に引き込まれ、その圧倒的な力に気がついたら微動だにせず、ぎゅっと自分の腕を掴んで、聞き入っていました。それはまさに「絶唱」。曲が終わったあと、一瞬シーンっとなったあと、割れんばかりの拍手と歓声が会場を包みました。この時、武道館にいた誰もが、Jun. Kの歌に「やられてた」のではないでしょうか。


■武道館14000人で圧巻の「マネキンチャレンジ」!

4択(「Walking On The Moon」、「ミダレテミナ」、「Falling Love」、「My House」)からファンにやってほしい楽曲を選ばせるコーナでは、ほとんどのファンが「全部!」と要望したにもかかわらず(笑)「My House」を披露。今までは1曲のみの披露でしたが、最終日ということで特別にギタリストの方との共演でかっこいい「ミダレテミナ」を演奏。会場はますます熱くなっていきます。

「本当はもう言いたくないけど…」とコンサートの最後のコーナーであることを告げると、会場からは「ええ〜〜〜!」というブーイング。「でも、曲はまだいっぱいありますから」と切り返すあたり、さすがです。

そして、本編最後の「EVEREST」では、今世界的に流行っている「マネキンチャレンジ」をすることに!実は武道館公演1日目でも行い成功させていましたが、今回はDVD撮影の日。本格的なカメラを使って「いつもより長くなりますけど」とマネキンチャレンジをすることに。

何回かの練習の後、Jun. Kの指示通り武道館に集まった約14,000人が微動だにせずマネキンに!当たり前ですが、撮影しているカメラマン以外はこのパフォーマンスのために出てきたバンドもダンサーさんも、全員ストップです…。長い長い〜時間ストップを続け(1〜2分くらいあったような)、Jun. Kの曲の再開の合図とともに、会場が動き出し、そして銀テープが飛ぶ!という素晴らしい演出で、「EVEREST」は終了。そして、コンサート本編も終了しました。

JUN. Kさん(@jun2dakay)が投稿した動画 -



■最後は泣かずに笑顔で「約束〜!」

Jun. Kコールが暖かく響く中、彼のテーマ曲でもある「NO LOVE」でアンコールが幕開け。「Something, Something I gotta say…」とイントロが鳴り響くと、Jun. Kの歌の世界がまた広がっていきます。大切な女性を失った悲しみを歌った「NO LOVE」は、コンサートでは一番歌ってほしい彼の音楽の真骨頂と言える曲。気がつくと…自分の目から涙が流れていました。

圧倒的な「NO LOVE」の後、2PMの公式が用意したサプライズが。次の曲に行こうとしたJun. Kの前に、2PMの「離れていても」が流れ出し、LEDの大画面には今までの日本でのソロ活動の様子のダイジェスト。そして、目の前にはファンからの「いつまでも待ってるよ」のボードと、「離れていても」の大合唱。Jun. Kはその様子を感慨深く見守っていました。

曲が終わり、紙を上げるファンたちに「ずっと待っているよ」と優しく語りかけ、「今日は泣きません。笑顔で。スマイル!スマイル!」とファンに笑顔で伝えるJun. K。

「10年前、20年前は、僕は何千人もの前で歌が歌えるとは思っていませんでした。」と気持ちを吐露。子供の頃、苦労していたという話、夢を叶えて欲しいと満月に願っていたという話、その夢を叶えてくれたことを満月に御礼をしているという話…。

「今、この武道館という場所で、皆さんの前で歌うことができて幸せです」

と、語ったJun. Kの顔には、本当に幸せそうな充実した笑顔で溢れていました。

「しばらく皆さんの前には現れませんが、2PMとしてJun. Kとしてカッコよくなって帰ってきます。僕には最後という言葉はないです。絶対にないです。死ぬまで。」

そして、最後にJun. Kからの約束

「みなさん、待っててくれますよね?やくそ〜?」

「くーーーーー!」

とファンの答えに「ありがとうございます」と満面の笑顔で答えてくれました。その笑顔に悲しみに溢れていたファンたちも、笑顔になれた気がします。Jun. Kの言った通り、最後は「笑顔」で、ファンたち見送ることができたのではないでしょうか。

名残惜しそうにファンの姿を見ながらJun. Kは最後の最後に「I'll be back〜」と親指を立て腕を高く上げてステージを去りました


■呼吸をするように歌い奏でるアーティスト「Jun. K」

今まで、何回かJun. Kのコンサートで見てきました。彼は2PMというアイドルグループのメンバーではありますが、素晴らしい音楽を作り奏でる「アーティスト」であると、常々思います。「アイドル」という「肩書き」は時折邪魔になっているのではないかと。その先入観を外してフラットにして見て欲しい、聞いて欲しい。そう自信を持ってすすめられる「アーティスト」の一人なのです。

Jun. Kの音楽は、生で見てもらうのが一番魅力を感じられます。生で聴く彼の声と歌は、CDでは伝わらないものがあるからです。音楽に対する思いや、エナジー。そう言ったものがライブからはダイレクトに伝わってくるからです。そこにあるのは「自分は音楽をやるために生きている」という、信念。音楽がなくなったら死んでしまいそうなほど、「音楽と共に生きてる人」だなと、筆者は感じるのです。

「音楽をずっとやりたかった」という小さい頃からの切実な夢を叶え、そして、その夢に今も全力をかけてるからこそ、彼の歌にはパワーがあるのかもしれません。

呼吸をするように歌い、音楽を奏でる。

Jun. Kという人は、そんな「音楽人」なのだと。

約2年の間、日本でJun. Kの生の歌や音楽を聴くことはできなくなりますが、来年1月には彼にとっては念願の韓国でのソロコンサートが決まりました。1月15日というJun. Kの誕生日に行われるコンサートは、彼にとってもファンにとっても大切な時間となることでしょう。

戻ってくるまで、ずっと待っていますよ。たくさんの音楽を携えて、新たなJun. Kワールドを見せてくれる日を待っています。

それでは、また!アンニョ~ン♪


■セットリスト

1. THINK ABOUT YOU -Japanese ver.-
2. Alive
3. TRUE SWAG
-MC-
4. Love Letter
5. Better Man
-VCR-
6. NO SHADOW
7. LOST BOY ~道をなくした少年~
8. PHONE CALL
-MC-
9. YOUNG FOREVER -Japanese ver.-
10. Good Morning
-MC-
11. MARY POPPINS
-VCR_
12. Mr. NO ❤︎-Japanese ver.-
13. HIGHER
-MC-
14.My House -Japanese ver.-
15. ミダレテミナ
16. 50 50 (Album ver.)
17. EVEREST

<アンコール>
1. NO LOVE
-VCR-
2. LOVE & HATE Remix

■関連記事
「言葉はいらない…I'll Be Back!」2PM、活動休止前最後の東京ドーム公演レポート
「行ってきます」…2PM「涙のツアーファイナル」そして東京ドームへの思い

■西門香央里コラムのバックナンバーはこちらから


(西門香央里)