ロロのバク宙にゆづまおクルクルも!「NHK杯フィギュアスペシャルエキシビション」が熱すぎた!

2016/1/12 15:10 東谷好依 東谷好依






「心を強く、人生を楽しんでください。皆さんのために、われわれ一人ひとりが今日滑ります」

1月9日に、岩手県盛岡市で行われた「NHK杯フィギュアスペシャルエキシビション」。現役選手から過去の五輪メダリストまで、総勢20人が参加した。冒頭の言葉は、ロシアのエフゲニー・プルシェンコ選手が、被災地に生きる人たちに向けて送った言葉だ。

東北復興への思いを織り込みつつも、湿っぽくなりすぎない構成がよかった。下は15歳から上は43歳まで、世代を超えたスケーターたちの交流に胸がじわりと熱くなった。今回は、この日限りの3つのプログラムを中心に振り返ってみたい。


■4人のスケーターが被災地に寄せる想い「花は咲く」

「世代を超えて、ふるさとを思って、一つの作品をつくるというのは、嬉しいなと思いますね」(荒川静香さん)

本田武史さん、荒川静香さん、鈴木明子さん、そして羽生結弦選手。東北にゆかりのある4人のスケーターが、震災復興への願いをこめて一つのプログラムを完成させた。曲は、震災復興支援ソングの「花は咲く」。震災以降、さまざまな歌い手によってつむがれてきたこの歌を、今回は岩手県大槌町出身の高校生歌手・臼澤みさきさんが歌った。



リンク上にスクエアを描くように立った4人が、近づいたり離れたりしながら滑る。その様子は、季節を経て開いたり閉じたりする花弁のようだ。4人の穏やかなスケーティングに合わせて、リンク上に青や緑などさまざまな色の照明が踊る。

やがて、花を手にした子どもたちから一輪の花が手渡される。最後は4人のスケーターと4人の子どもスケーターが寄り添うようにリンク中央に集まり、リンク一面に花模様が現れる——。

荒川さんは、演技前のトークでこんな思いを口にした。「この『花は咲く』も、次の世代へ次の世代へ絆だったり思いを繋いでいくという思いもこめられていますので、この作品を通じて会場も一つになれたらいいなと思います」。


■ジャニーズ顔負け!43歳キャンデロロの華麗なバク宙

本田さん、荒川さん、アイスダンスのメリル・デービス&チャーリー・ホワイト組など、競技から引退したスケーターも多く参加した今回のエキシビション。その中で、誰より会場を沸かせたのが、フランスのフィリップ・キャンデロロだ。

1994年のリレハンメル五輪、98年の長野五輪で銅メダルに輝いたキャンデロロ。
際立った表現力でファンを魅了し、長野五輪のフリーの芸術点では、満点の6.0をつけたジャッジもいた。

今回のエキシビションでは、「伝説の名プログラム」と呼び声の高い「ダルタニアン」を披露。18年前と比べると多少お腹はポッコリしているけれども、そこはご愛嬌。濃厚な色気と優雅さは顕在だ。中世の軍師になりきって、観客を物語の世界に引きずり込んだ。

キャンデロロといえば真っ先に思い浮かぶのがバックフリップだ。競技では禁止されているバックフリップも、エキシビションではここぞとばかりに披露していた現役時代。今回はまさかやらないだろうと思っていたら、キャンデロロいわく「バックフリップは私の使命」らしい。演技終盤に、華麗なバックフリップを決めたから驚きだ。

「えっ、この人43歳だよね?!」と、驚きやら興奮やら、ないまぜの感動が押し寄せてくる。氷上のエンターテイナーの演技に、Twitterでも賞賛の嵐が吹き荒れた。






■真央ちゃん渾身の「ジュピター」……そしてファン待望のゆづまおクルクルも!

浅田真央選手がこの日のためにつくったプログラムが「ジュピター」だ。演出を自身で手がけ、メロディーに合わせてオリジナルの歌詞をつけた。

「命のかぎり 希望胸に 未来への光を 輝かせよう 輝かせよう」

希望の光で子どもたちの未来を一緒に輝かせていこう。そんな思いをこめたオリジナルの歌詞に、10代の頃から注目を浴び続けてきた浅田選手の歩みが重なる。重圧や葛藤を感じながら、それでも前を向いて進んでいく姿を見ると、それでも前を向いて進んでいく姿に、希望の光を分け与えてもらった人がどれほどいるだろう。

壮大な「ジュピター」の演技に続いてフィナーレが始まると、雰囲気は一転。青い衣装に衣がえした選手たちが一同に会し、リンク上はさながらパーティー会場のような雰囲気に。

大会後のエキシビションでしばしば見られる「ゆづまおクルクル」(浅田選手と羽生選手が手を取り合ってクルクル回るのです)に、スケオタたちは狂喜乱舞! Twitter上は、ゆづまおクルクルのオンパレードになっていた。







私はといえば、誰よりノリノリなプルシェンコ選手に目が釘づけ。脊椎のケガと手術のため、今シーズンの試合は欠場。生き生きと楽しそうに滑る姿を久しぶりに拝めたことに、一人喜びをかみしめていた。

ジュニアの注目株の一人である山本草太選手は、5歳のときにプルシェンコ選手が金メダルをとるのを見て、フィギュアスケートを始めたそうだ。エキシビションの翌日に16歳の誕生日を迎えた山本選手。憧れの選手と同じ舞台に立てたことは、なによりのプレゼントになったに違いない。

(東谷好依)



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