注目のドラマ『サンクチュアリ』の主人公・猿桜(一ノ瀬ワタル)は、『SLAM DUNK』の桜木花道に原点がある?実際のモデルになったのは誰?

2023/5/26 17:00 龍女 龍女

さて、Netflix連続ドラマ『サンクチュアリ-聖域-』とはどんな内容か?

公式から紹介文を引用する。

借金・暴力・家庭崩壊…と人生崖っぷちで荒くれ者の主人公・小瀬清(演: #一ノ瀬ワタル)が、若手力士“猿桜”として大相撲界でのし上がる姿を、痛快かつ骨太に描く人間ドラマ。

世界的な知名度を誇り、1500年以上も日本の伝統文化、神事として継承されながら、未だ神秘のベールに包まれている大相撲の世界。その戦いが行われる土俵は、異常の上に成り立つまさに“サンクチュアリ”(聖域)。

小瀬は、やる気もなく稽古もサボり気味、先輩には盾突きまくり…と手が付けられないクズっぷりだったが、徐々に大相撲にのめり込んでいくことに―。
小瀬を筆頭に、小瀬を筆頭に、相撲愛に溢れながらも体格に恵まれない清水(演: #染谷将太)や、相撲番に左遷された新聞記者・国嶋(演: #忽那汐里)など、生きづらさを抱えた若者たちが土俵の世界を取り巻く人間ドラマと絡み合う。

“サンクチュアリ”(聖域)に翻弄されながら、ドン底でもがく若者たちの熱き“番狂わせ”が今、はじまる。

Netflixシリーズ「サンクチュアリ -聖域-」2023年5月4日(木)より独占配信スタート!

改めて筆者の立場としては
特に主人公の猿桜(本名・小瀬清)(一ノ瀬ワタル)のキャラクター造形を分析するに留めたい。
漫画のスポーツ根性モノ(スポ根漫画)の歴史に基づいて
『SLAM DUNK』(週刊少年ジャンプ連載1990~1996)を起点にしよう。

(『サンクチュアリ-聖域-』の1シーンから猿桜役の一ノ瀬ワタル イラストby龍女)

40代の視聴者を中心に四股名「猿桜」で『SLUM DUNK』の主人公桜木花道を連想した人も多いだろう。
監督の江口カン(1967年7月20日生れ)は、『SLUM DUNK』の原作者
井上雄彦(1967年1月12日生れ)と同い年生まれで学年は1つ下だ。
この2人より年下で、漫画の読者の年代層に当たる脚本家の金沢知樹(1974年1月1日生れ)の方がその影響下は高いだろう。

しかし時系列で観ていくと、『SLUM DUNK』の作者、井上雄彦が影響受けたスポーツ漫画として
小林まこと(1958年5月13日生れ)の『柔道部物語』(週刊ヤングマガジン1985~1991)の存在が大きいようだ。

ボクシング漫画の金字塔の『あしたのジョー』(作画ちばてつや。週刊少年マガジン連載1968~1973)の原作者(高森朝雄名義)でもある梶原一騎(1936~1987)存命中の昭和の終わりまでにスポ根漫画の作劇法は完成した。

その一例がスポ根漫画の60年代の集大成の『巨人の星』(週刊少年マガジン連載1966~1971)である。
漫画の見せ場として魔球が記憶に残る。

対して、『柔道部物語』の大きな特徴は、細部にこだわった正確な柔道描写にある。
実際に努力の積み重ねで上達する現実的な技を絵柄でも分かる仕組みになっている。
そこが、スポーツ漫画としてのリアリティをかなり高くしたモノになっている。

小林まことは、出身地新潟の高校の柔道部に入部していた経験者である。
『巨人の星』の製作陣(原作梶原一騎、作画川崎のぼる)が必ずしも野球経験者ではないのに対して大きな違いである。

主人公が不良の設定は、『あしたのジョー』の主人公
矢吹ジョーの影響下にある。
(『サンクチュアリ-聖域-』と同じ相撲を扱った、ちばてつや(1939年1月11日生れ)が書いた『のたり松太郎』(ビックコミック連載1973~1998)の主人公の坂口松太郎の影響の方が直接的。
しかし、不良が主人公のスポ根モノくくりで『あしたのジョー』の延長上である)

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