「有吉反省会」でメッタ斬り…おやすみホログラムの「音楽」は反省する必要なし! 

2016/4/4 16:45 小池啓介 小池啓介



週末の夜に、地上波テレビで「おやすみホログラム」の名が呼ばれることになるとは思いもよりませんでした。


おやすみホログラム


4月2日、テレビ番組「有吉反省会」の拡大版「有吉大反省会カミングアウトスペシャル」で、数分ではありますが、おやすみホログラム関連のVTRが流れたのです。

話題は、世のアイドルオタクを震撼させた“おやホロバス”事件について。

要するに、おやすみホログラムが企画したファンとのバスツアーの内容がひどいのではないかという話でした。バスツアーなのに本人たちがバスに乗らないこと、出て来た料理がおそまつであったことなどがやり玉に挙げられていました。

けれども、結果的にスタジオへのゲスト出演はなく、「禊」をしてネタに笑いに転換されることもなし。フォローは、ぱいぱいでか美の「悪い人達じゃない」という一言のみ。マイナスイメージだけが残ったようにも思えます。

このバスツアーは、本年の3月5日から6日にかけておこなわれたものです。
どうも、“おやホロ”のバスツアーが熱いらしい――SNSから断絶した生活を送っている僕にさえ、当時そんな話題が届いてきたのですから、局地的にせよ反響は相当なものだったのでしょう。ツイッター上ではその話題(ハッシュタグ#おやホロバス)がトレンド入りしたそうです。あげくの果てに、それがテレビにまで拾われるというのが、ある意味すごい……。

その後まとめサイトなどで確認できるように、徹底的にしいたげられるオタクが、マイナスとマイナスを掛け合わせて状況をプラスの楽しみに転じていく様子は、ウォーズマン理論 (「ニコニコ大百科」より)を超える感動を、“無責任なオーディエンス”に与えたのではないでしょうか。少なくとも僕は感動しました。それ以上に笑ったけど。


■楽曲に罪はない

おやすみホログラム、略して「おやホロ」は、カナミルこと望月かなみと八月ちゃんによる2人組。発足は2014年5月で、はじめは4人組でした。

八月ちゃんが、およそ2カ月遅れで加入。結成の年にメンバーの加入、脱退、解雇(!)などを一気に経て、以降は八月ちゃんとカナミルの2名体制で活動を続けています。

音楽性はいわゆるオルタナティブ・ロックの系譜にあり、またバンドセットでのライブも積極的に行うなど、一般的なアイドルのイメージからはやや距離があるグループとして異彩を放っています。

当コラムのアイドル紹介10組目の節目に、この型にはまらないグループに触れることができてうれしく思います。

このたびはマイナスなイメージで、おもしろおかしくメディアに取り上げられましたが、楽曲にはなんの罪もありません。これを機におやすみホログラムを知った方は、ぜひともその音楽に触れて欲しい。


「note」



■今を生きるしかない僕たちのための歌

得体の知れない負の衝動、不安、焦燥感――そういったものに取り巻かれた世界が、おやすみホログラムの楽曲の背景にはあります。

そんな世界で僕たちは生きているんだ、それでも生きるしかないんだとオタクを後押しするのが、おやすみホログラムの音楽にほかなりません。彼女たちの歌を聴いていると、息苦しさから少し解放されたような気分にさせられるのです。

おやすみホログラムを聴いているからこそ、“彼らは”逆境の連続であるバスツアーも耐え抜けたのかもしれません。冗談です。おやホロのガチファンたちのハートの強さには脱帽です。

続いて、2015年の音楽界に起きた奇跡のひとつ、Have a Nice Day!とのコラボレーション「エメラルド」を。あと2,000万回くらい再生されればいいのに、と思います。





それとライブ映像を。音楽が人を解放していく、美しい光景。





■真実は参加者だけが知る

4月には2枚目のアルバムがリリースされる予定になっていますが、ここでは1stアルバムのラストを飾る名曲「誰かの庭」を。





おやすみホログラムの楽曲が聴き手の胸に響いてくるのは、間違いなく彼女たちの存在があってのことです。テレビという影響力の大きいメディアで変なイメージがついてしまうのは、その音楽に救われている人間としてあまりにも悲しい。

参加した個人の方のブログなどを探ると、当時の様子が詳細に綴られており、バスツアーが決して無益なイベントではなかったことがわかります。 また、イベントでのライブ映像が動画サイトに上がっています。アイドルが酩酊しながら気持ちよさそうに歌をうたう――この動画における多幸感こそが、おやホロバスツアーの真実なのではないでしょうか。


「20160305おやすみホログラム 「Drifter」おやホロバスツアー」



――まあ、でも、バスくらい乗ればいいのに、とは思います。

(小池啓介)


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