安室奈美恵、華原朋美、KABA.ちゃんも…「TK Presents こねっと」結成20年を祝おう
ロクヨン!ロクヨン!イチニッパー!
中居くん、元気かな。
こんばんは、バブル時代研究家のDJGBです。
スマホ世代には信じられないでしょうが、今から20年前、インターネットに接続できる人は、まだまだ限られていました。内閣府の調査によれば、日本でパソコン所有率が50%を超えたのは2000年のこと(単身世帯を含む)。
今日は20年前にさかのぼり、日本のインターネット黎明期を象徴するプロジェクトと、そのテーマソングをふりかえります。
■L.A.からTKがISDNで届けた「YOU ARE THE ONE」
今から約20年前の1996年11月27日、東京・大手町と、全国の小中高校1000校、そして米国ロサンゼルス(L.A.)がテレビ会議システムでつながれ、とあるプロジェクトがキックオフされました。
L.A.から参加したのは、時代をときめく音楽プロデューサー、TKこと小室哲哉。彼はこの場でインターネットを通じ、制作中だった新曲をお披露目します。その曲こそ、のちにTK Presents こねっと 名義で発売されたチャリティーシングル「YOU ARE THE ONE」でした。
TKの公式サイト「Planet TK(現在は移転し、トップページのみ)」に掲載されたイベントレポートによれば、この日のテレビ会議には全国から約5万人の児童生徒が参加。TKは「インターネットと音楽」をテーマに講演したあと、制作中だった新曲をサプライズで披露します。
テーマソング『YOU ARE THE ONE』は、各アーティストがスタンバイしている東京のスタジオに、L.A.で作った音をISDN経由で転送し、東京サイドではアーティストが唄入れしたデータをその場でL.A.に転送するという、ネットワークを活用した双方向制作が、現在進行中です。(引用元: Internet Archive )
今読むとスゴさがまったく伝わりませんが、当時はiPhoneはおろか、iPodさえ存在しない時代(ちなみにスティーブ・ジョブズがアップルに復帰するのはこの半年後だから、iMacすら存在しません)。「音楽をデータでやりとりする」こと自体が、きわめて未来的なことでした。
■安室ちゃん、朋ちゃん、KEIKO…小室ファミリー勢ぞろい!
TKの呼びかけに賛同し、“小室ファミリー”を中心としたアーティスト17組24名が「YOU ARE THE ONE」のレコーディングに参加しました。それではTK Presentsこねっとの皆さんを、当時のCDジャケットとともにご紹介してゆきます。
●内田有紀
●hitomi
●甲斐よしひろ
●宇都宮隆
●dos(taeko、asami、kaba)
●浜田雅功
●大賀埜々
●TRF(YUKI、SAM、ETSU、CHIHARU、DJ KOO)
●木根尚登
●m.c.A・T
●天方直実
●安室奈美恵
●華原朋美
●globe(KEIKO、マーク・パンサー、小室哲哉)
●観月ありさ
●久保こーじ(CDジャケットなし)
ううーん、華原朋美とKEIKOだけでなく、dosのasamiもいるのか…こりゃ再結成はむずかしいですね…。
CDに参加したのは以上のメンバーですが、特番やライブなどでは鈴木あみ、未来玲可、tohkoといったTKとゆかりの深いアーティストが参加し、セッションを繰り広げることもありました。
余談ですが、一般的にTK Presents こねっととして知られるこのユニット、実はCDにはTK Presentsとしかクレジットされてまいせん。いろんなオトナの事情があったんでしょうか…。
■全国の学校にパソコンとネット環境を整備した「こねっと・プラン」
豪華アーティストが参加した「YOU ARE THE ONE」は、お披露目から1か月後の1997年1月1日に発売され、累計122.5万枚という大ヒットを記録しています。
が、この「YOU ARE THE ONE」、いったい何のためのチャリティーだったのでしょうか。
「YOU ARE THE ONE」のCDによる収益は全額、全国の小中高校1000校にインターネットの利用環境を整備するプロジェクト「こねっと・プラン」へと寄付されました。
「こねっと・プラン」の発足は1996年5月1日。文部省(当時)の協力のもと、21世紀を担う子どもたちの育成を目指し、「教育でのマルチメディア環境の整備と活用を推進するプロジェクト」(当時の報道資料より)として、NTTが主導する形でスタートします。7月には趣旨に賛同した民間企業・個人などによる「こねっと・プラン推進協議会」が設立され、その活動は全国規模に広がりました。
「こねっと・プラン」の主な活動内容は以下の3点でした。
1.学校がインターネットに接続、利用する際のコンサルティング
2.インターネット接続環境づくりの支援として一校あたり30万円相当の寄付
3.インターネットを快適に利用するためのコンテンツ等の提供
当時のウェブサイトが、Internet Archiveに残っていました。フレームで区切る感じが懐かしいですね。
(出典: Internet Archive )
なにを隠そう、「いまトピ」を運営しているgooもNTTグループの一員として「こねっとgoo」を提供するなど、プロジェクトに重要な役割を果たしています(現在はキッズgooに移行)。
小室哲哉もこのプロジェクトに個人として賛同、「YOU ARE THE ONE」が誕生しました。こねっと・プラン推進協議会は当時、うれしさのあまりプレスリリースまで配信しています。
■「こねっと」世代たちは今、、、
「こねっと・プラン」はその後、支援対象を全国の小中高校に広げ、2001年に終了しています。あくまでもDJGB流の理解でざっくりいうと、
無料でけっこうですから、学校にISDN回線を引かせてください、2年分ぐらいの通信費も現金で寄付しますし、ソフトとかコンテンツも賛同企業から提供してもらいます。みんなどんどんパソコンとインターネット使ってね。
という趣旨のプロジェクトだったようです。
「YOU ARE THE ONE」による具体的な寄付金額は明らかにされていませんが、仮にCD1枚当たり10円としても1220万円。1校あたり30万円相当の寄付ですから、約40校分のIT化に貢献したことになります。
1996年に小中高生だった子どもたちは、現在30代半ば。「こねっと・プラン」の理念に基づけば、いまごろ21世紀を担うマルチメディア人材として活躍中のハズです。みなさんの周りに20年前、Windows 95の小さな画面で、ISDN回線を通じて、L.A.から制作中の「YOU ARE THE ONE」を聴いた人、いませんか? そしてその経験、今、役に立っていますか?
今日はこの曲とともにお別れです。
●「YOU ARE THE ONE」 TK Presentsこねっと
(バブル時代研究家DJGB)