今ではアウトの表現も!?約50年前の新聞広告がいろいろ楽しい

2015/11/20 16:07 服部淳 服部淳


どうも服部です。東京オリンピック(1回目)が開催され、東京を中心に一気に先進化した1964年(昭和39年)の新聞広告を紹介するシリーズ、今回は、日用品・その他と自動車の広告を紹介していきます。

では、早速見ていきましょう(以下、広告は「朝日新聞縮小版(昭和39年1月~3月版) 発行:日本図書センター」より)。
※商品の企業名は当時のものです。



日用品・その他のジャンル

・自動料金箱取り付け禁止について(日本電信電話公社)

1つ目は、日本電信電話公社(現・NTT)からのお知らせ広告。この年(1964年)の4月1日以降は、新たに「自動料金箱」を電話機に取り付けることは禁止になりますという内容です。なんのことか分かりにくいかと思いますが、この自動料金箱とは、自宅の電話機に取り付ければ、お金(10円玉)を入れない限りはダイヤルできないという装置のことで、自家用電話機を公衆電話のようにして使える装置でした。

自宅に電話を設置するには、設備料(現・施設設置負担金=電話加入権)が必要になりますが、当時の料金は1万円。いつものように国家公務員大卒上級甲種(いわゆるキャリア組)の初任給と比較してみると、昭和39年は1万9100円(国家公務員の初任給の変遷(PDF))だったので、結構な額です。そのため、どの家庭にも電話があったわけではなく、電話を持っていない人は公衆電話を使うか、電話を持っている家に借りにいくということも多々あったのです。貸すほうとしても、高額な金額を払っただけにタダでは貸したくなく、このようなものを取り付けたのでしょう。

・ワリコー/リッキー(日本興業銀行)

続いては、聖徳太士の1万円札が懐かしい、日本興業銀行(現・みずほ銀行)が発行していた金融債権の「リッキー」と「ワリコー」の広告です。2007年までみずほ銀行で取り扱われていました。最近はほぼ見ませんが、「ワリコー」やら日債銀の「ワリシン」やら、この手の商品はテレビCMでもよくやっていました。

・定期預金(三菱銀行)

こちらもお金が登場する、三菱銀行(現・東京三菱UFJ銀行)による「預金しましょう」という内容の広告です。広告に使われている硬貨は、1959年(昭和34年)から発行されていた100円銀貨。現在流通している1967年(昭和42年)発行の100円白銅貨の1代前の100円玉です。

・小学一年生(小学館)

次は1925年(大正14年)創刊の雑誌「小学一年生」の広告。51年前の1964年で、すでに創刊39周年というのが驚きです(2015年で創刊90周年)。そんな歴史を伝えるように、俳優でジャズドラマーでもあったフランキー堺さん(当時35歳)の「自分も愛読した雑誌を今、娘が読んでいる」という内容のコメントが掲載されています。しかもサイン入り!

・ナショナル電気毛布(松下電器)

「眠っている間にカラダが健康になる!」と、今のご時世ならアウトな表現になりかねないコピーをうたっているのは「ナショナル電気毛布」の広告。

下部の広告文には、「「不眠症」や「低血圧」「貧血」などにもキキメが……」。さらには、「「シモヤケ」「神経痛」「リュウマチ」にもキキメがあります。」とも書いてあります。万能すぎです。

・ナショナル パニチャー ハイデスク(松下電工)

同じくナショナルブランド(こちらは松下電工)の学習机の広告。机の天板は地図入りで、日本地図・世界地図、そして新たに星座図のいずれから選べるようになっているそうです。さらに天板はパネ張り(ミラミン樹脂)だから、地図の色褪せは心配ご無用。スタンドや電気えんぴつけずりの使用に便利なコンセントもついていて、まさに時代の最先端をいく学習机だったのでしょうね。

・ナショナル電気えんぴつケズリ(松下電器)

昭和30年代前半に登場したといわれる電動式鉛筆削り器の広告です。ナショナル製品を集めたわけではないのですが、これまたナショナル。バンバン広告を出していく戦略だったのでしょうか。登場当時の製品は、削れたかどうかは、いちいち鉛筆を抜いて確認する必要があったようですが、この製品は削れると赤いランプがつく仕組みになっています。

広告には、この「えんぴつケズリ」を使うことで、小学校入学から高校卒業まで1095時間(手で削る場合、1日15分かかるとして)が省けると書いてあります。1日に15分も削らないかと……。

・ナショナル トランジスタ時計(松下電器)

開き直って、またナショナル製品のトランジスタ時計。「2年間も巻かずに動く」というコピーは、平成育ちの人はもしかすると理解できないのかもしれませんが、当時の時計はゼンマイ式が主流で、1日から1週間に1度はゼンマイを巻く必要があったのが、トランジスタ時計なら電池が切れるまで使い続けることができるということです。

1960年代後半には、トランジスタ時計より精度の高いクオーツ時計が台頭、トランジスタ式は廃れていきました。

・ナショナル 雨とい(松下電工)

ナショナルは、こんな広告も出していました。プラスチック製の雨といだそうです。それまで使われていた金属製と違って「サビない」ことを強調しています。

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