もしも働くOLが駆け込んだマッサージ店が本当は「オトナのサービス」を受けるお店だったら。

2016/9/29 17:00 隅田川やすこ 隅田川やすこ




こんにちは。働くOLです。

都内で事務作業を主とした業務をしている私は、気付けば疲れています。丸まった背中に、動くことを忘れた肩甲骨。

「マッサージがしたい」

凝り固まったいろいろをほぐしに、街をさまようことはしばしば。

某日。例のごとく疲労でガチガチになった身体はその緊張をマックスに迎え、吐き気や頭痛を弊害させていました。アジア一の歓楽街新宿、数多あるマッサージ屋さんの中で今回たどりついたのがこの「Nマッサージ」(仮名)。

場所は新宿区百人町。外観は一言で言うと「親戚んち」。団塊世代がン十年ローンを組んで建てたかのようなレトロで閑静な一軒家の入口には控えめな看板。そして玄関から漏れる光はなぜか淡いピンク。(加藤茶が「ちょっとだけヨ」ってやる時の照明の色に似ていたから、その色を「ドリフピンク」とする)

看板にはこう書かれている。

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Nマッサージ
指圧・マッサージ/50分
身体に負担のない丁寧な指圧です。女性の方も安心してご来店ください。


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扉をあけると待ち構えていたようにむっくりとした白衣姿の男性が仁王立ち。

「いらっしゃいませ」
「あの、マッサージお願いしたいのですが…」
「どうぞ、お2階へ」

薄暗い、というか、ほぼ電気のついていない1階。保健室のカーテンのようなもので仕切られた先にちらりと見えるベッドが気になりながらも何となく凝視しないようにそのまま2階へ。階段はもちろん急傾斜。

なんだろこの感じ。

ここから私はさまざまな情報によってこのお店が「オトナのお店」なのか「普通のマッサージ屋さん」なのかをジャッジしていくこととなる。

ここまでを整理しよう。

・新宿区百人町という立地=  オトナのお店度2:フツウのマッサージ屋度3
・外観= オトナ1:フツウ3 (やはり店先のドリフピンクが気になる)
・店名= オトナ0:フツウ3  (gooで調べた店名に、オトナの片鱗は全くなかったのである)
・内装= オトナ3:フツウ1


と、ここまででオトナのお店的要素6点vs普通のマッサージ屋の要素10点と、概ね、概ね普通のマッサージ店だろうと自分に言い聞かせることができていた。

が、

「こちらで着替えてお待ちください」

通された2階には、8畳ほどの一部屋の真ん中に万年床のように蒲団が1枚敷いてあるのみ。思わずちょっと、言葉を飲んでしまう。やばい…。マジで間違ったかもしれん。



布団は懐かしい電気毛布、枕カバーではなくタオルがくるんである枕。ゴワゴワの毛布が2枚かかっている。まんま「急に親戚んち泊まりに来た」みたいなことなってる。し、何よりも、そこはかとない「湿度」を感じでしまったのである。

施術フロア=オトナ7:フツウ2

で、13点vs12点の形勢逆転状態であります。(心の中の古舘伊知郎が思わずマイクを手にとって)

奥の方に用意されている浴衣も、そのままハンガーに掛けられたもので着替えるのをためらい、仕方ないので洋服のまま施術を受けることに。

「お待たせいたしました」

そこに現れたのは、齢70歳ほどの味のあるおばあさま。初代ドラえもんのお声をされていた方のような顔つきに、あ○竹城さまのようなダイナマイトボディー。

施術師=オトナ1 : フツウ3

つうことで、再び「普通のマッサージ屋さんだろう」説がリード。さすがにこのマダムとエッチな行為は結び付かない。そんなわけでそのまま横になり施術へ。(横になった布団のペラペラ加減と心なしかの湿り気に、「オトナのお店説」にプラス1点

わずらわしい会話も一切なく、痛みでウンウン唸るわたしを丁寧に親指で押してくれているマダム。しっかり反った親指を背中に感じながら、あっという間の50分。施術終了を告げるおばさんの言葉に身体を起こすと、信じられないぐらい汗だくの姿!ありがとう、疑ってごめんね…。

ポイントをおさえた無駄のない施術に満足。料金を支払い(50分4500円)、「また来ま~す」とご機嫌に店を後にした。おかげさまで頭痛も吐き気もおさまり、その日は気持ちよい眠りに就いた。

翌日。この独特の体験が忘れられず、お店の名前を再度検索にかけてみる。すると出てくる出てくる。めくるめく“春”の体験記。

そう。やっぱり。そのお店、オトナのサービスをご提供するお店だったのです。しかも、マダムたちによる「極テク」が伝説となっている名店…。

入口のドリフピンク、メニューは50分コースのみ、それも50分という絶妙な時間設定、おそらく想定外に50分フルで指圧を強いられてしまったことにより汗だくになってしまったマダム…。全ての疑惑が一つになる。

良かっただけに!あの施術が良かっただけに!お支払いの時なんか「私よくこのあたり来るんで、また来ますね!」って孫娘みたいな顔で言っちゃったよ!おばさんどんな気持ちだったんだろ。色々な感情と、そしてあのぬくもりが蘇る。行きたいけれど、知ってしまったから、多分もう二度と行けない。同じ顔で、マダムのこと見れない…。

誰にでもオススメできるわけではないけれど、ただ身体のコリをほぐすだけでは満足ができなくなってしまった貴方へ。是非、記事に出てきたワードを手掛かりにお店に行ってみてはいかがでしょうか。テクニックは保証します!

文/写真:隅田川やすこ